DPM 2010 による Hyper-V 2.0 CSV 環境のバックアップ その 1

こんにちは、System Center サポート部の石井です。

今回は、DPM 2010 の目玉機能である、Windows Server 2008 R2 の Hyper-V 2.0 CSV クラスタ環境 (Live Migration 環境) の VM のバックアップについて動作と、System VSS プロバイダを使用した場合の考慮事項や設定手順を簡単にご説明します。

- CSV 環境って?

Hyper-V の CSV 環境というのは、単一の LUN に対して、複数の Hyper-V ホスト クラスタのノードから Direct I/O を実現している環境となります。

非 CSV の共有ディスク構成のクラスタと違う点としては、非 CSV の共有ディスク構成のクラスタだと単一の LUN に対しては、1 つのノードからしかアクセス出来ない、という点です。CSV では、複数のノードから同一 LUN に直接アクセス出来ますが、全ノードからボリュームの管理が行えるわけではありません。 (CSV は、コーディネーター ノード以外のクラスタ ノードでは C:\ClusterStorage\Volume名 という箇所にマウントされ、ボリューム レターが割り当てられておらず、OS の “ディスクの管理” からも設定変更等行えないようになっています。)

CSV を利用する上で、chkdsk 等のメンテナンスやバックアップを行う場合には、該当の CSV を単一の OS から認識するよう、集約する必要があります。

例えば、以下のように Node B でメンテナンスやバックアップを行う場合には、Node B がコーディネータノード (CSV の持ち主) になり、Node A は CSV への Direct I/O をやめて、Node B 経由でのアクセス (Redirect I/O) となります。

この期間の注意点としては、Node A からの CSV へのアクセスはいったん Node B に対してネットワーク ケーブル経由で SMB の通信として行うため、Direct I/O に比べてアクセス速度が落ちるという点と、Node B に負荷が多くかかるという点になります。

以下図では、Node B にてボリュームへの管理処理を行う場合に、Node B がコーディネーター ノードとなり、Node A からの VHD へのアクセスは Node B を介した Redirect Access となっている状況となります。

- バックアップする上での考慮事項について

単一 Hyper-V サーバーや非 CSV のクラスタ環境の VM のバックアップであれば、OS が認識しているボリューム単位で VSS スナップショットの機能を使って、ボリュームごとの静止点を作って中身をバックアップするだけで問題ありませんでした。(こちらについての詳細な動作解説は、以下のブログ エントリをご参照下さい。)

DPM 2007 SP1 の Hyper-V バックアップの仕組み

https://blogs.technet.com/b/askcorejp/archive/2009/08/11/dpm-2007-sp1-hyper-v.aspx

ただし、CSV 環境だと、VSS スナップショットを取り、VM のバックアップを行うために VM の所持主の Hyper-V ホストが CSV のコーディネータ ノードとなる必要がありますので、バックアップ取得期間中は、コーディネーター ノード上の VM 以外からの VHD へのアクセスは全て Redirect I/O となってしまいます。この際の考慮事項は以下です。

1. コーディネータ ノード以外に属する VM における Redirect I/O に伴う負荷

           2. あるノードに所属する VM のバップアップ中には、他の Hyper-V ノードが保持しているバックアップが行えない

※ 今回は、VSS System Provider (Microsoft Software Shadow Copy provider) の使用を前提とした手順をお知らせいたしますが、CSV をホストするハードウェアにて、VSS Hardware Provider が実装されている場合、パフォーマンスの観点からはこちらの使用をお奨めします。VSS System Provider を使用した場合には、VM のバックアップ中、ずっと他ノードからのアクセスが Redirect I/O となりますが、記憶装置の VSS Hardware Provider を使用すると、スナップショットを作成するまでの約 2 分 (もちろん環境によって様々ですが) の間のみの Redirect I/O に抑える事が可能です。(Hardware Provider については、後述する参考情報にてさらに補足いたします。)

長くなるのでポストを分けますが、次回はいよいよ DPM 2010 からの CSV バックアップの設定手順をご紹介いたします。以下リンクよりお進み下さい。

→ DPM 2010 による Hyper-V 2.0 CSV 環境のバックアップ その 2
https://blogs.technet.com/b/systemcenterjp/archive/2010/11/30/dpm-2010-hyper-v-2-0-csv-2.aspx