Microsoft Management Summit 2008 in ラスベガス ~高添のフォロー付き~

既に日本語でもメディアにて取り上げていただいており、ご存知の方も多い事と思いますが、限られた紙面での発表文はMS製品に精通していない人にはわかりにくいことも多いと思いますので、私なりに解説をさせていただきます。

正式な発表の記事はこちらをご覧ください。
https://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3432

(これをお読みいただいてご理解されたのであれば、以下を見る必要はありません・・・)

ここの中で、いくつかの、しかも非常に大きな発表を行いました。

それは製品の機能の話しでもありますので「マイクロソフトの運用管理製品なんて」と最初から目を背ける方がいらっしゃるかもしれませんが、今回の発表については単なる製品や機能の話しを超えたマイクロソフトの方向性についても語られていることを見過ごさないで頂ければと思っています。

さて、今回の発表の大きなテーマとなったのは大きく2つ(小さくは4つ)です。

  1. クロス プラットフォーム管理機能を提供
    1. System Center Operations Manager 2007 Cross Platform Extensions」のパブリックベータの提供開始
      • マイクロソフトは、稼働しているシステムのイベントやパフォーマンスなどの状態を監視・管理するツール System Center Operations Manager 2007 (OpsMgr)を持っています。今までも SNMPなどの監視はできたのでマルチプラットフォームと言えなくもなかったのですが、基本的にはWindows環境の監視を中心に行うものでした。
      • そのOpsMgr を業界標準の技術などを利用して拡張し、Windows の世界を超えてクロス プラットフォームの監視機能を提供しようというのが今回の発表になります。
      • HP-UX、Sun Solaris、Red Hat Enterprise Linux、ならびにSUSE Linux Enterprise Serverといったオペレーティング システムに即時対応可能な基本的なクロス プラットフォーム サポート機能が含まれています。
      • OpsMgr は、対象となるプラットフォームやアプリケーションの何をどのように監視・管理するかといった設定を「管理パック」という定義モデルで実装します。
        この管理パックはマイクロソフトしか作れないものではなく自由に定義・変更・修正・削除・追加ができるため、その拡張性の高さと自由度を利用して、Novell Inc.、Quest Software Inc.ならびにXandros Inc.などの企業が、The Apache Software Foundation、MySQL AB、そしてOracleといったメーカーが開発したアプリケーション向けの監視機能を、追加サポートとして提供してくれるようです
    2. この発表の中には「System Center Operations Manager 2007 Connectors」のアップデート リリースのベータの提供も開始という言葉も出てきます。
      • OpsMgr は、他の監視・管理ツールとイベントやパフォーマンスデータのやり取りを相互にすることで、既存の運用環境を拡張する、もしくはプラットフォーム毎に管理ツールを選択する自由を持ってもらう代わりにツール間で連携してユーザー様の管理負荷を極力減らすという考え方も持っています。
      • 今回発表したアップデート リリースは、オープンソーステクノロジや業界標準の大半をベースにして、System Center の監視データと、HP OpenViewやIBM Tivoli Enterprise Consoleといったサードパーティの管理製品との相互運用やデータ交換を可能にします
  2. 仮想IT資産、物理IT資産を一元的に管理するための仕組みを提供
    1. System Center Virtual Machine Manager 2008」(開発コード名「Virtual Machine Manager vNext」)のベータの提供開始
      1. 先日より、このブログの中で SCVMM が新しくなる前にというタイトルで現行製品である SCVMM 2007 に関する投稿を続けてきましたが、今回は次期バージョン SCVMM 2008 の発表が行われたということになります。
        ※ 次期バージョンに関する投稿は、他の仕事が落ち着いたらちゃんとやります
      2. SCVMM は複数の仮想環境を一元管理するツールですが、SCVMM 2008 では Windows Server 2008 にて実装される Windows Server(R) 2008 Hyper-V(TM) の管理ができるようになります。
      3. また、今までの SCVMM 同様、Microsoft Virtual Server 2005 R2 も可能です。
      4. そして今回の目玉の1つとして、VMware ESX Server もSCVMM 2008 にて管理ができるようになりました。
        ※ VMWare や Hyper-V はあくまでも仮想環境を作るプラットフォーム(仮想マシンを動かすエンジン)であって、実際に管理者が触れるのは管理ツールになるでしょう。今後仮想環境が企業内で増えるという業界の予想から考えると、エンジンの話し以上に管理ツールが重要な意味を持つことになります。
    2. Performance and Resource Optimization (PRO)
      1. SCVMM は1つのパッケージですべてを賄うのではなく、他のツールが持っている機能は利用するというスタンスで作られています。
      2. そのため、SCVMM の状態監視とレポーティングについては、上記の OpsMgr に完全に依存します
        ※ SCVMM 用の管理パックを OpsMgr で動かすと勝手に監視してくれ、レポートも出てきます
      3. そして、この「PRO」というのは何かというと、OpsMgrによる監視とSCVMMが持つ仮想環境の管理の機能を連携させ、システム管理の自動化を目指すものです
      4. (私も実際にモノを見ていないので、私の中での理解となりますが) OpsMgr が監視中の物理マシンの負荷が高すぎた場合に、SCVMM に処理を依頼してその物理マシン上で動作する1つの仮想マシンを別の物理マシンへと移動させるといったことをやるためのものです
        ※ セッションスライドにそのようなアニメーションがあったので、ほぼ間違いないかと。。。

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さて、大きく2つ、小さく4つの機能、いかがでしたでしょうか?

私が言うのも変ですが、Dynamic IT に向けた System Center の成長を見るのは非常に面白いです。

運用管理市場も、運用管理の大切さを理解するべきエンジニアやユーザー様の意識も、そして製品も、まだまだ成長過程にある気もしますが、まずはマイクロソフトの本気度をご理解いただければ幸いです。

また、Microsoft Management Summit 2008では、SCVMM 2008 の機能紹介も含め、多くの製品についてセッションが行われています。

その内容についてはキャッチアップしながらできるだけ皆様にお届けしていきたいと思っております。

マイクロソフト 高添