MOSS 2007 を Windows Server 2008(R2含む)に導入する場合の注意事項

皆様いかがお過ごしでしょうか?

最近 3 才の娘が、僕が脱ぎ散らかした靴に対して注意してきます。

「おとうさんっ!靴脱いだらちゃんと並べてーっ!」ってな感じで、ついこの間まで赤ん坊だったはずなのに。。。赤信号で渡ろうとして注意されたこともあります。彼女なりの作法に反すると必ず怒られます。まあ、彼女が正しいんですけども。。。

本ブログのトピックの背景

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本題に入るための背景も少し触れておきます。SharePoint をご利用頂いている皆様はご存知かと思われますが、今年は SharePoint 2010 のリリースが予定されています。現在 Beta バージョンが公開され、当ブログでも "SharePoint Server 2010 Beta 2 のインストール手順" を公開しておりますので、既にお試しいただいた方もいるかもしれません。

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SharePoint 2010 リリースを間際に控えた今の時期に MOSS 2007 の環境構築が発生する場合、今後の SharePoint 2010 への移行を見据えて、OS は最新の Windows Server 2008 R2 64 bit で環境構築をしたいと考えられる方も多いのではないでしょうか。この構成であれば、OS とコンテンツはそのままで SharePoint 2010 へのアップグレードを比較的簡単に行なえるという利点をエンドユーザーに説明することも出来ますね。主にこのようなユーザーをターゲットとしてお伝えします。なお本現象は Windows Server 2008 および R2 共に発生し得る現象となります。本件では R2 環境を中心で話を進めたいと思います。

目的

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今回の目的は前述の背景をふまえて最新のサーバー Windows Server 2008 R2 に最新の CU を含めた MOSS 2007 環境をスムースに導入いただくコツをお伝えします。最新 Windows Server 2008 R2 と現行バージョンの MOSS 2007 環境構築時に陥りやすい盲点をクローズアップしていきたいと思います。

特に SharePoint 2010 Beta のインストールを経験されて、ここしばらく MOSS 2007 のインストールはご無沙汰という方には、若干の注意点としてよりスムーズにインストール頂く情報となればと思っています。

インストール作法の違い

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注意する必要があるのが Windows Server 2008 R2 では WSS 3.0 / MOSS 2007 ともに Service Pack 2 のインストールが必要条件となります。(Windows Server 2008 では Service Pack 1 が必要条件です。) 実際のインストール方法などはマイクロソフトの技術情報や社員のブログ(非公式)がありますので本トピックの最後にお伝えします。

< 重要な注意点!> 現行 WSS 3.0 / MOSS 2007 では、IIS の役割付与 .Net Framework 3.0 などの必須コンポーネントもそれぞれ個別にインストールする必要があります。

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ちなみに、後発 SharePoint 2010 のインストールは IIS を含む必須コンポーネントのインストールと構成が自動的に行われます。

この SharePoint 2010 の手取り足取りなインストールを体験してしまうと、MOSS 2007 のインストールに対しても同じような動作を期待をされるかもしれません。しかし SharePoint 2010 は MOSS 2007 のユーザーからのフィードバックや利便性をより追及した製品で、ユーザー負担の軽減を配慮した後発製品です。すでに Beta の段階でも便利な機能が装備されているのですがこれからも成長していきます!

時にふつつかものの現行 MOSS 2007 ですが最新バージョンは以前より安定してきておりますので許してやってください。

(蛇足ですが、3 才の娘は脱ぎ散らかした靴を注意してくれて、きれいに並べてくれます。まるで SharePoint 2010 のようです!)

インストールの作法を誤ると

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MOSS 2007 で IIS の役割付与をしない状態で MOSS 2007 Service Pack 2 を含めてインストールを行なうとどういうことが発生するのでしょうか?

MOSS 2007 の主要 DLL は 最初期バージョンの RTM (Release to manufacture)のままとなり、WSS 3.0 の主要 DLL のみが SP2 にアップグレードされます。

こうなると、MOSS 2007 SP 2 以降に作成された SP2 ベースの新しい更新プログラム(以下 CU)を適用を試しても、新しい MOSS 2007 CU の主要 DLL は SP2 を前提にしているため、うまくアップグレードされない状況となります。

 (現象発生の場合 RTM バージョンは現在サポートライフサイクル期限切れという嬉しくないおまけがついてきます。SP1 も 2010 年 7 月延長フェーズのためお気をつけください。)

MOSS 2007 SP2 を含めたインストールは、本来 IIS を事前にインストールいただくなどの作法を守る必要がありますが、作法を守らなくともインストールを進められるため、最後の構成ウィザードで失敗が発覚することがあります。いわば赤信号でも横断歩道を渡ることが可能ですので気が付いたときには事故発生となります!事故発生時はもちろん有名な? SharePoint サポート病院がありますが、このブログをご覧いただいていれば、おそらく入院いただく必要はありませんね!

適用後の主要 DLL バージョン確認

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MOSS 2007 のインストール後に DLL を確認して、うまく更新されたかを判断する方法として WSS 3.0 と MOSS 2007 の主要 DLL の確認方法もお伝えしておきます。インストール直後で、構成ウィザード実施前に確認すると、より安心して実行いただけます。

手順

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a. 以下の場所にアクセスします。

C\Program Files\Commmon Files\Microsoft Shared\web server extensions\12\ISAPI

b. 以下の二つのファイルのプロパティで [バージョン情報] のタブを確認します。

- Microsoft.SharePoint.dll

- Microsoft.SharePoint.Portal.dll

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c. 結果確認

<IIS の役割を付与せずに SP2 を適用した場合の再現例>

- WSS 3.0 の主要 DLL -> Microsoft.SharePoint.DLL: 12.0.6412.5000 (SP2)

- MOSS 2007 の主要 DLL -> Microsoft.sharepoint.portal.dll: 12.0.4518.1014 (RTM)現象発生!

<MOSS 2007 SP2 は本来以下>

- MOSS 2007 の主要 DLL -> Microsoft.sharepoint.portal.dll: 12.0.6420.1000 (SP2)

以下関連情報の URL です。

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MOSS 2007 インストールを行なう前に目を通して頂きたい順序に技術情報を並べてみました。

1. MOSS 2007 の必要条件を念のため確認する。

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過去に確認済みでも、再度思い出していただくようご確認ください。IIS が必要であるなど重要なポイントが記載されています。

Title: ダウンロード可能なブック : Office SharePoint Server 2007 の展開とアップグレード

URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc262984.aspx

上記にあるリンク: Office SharePoint Server 2007 の展開

https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=79589&clcid=0x411

2. スリップストリームの手順を確認、または SP2 同梱の試用版を検討する

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SP2 や 最新の CU (後述)など 1 まとめにインストール メディア化しておくと頻繁に構築される方は便利です!必要に応じてお試しください。

Title: ソフトウェア更新プログラムを含むインストール ソースを作成する (Office SharePoint Server 2007)

URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc261890.aspx

SP2 同梱の試用版を使用して、有効なプロダクト キーを入力する方法もあります。

Title: Microsoft Office SharePoint Server 2007 試用版 (x64)

URL: https://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?familyid=3015FDE4-85F6-4CBC-812D-55701FBFB563&displaylang=ja

--- 抜粋開始 ---

抜粋: 「試用期間中または試用期間経過後のいつでも、有効なプロダクト キーを入力することで、正規ライセンス版に切り替えることができます。」

--- 抜粋終了 ---

3. 最新の更新プログラムについて

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MOSS 2007 の最新の Service Pack に関する情報は、以下のサイトよりご参照いただけます。新たな Service Pack が公開された場合、以下のサイトが更新される予定です。

Title: 2007 Office サーバー製品の最新の Service Pack を入手する方法

URL: https://support.microsoft.com/kb/949583/ja

以下 2010/3/1 時点の最新 CU となります。

WSS 3.0 累積的な修正プログラム パッケージ (WSS server-package) : 2010 年 2 月 23 日

  文書番号 : 978396

  タイトル : Description of the Windows SharePoint Services 3.0 Cumulative Update Server Hotfix Package (WSS server-package): February 23, 2010

  URL     : https://support.microsoft.com/kb/978396/en-us

  URL     : https://support.microsoft.com/kb/978396/ja (日本語版機械翻訳)

 MOSS 2007 累積的な修正プログラム パッケージ (MOSS server-package) : 2010 年 2 月 23 日

  文書番号 : 978395

  タイトル : Description of the Office SharePoint Server 2007 Cumulative Update Server Hotfix Package (MOSS server-package): February 23, 2010

  URL     : https://support.microsoft.com/kb/978395/en-us

  URL     : https://support.microsoft.com/kb/978395/ja (日本語版機械翻訳)

4. Windows Server 2008 から Windows Server 2008 R2 にアップグレードできない点

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本注意点も必要に応じて参照ください。

タイトル :Windows Server 2008 を実行しているコンピューターで Office SharePoint Server 2007 をインストールした後、Windows Server 2008 から Windows Server 2008 R2 にアップグレードすることはできません。

  URL     : https://support.microsoft.com/kb/962935/ja

5. 海外の関連ブログ(英語):

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Title: Unable to install MOSS 2007 server in Windows 2008 R2 Server.

URL: https://blogs.technet.com/neerajr/archive/2009/09/11/unable-to-install-moss-2007-server-in-windows-2008-r2-server.aspx

Title: Slipstreaming SP2 into SharePoint Server 2007

https://blogs.technet.com/seanearp/archive/2009/05/20/slipstreaming-sp2-into-sharepoint-server-2007.aspx

注: IIS や .Net Framework を導入せよという記述はなく、よりピンポイントにSP2 からの導入フローをフォーカスした内容が中心となっています。

6. SharePoint Server 2010 Beta2 のインストール手順

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当ブログでご案内している SharePoint Server 2010 Beta2 のインストール手順のインストール手順です。

https://blogs.technet.com/sharepoint_support/archive/2010/02/03/sharepoint-server-2010-beta2.aspx

ブログは役に立つ情報が多く記載されている場合があります。是非プラスとなる情報を発見いただけると思いますのでご参考ください!

かゆいところに手が届く情報を心がけて、これからも情報提供をさせて頂きたいと思います。

もうすぐ SharePoint 2010 も家の娘も社会デビュー(RTM に幼稚園)となりますが、どうなることやら。