ASIC アクセラレーションによるクラウド サービスのパフォーマンス向上


執筆者: Kushagra Vaid (General Manager, Azure Hardware Infrastructure)

このポストは、2019 5 8 日に投稿された Improved cloud service performance through ASIC acceleration の翻訳です。

 

革新的な新機能を提供するうえで、これまでサプライヤーに頼ってきた能力を自分たちで習得する必要性が高まっています。これは、Azure パブリック クラウド サービスを構築してきたここ数年間の経験からくる実感です。マイクロソフトは今でこそ、独自のサーバー インフラストラクチャを開発し、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの革新的なシリコン テクノロジに投資して、ワークロードを高速化していますが、数年前には前例のないことでした。

Open Compute Project 2019 カンファレンスにおいて、マイクロソフトは Project Zipline を発表しました。このプロジェクトは、新しい最先端の圧縮および暗号化パイプラインの開発と、そのパイプラインをハードウェアに実装するために使用される RTL (Register Transfer Language) をオープン ソース化する取り組みです。Azure の飛躍的な成長により、データ処理とストレージ システムの最適化に対するニーズは急速に高まっています。Zipline は妥協のない圧縮を可能にし、現在提供されている他のソリューションをしのぐ高圧縮率、高スループット、低レイテンシを同時に実現します。

そして今回、Project Zipline のコンパニオン テクノロジである Project Corsica を発表しました。2 年以上前から開発を進めてきた Corsica は、Zipline テクノロジの ASIC 実装であり、圧縮、暗号化、データ認証における Zipline の優れたパフォーマンスを、Broadcom とマイクロソフトが共同開発した専用 ASIC によって高速化します。

社内におけるデータ ストレージおよび暗号化のイノベーション

データの需要は急増しており、業界が賄えるストレージ容量とデータ管理機能が圧迫されています。同時に、セキュリティとプライバシーへの懸念が高まっており、大規模な暗号化は不可欠な要素となっています。

数年前より、マイクロソフトはデータの増大と将来のストレージ ニーズにまつわるクラウド規模の課題に注目してきました。現在のデジタル化された世界では、ビジネス プロセス、顧客エンゲージメント、自律型インフラストラクチャを推進するために人工知能 (AI) が活用されており、かつてないほど大量の情報を作成、保存する必要が生じています。

今回発表した Project Corsica は、データ ストレージ機能に変革をもたらす可能性を秘めています。その革新性は、これまでにマイクロソフトが展開してきたあらゆるテクノロジにも引けを取りません。データはデジタル トランスフォーメーションの中核を成すものであり、企業によって顧客エクスペリエンスの向上、製品やサービスの差別化に活用されています。

Project Corsica は、特に Azure のデータ ストレージ ニーズとサービス品質保証を考慮して設計されました。Corsica により、圧縮と暗号化を CPU から専用のハードウェア アクセラレータに移行することで、データ処理のボトルネックを解消できます。

Corsica のパフォーマンスは実に優れており、クラウド プラットフォームに以下のメリットをもたらします。

  • SSD の転送速度でのデータ ストリームの圧縮および暗号化により、超低レイテンシを実現
  • 複数の Zipline パイプラインを組み合わせて 100 Gbps のデータ スループットを実現し、システムのボトルネックを軽減
  • 圧縮と同時にインラインで暗号化を実行し、システムに影響を及ぼすことなく広範な暗号化を可能に

A comparison of disk writing with Corsica vs CPU.

Corsica で使用されている Zipline の圧縮アルゴリズムでは、クラウド データ向けの他のアルゴリズムよりも大幅に優れた結果が得られます。たとえば、一般的に利用されている Zlib-L4 64KB モデルと比べて圧縮率は 20% 以上向上します。

A look at compression rates of cloud data from application services, IoT text files, and system logs

Corsica の根幹にあるのは、多種多様なデータセットに最適化された最先端の圧縮テクノロジです。RTL 利用すれば、ハードウェア ベンダーはリファレンス デザインに基づいて、このアルゴリズムの圧縮、コスト、消費電力のメリットを活かしたチップを製造できます。Corsica Open Compute Project (OCP) エコシステムに提供されているため、今後も他の協力者の取り組みによって、Azure とそのお客様を含むエコシステム全体にさらなるメリットがもたらされます。

Project Zipline のパートナーとエコシステム

これまで OCP へ投資し、それによって生み出されたイノベーションを分かち合い、さらにパートナー様がお客様により良いソリューションを提供できるようになることを、クラウド ストレージ分野のリーダーとして特に誇りに思います。Corsica の基盤となる Project Zipline テクノロジに対して、以下の業界の協力企業が支持を表明しています。

A list of companies who support Project Zipline and Corsica.

今後、OCP に参加、協力する業界がさらに増え、その業界のお客様にもメリットがもたらされることを楽しみにしています。

マイクロソフトのオープンソース ハードウェア開発についてご覧ください。マイクロソフトが GitHub に提供した Project Zipline は、こちら (英語) からアクセスできます。

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