Exchange 2007 SP3 RU10 以降での簡易表示名に関する挙動の違いについて


今回は Exchange 2007 RU10 前後で簡易表示名 (UseSimpleDisplayName) に関する挙動の違いについてご紹介いたします。
特に Exchange 2013 に移行を計画されている場合には既存の Exchange 2007 環境を Exchange 2007 SP3 RU10 以降にアップグレードする必要がございますので、簡易表示名を利用されている場合にはご注意ください。

Exchange 2013 のシステム要件
http://technet.microsoft.com/ja-JP/library/aa996719(v=exchg.150).aspx

- 概要
Exchange 2007 SP3 RU10 未満の環境でリモート ドメインの設定にて簡易表示名を有効 (UseSimpleDisplayName = True) にしている場合、Exchange 2007 SP3 RU10 以降を適用すると簡易表示名の設定が無効 (UseSimpleDisplayName = False) として表示されます。
実際にこの設定のままリモート ドメインに対してメールを送信しても簡易表示名は使用されずに配信される結果となります。

本現象は Exchange 2007 と Exchange 2010 / 2013 でリモート ドメインの設定を解釈する処理に不一致が発生していた不具合を Exchange 2007 SP3 RU10 で修正したことに起因して発生する問題となります。
Exchange 2007 SP3 RU10 以降でも UseSimpleDisplayName 以外の項目は変更されておりませんが、「既定」も含めて全てのリモート ドメインが影響を受けることになります。

- 詳細
Exchange Server ではリモート ドメインの設定を msExchRoutingAcceptMessageType 属性にて bit 値で管理しておりますが、Exchange 2007 と Exchange 2010 / 2013 では UseSimpleDisplayName が異なる値が対応付けられている問題がございました。
具体的には Set-RemoteDomain の UseSimpleDisplayName と TargetDeliveryDomain (TargetDeliveryDomain は Exchange 2010 SP1 以降で有効) に対応する値はそれぞれ以下のように定義されて処理されておりました。

-------- Exchange Server 2007 ---------
UseSimpleDisplayName = 256 (2 進数の 9 bit 目に対応)

----- Exchange Server 2010 / 2013 -----
TargetDeliveryDomain = 256 (2 進数の 9 bit 目に対応)
UseSimpleDisplayName = 512 (2 進数の 10 bit 目に対応)

例えば Exchange 2007 と Exchange 2010 の共存環境で Exchange 2007 から UseSimpleDisplayName を True に変更した場合、Exchange 2010 では TargetDeliveryDomain が True に設定されたと認識いたします。
反対に Exchange 2010 から UseSimpleDisplayName を True に変更しても Exchange 2007 では 10 bit 目に対応する値は定義されておりませんので、UseSimpleDisplayName が True に設定されたと認識出来ないことになります。

Exchange 2007 SP3 RU10 以降では Exchange 2010 / 2013 と同様に解釈するように動作が修正されましたが、msExchRoutingAcceptMessageType 属性の値は RU を適用しても自動的に変更はされません。
このため、Exchange 2007 で UseSimpleDisplayName を True に設定している環境に Exchange 2007 SP3 RU10 以降を適用すると UseSimpleDisplayName は False と認識されて動作する結果となります。

- 対処方法
Exchange 2007 SP3 RU10 以降を適用した後に再度 UseSimpleDisplayName を True にすることで msExchRoutingAcceptMessageType 属性の 10 bit 目に値が設定され、引き続き UseSimpleDisplayName の設定を利用することができます。

- 補足
本現象は msExchRoutingAcceptMessageType 属性の値が変更されることで発生するのではなく、Exchange 2007 SP3 RU10 前後で msExchRoutingAcceptMessageType 属性の解釈が変更されたことに起因して発生している問題となります。
このため、Exchange 2007 SP3 RU10 未満の環境に Exchange 2007 SP3 RU10 以降を適用した場合に UseSimpleDisplayName を 1 度だけ再設定していただくことで問題ありませんので、その後の RU 適時には再設定は不要となります。

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