急激に進化する深層学習フレームワーク Chainer と協業、3年間で5万人の人材育成

[2017 年 5 月 23 日]

 

今、急激な進化を遂げる人工知能

人工知能の分野はいま日進月歩で動いています。2010 年代に入ってから人工知能の分野で取り上げられ始めたディープニューラルネットワークの研究の発展と、クラウドコンピューティングや GPU の圧倒的進化により、画像認識音声認識の分野で人間並みの認識率を達成するなど急激なブレークスルーが起こっています。ニューラルネットワークは一般的に、ネットワークの "層" が深くなるほど認識精度を上げることができますが、同時に莫大な計算パワーとアルゴリズムの工夫が必要になります。これらの 2 点を乗り越え、2014 年に 22 層だったニューラルネットワークの "深度" は翌年には 152 層、と 5 倍以上に進化しています。

ニューラルネットワークの認識アルゴリズムは、パソコンでいえば「CPU の中身」の「脳みそ」の部分に相当しますが、これだけ急速に「脳みそ」の技術が進歩していると、「CPU」「メモリ」「マザーボード」などの既製品を組み合わせて作った、出来合いの認知 API の精度はすぐに陳腐化してしまいます。そのため、最新の人工知能を手に入れるには、既製品の部品を組み合わせる「API を使う」のではなく、「CPUの中身を作る」作業、つまり人工知能のモデルを作って大量のデータでトレーニングを行う、といった作業が必要になります。

 

AI フレームワークとオープン戦略

これを行うにあたり、「CPUの設計」をゼロからやみくもに行っていては効率が悪いので、「CPU 設計ツール」にあたるものが存在します。それが「AI フレームワーク」もしくは「深層学習フレームワーク」と呼ばれるものです。このフレームワークには様々なものがあり、それぞれ特長があります。マイクロソフトからも Cognitive Toolkit (CNTK) というフレームワークを出していますが、 Microsoft Azure 上では Linux 上だけで動作するその他の AI フレームワークも動作するようになっており、マイクロソフトとしては「オープン」な戦略をとっていきます。

本日、日本発の AI フレームワーク「Chainer」を提供している Preferred Network  (PFN) 社と米国マイクロソフトで提携し、戦略的協業を行うことが発表されました。この協業では (1) テクノロジー、(2) 人材育成、(3) マーケティング、の 3 つの観点から連携が行われます。

 

PFN 社 Chainer との協業内容

  1. テクノロジー:  Chainer / ChainerMN(Multi Node)をワンクリックでAzure IaaS 上に展開する Azure Templateの提供、データサイエンスVMへのChainer 搭載、Azure Batch ServicesおよびSQL ServerのChainer対応、ChainerのWindows対応、Microsoft Azureのデータ収集分析サービスとPFNの深層学習プラットフォーム Deep Intelligence in-Motion(DIMo、ダイモ)を組み合わせ、特定のワークロードや業種向けソリューションを2017年中に提供
  2. 人材育成:  大学の学生、企業内のエンジニア・研究者向けのトレーニングプログラムを2017年中に提供。3年間で5万人の人材育成を計画。
  3. マーケティング: 2017年夏に各業種に向けたお客様ワークショップを開始。コミュニティ”Deep Learning Lab(ディープラーニング・ラボ)”を発足。

 

PFN 社の Chainer は日本だけでなく世界中に支持者やコミュニティも多く、深層学習の分野で一般的になりつつあるフレームワークの 1 つです。これらの協業内容を通して、現在急速に発展をしている最新の人工知能を、世の中のより多くの人々が使えるようにするという「みんなのAI」のミッションの遂行を行っていく予定です。

 

この文章は以下の原文を要約したものです: