MOSS 2007/WSS 3.0 のソフトウェア更新プログラムについて (Part 3)

<関連記事>

第 1 回:MOSS 2007/WSS 3.0 のソフトウェア更新プログラムについて (Part 1)

第 2 回:MOSS 2007/WSS 3.0 のソフトウェア更新プログラムについて (Part 2)

第 3 回:MOSS 2007/WSS 3.0 のソフトウェア更新プログラムについて (Part 3)

こんにちは。

SharePoint サポートチームのたらかわです。

3 部作の最終回となる今回は、パッチに関する細かい補足事項を取り上げたいと思います。運用に役立つ情報が詰まっていますので、是非是非ご一読くださいませ。

パッケージって何?

「パッケージ」 とは、修正プログラム用にダウンロードされる実行可能 (.exe) ファイルのことです。パッケージには、1 つ以上のパッチが格納されています。

実際に、CU をダウンロードして解凍してみると、パッチ (*.msp) ファイルがそのまま展開されるのではなく、"office-kb961756-fullfile-x86-glb.exe" のようなファイル名になっていることが判ります。

補足:パッケージファイルを展開する際にコマンドラインから "/extract:<Path>" スイッチを付けて展開すると、パッケージに格納されているパッチファイルが確認できます。

パッケージには決められた命名規則があり、以下のパターンになっています。

productnamerrr-kby-xnn- fullfile-lang.exe

各項目の詳細は次のとおりです。

・productname は、リリースされた製品の名前の短い識別子です。

・rrr は、リリースの説明です。たとえば、Service Pack 1 は sp1 となります。

・y は、ソフトウェア更新プログラムに関するサポート技術情報の記事に対応する番号です。

・nn は、ハードウェア アーキテクチャを示す番号で、x86 か x64 のどちらかです。

・lang は、ソフトウェア更新プログラムの言語です。たとえば、米国英語は en-us です。

たとえば、米国英語版 x86 ベースのハードウェア用 Microsoft Office SharePoint Server 2007 Service Pack 1 (SP1) ファイルのファイル名は、officeserver2007sp1-kb936984-x86-fullfile-en-us.exe です。

補足:

・パッチは累積的です。したがって、2 つのパッケージに同じパッチが含まれる場合、ビルド番号が大きいパッケージには、ビルド番号が小さいパッケージに含まれるすべてのものが含まれます。

・パッケージのプロパティには、そのパッケージを含むビルドの番号が表示されます。このビルド番号はパッケージ内のファイルに示されたバージョンより高い場合もあり、パッケージの内容をより正確に示しているため、重要な情報です。

・パッケージ名には、office-kb950487-x86-fullfile-glb.exe のように glb という文字列が含まれる場合があります。これはパッケージにグローバル パッチが含まれることを示します。

・パッケージ名には、wss-kb948957-x86-fullfile-en-us.exe のように en-us (英語、アメリカ) や de-de (ドイツ語、ドイツ連邦共和国) などの地域コードが含まれる場合があります。これはパッケージにローカライズされたパッチが含まれることを示します。

グローバル パッチとローカル パッチの違いって何?

パッチは、CoreServer と CoreServerMUI、STS と WSSMUI のように、グローバル パッチローカルパッチに分かれていることがあります。

グローバル パッチは、製品の言語に依存しない部分に適用されます。つまり、言語固有の関係を持たないアイテムのみを変更します。SharePoint 製品の設計では、言語固有の文字列は専用の場所に置かれ、個別に更新できるようになっています。これにより、基本のインストール言語または言語パックのインストールの有無に関係なく、グローバルパッチをすべてのサーバーに適用できます。

ローカライズされたパッチ (ローカル パッチとも呼ばれます) は、言語固有の文字列や関連するコードに対する更新プログラムを含みます。ローカライズされたパッチでのコードの変更は、ユーザーインターフェイスに表示される特定の文字列が対象ではない場合がありますが、ローカライズされたパッチに組み込むのに十分なほどそのような文字列と密接に関係しています。

グローバル パッチとローカライズされたパッチは両方適用したほうがよい?

よくある質問は、グローバル パッチとローカライズされたパッチのどちらか一方をインストールするか、または両方をインストールするかという点です。

どのパッチをインストールするかは、そのインストールによって何を実現するかに基づいて決定します。この決定に関するガイダンスを次に示します。

 

  ・製品の更新プログラムの大部分は、グローバルパッチに収められています。製品の設計情報で説明したように、製品コードの言語固有の部分を分離するように配慮されており、コード ベースの中に言語固有の部分は多くありません。

  ・コードの修正プログラムの中には、完全に実装するためにはグローバルパッチとローカル パッチの両方を必要とするものがあります。一方のパッチだけをインストールした場合、特定の機能にパッチ適用前と同じ不具合が残ります。

  ・Service Pack はすべての機能を更新するので、Service Pack が適用された後の任意の時点で最初の依存関係が設定されます。この依存関係は次の Service Pack まで維持されます。グローバル パッチまたはローカライズされたパッチをのいずれか一方だけをインストールしてもサーバーの全体的な動作には影響しない場合がありますが、すべての修正を確実に適用したい場合は、グローバル パッチとローカライズされたパッチの両方をインストールしてください。

  ・Microsoft カスタマ サポートサービスでは、修正から最大限のメリットが得られるように SharePoint 環境全体に両方のパッチをインストールし、プラットフォーム全体のソフトウェア更新を同じレベルに維持することを強く推奨しています。

結局、常に最新のパッチを適用して使いたい場合はどうすればよいの?

ユーザーの要件によっては、環境を常に最新にしておきたい場合もあるでしょう。前項で述べたように、CU の基本スタンスとしては、特定の問題に限定して、個別に適用を検討することが推奨されますが、MOSS 2007/WSS 3.0 に対する修正プログラムの適用は運用中のサービス停止など、業務に与える影響も大きく、サーバーの数が増えるとなかなか大変な作業ですので、できることなら作業時に、それまでにリリースされている最新のパッチをすべて適用しておき、潜在的な問題を潰しておきたいと考えるのは自然なことかもしれません。また、特定の環境で何らかのトラブルが発生した際に、検証環境で現象を再現して、とりあえず検証環境に最新のパッチを適用して問題が解決するか確認したいという状況も考えられます。(製品サポートではよくあることです。)

このような場合、最も手っ取り早い方法は、その時点でリリースされている最新の Service Pack と、最新の包括的な CU (MOSS server-package、WSS server-package) を適用することです。

たとえば、2009 年 7 月時点において、MOSS 2007 に最新のパッチを適用したい場合は、以下のソフトウェア更新プログラムを適用します。

WSS 3.0 Service Pack 2 (KB 953338)

MOSS 2007 Service Pack 2 (KB 953334)

2009 年 6 月の WSS 3.0 の累積的な更新プログラム MOSS server-package (KB 971538)

2009 年 6 月の MOSS 2007 の累進的な更新プログラム WSS server-package (KB 971537)

補足:Service Pack はインストール順序が決まっていますが、パッケージと修正プログラムには決められたインストール順序はありません。パッケージまたは修正プログラムは、作業の終了後にファーム内のすべてのサーバーが同じレベルに更新される限り、任意の順序でインストールできます。さらに、サーバーが更新プログラムに関するサポート技術情報に記載されている問題の影響を受けない限り、更新プログラムをインストールするための要件はありません。

更新プログラムのインストール順序は特に決まっていませんが、MOSS 2007 の RTM 後に必要な更新プログラムは、上記の順序でインストールすることをお勧めします。

注:2009 年 4 月以降の CU を適用する場合には、事前に MOSS 2007/WSS 3.0 の Service Pack 2 を適用することが強く推奨されています。

MOSS 2007 Service Pack 1 の環境に、いきなり 2009 年 6 月の CU を適用することもできなくはないですが、トラブルを未然に防止するためにも、推奨された方法で更新しましょう。

よく、Service Pack は影響範囲が大きいので個別の修正だけ適用したいといった要望があるのですが、前回ご紹介した CU のリリース表を見てもわかるとおり、コンポーネント単位の CU ツリーは一本化されており修正内容は累積的ですので、影響範囲という観点だけでみると、Service Pack 2 も 4 月以降の CU も実はそれほど変わりません。また、今後 Service Pack 3 がリリースされた場合も、同様の考え方になると思います。

関連資料

Deploy software updates for Office SharePoint Server 2007

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc263467.aspx

Deploy software updates for Windows SharePoint Services 3.0

https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc288269.aspx

Microsoft SharePoint Team Blog

Announcing December Cumulative Update for Office SharePoint Server 2007 and Windows SharePoint Services 3.0

https://blogs.msdn.com/sharepoint/archive/2008/12/17/announcing-december-cumulative-update-for-office-sharepoint-server-2007-and-windows-sharepoint-services-3-0.aspx