完全クラウド型電子カルテのプラットフォームに Microsoft Azure が採用

執筆者:クラウド & エンタープライズビジネス本部 本部長 浅野 智

 

日本では、「人生 100 年時代」が急速に当たり前の時代になる中で、医療機能の分担と医療機関同士の円滑な連携による地域住民の患者様への継続的な医療の提供、すなわち「地域医療連携」が急務とされています。 この地域医療連携において、地域の医師と地域医療連携のモデルづくりを行う中での課題は、カルテ情報の中で「どの情報をどう連携・共有するか」というものです。医師によってカルテの記載の仕方は千差万別であり、カルテに記載された情報の中から重要な情報を素早く、正確に把握することが求められます。また、カルテの中には患者のプライバシーに関わる情報や、患者さんとの信頼関係のために重要な情報等が存在し、そうした情報を医師に追加の負担をかけずに、選定して共有できることが重要となります。

 

 きりんカルテシステム株式会社様(以下 きりんカルテシステム)はこれらの課題を解決し、地域医療連携を推進するため、地域のクリニックのコスト負担となっていた電子カルテシステムを無料化した、完全無料クラウド型電子カルテサービス電子カルテ「カルテ ZERO」を提供しています。 このたびその基盤システムとしてマイクロソフトのクラウドプラットフォーム Microsoft Azure、そして AI をはじめとする Microsoft Azure における様々な PaaS 機能を採用頂きました。

 

完全クラウド化を実現するだけではなく、更なる機能の拡張を早いスピードで行っていくため、日本マイクロソフトは早い段階からきりんカルテシステム様に技術支援を行ってまいりました。システム全体のアーキテクチャーのディスカッション及び最新クラウド技術の活用促進するため、両者が一丸となってシステム開発を行うハックフェストを対医療ソリューションとしては先進的な取り組みとして開催、医療情報の取り扱いにおける高度なセキュリティの信頼性を確認いただくとともに、PaaS におけるサーバーリソースの柔軟な利用を評価いただいたことで今回の Azure の採用につながりました。

 

今回の「カルテ ZERO」の基盤で活用いただいている Microsoft Azure の主な機能は以下の通りです。

■ Cognitive Services ( LUIS )

医師が記入した膨大なカルテ情報から、医療業界特有の単語・記述方法を理解し抽出するため、AI 機能である Cognitive Services の自然言語処理技術である Language Understanding intelligent Service を活用。精度高く単語を抽出するとともに柔軟なカスタマイズに対応しています。

■ Azure Database for MySQL

カルテ情報を保存するデータベースとして活用。患者様の情報などの機密性の高いデータを取り扱うため、標準で冗長構成、SLA 99.99 %の高可用性に加え、フルマネージドの高い運用性、暗号化通信、プライベートネットワークからのみの通信制御に対応した高いセキュリティを実現します。

 

また、将来的な利用者の大幅な増加にも柔軟に対応できるよう、システム規模を柔軟にスケールアウト・スケールインできるようにし、リソースの管理を容易にする Azure Kubernates Service(以下AKS)を活用したシステム検証も開始されています。

 

今後も日本マイクロソフトはきりんカルテシステム様と連携し、Microsoft Azure が持つ様々な PaaS 技術の活用により、積極的な地域医療連携の促進を支援してまいります。

https://xirapha.jp/news201809030001/