SCVMM が新しくなる前に (その14) ~ P2V :Windows Server 2003 ~

今回は、「物理サーバーの環境を仮想サーバーに変換する P2V (Physical to Virtual) 機能」について書いてみます。

サーバーの仮想化のシナリオの中には、増えすぎた既存サーバーの統合や、古くなったOS・アプリケーションの仮想マシン化による延命といったシナリオがあります。

仮想化しましょう!!というメッセージにピッタリなシナリオなので、受けもいいです。

しかし、実際に動いていた環境を仮想環境で作りなおすには時間も手間もかかりますから、どうにか動いていた物理環境を仮想マシンに変換(移行?)できないかというご要望も多いはず。

SCVMM は P2V という機能を持っているので、そのご要望にお応えできます。

対象となる物理マシンのOSはこちら。

Microsoft Windows 2000 Server with Service Pack 4 (SP4)

Microsoft Windows Server 2003 with Service Pack 1 (SP1) and later

Microsoft Windows Server 2003 R2

Microsoft Windows XP with Service Pack 1 (SP1) and later

正直な話、XP は試してみたことがないので、今回の Blog には記載しませんが、対象となっている Windows 2000 Server と Windows Server 2003 では事前準備も実際の流れも違うので、この2つについて触れておこうと思います。

今回はいたって簡単な Windows Server 2003 でのパターンです。

SCVMM 管理ツールでバーチャルマシンを表示すると、右上のアクションペインに 物理サーバーの変換という文字が見えます。

それをクリックした後、ざっくりとこんな感じで処理が進みます。

  1. ウィザードが表示され、
  2. 物理サーバーにアクセスして物理マシンの情報を取得
    (OSの種類、ハードディスク構成や容量、ネットワークドライバ情報)
  3. 新しく作る VHD ファイルの容量などの設定
  4. 仮想マシンをホストする物理サーバー(Virtual Server)を指定
  5. 処理実行

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ポイントは、OSが持っているスナップショット機能です。

今回の対象となる Windows Server 2003 はスナップショットが可能なOSで、OSが動いている状態でもすべてのファイルにアクセスしてスナップショットを取ることができます。Windows Server 2003 における P2V はこのスナップショットの機能が利用できるため、物理 Windows Server 2003マシンが動いている状態のままで P2V の処理を行うことができるという特徴を持っています。

マイクロソフトのエンジニアが記者説明会の中で、ユーザーがアクセスしている最中の SharePoint Server 2007 マシンをP2Vで仮想マシンに変換したそうですが、かなり面白いデモになったと聞きました。

確かに、面白い機能ですよね。

※ 「OS はアプリを動かせればよい」と割り切ってしまっている人からは Windows 2000 Server で十分という声を聞くこともありますが、OS が新しくなるということはいろんな意味で機能が向上しているため、このような場面でも Windows Server 2003 らしさが発揮できたりします。

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さて、注意事項が(たぶん)2点あります。

  1. 実際に変換をするので、物理マシンが持っているメモリ容量がそのまま新しい仮想マシンのメモリ容量に反映されます。
    もし、変換した仮想マシンをホストする物理サーバー(Virtual Serverマシン)のメモリが足りないというメッセージがでるようなら、ウィザードではなく SCVMM 用に用意されているPowerShellスクリプトを実行し、New-P2V コマンドのオプションの中でメモリ容量を指定する必要があります。
  2. 変換された仮想マシンは、ネットワーク設定が無効になっています。
    物理マシンが動いたまま仮想化されたマシンを起動しても、同じコンピュータ名や同じIPがバッティングしているといったエラーが出ないのはこのためです。よって、出来上がった仮想マシンを起動する際には、物理マシンをシャットダウンしたり、ネットワークアダプタの設定を見直す必要があることを覚えておいてもらえればと思います。

是非試してみてください!!

(余談ですが) 物理マシンの代わりに動いている仮想マシンを指定することもできます。意味がないように思えるかもしれませんが、もし動きや手順だけ確認したいということでしたら使えるので、変換したいマシンを設定する画面で仮想マシンを指定してみてください。

次回は Windows 2000 Server の P2V についてです。

マイクロソフト 高添