スマート ビルディング、Azure IoT を基盤として構築


2018 年 6 月 5 日 | Bert Van Hoof、パートナー グループ プログラム マネージャー、Azure IoT

このポストは、2018 年 6 月 5 日に投稿された Smart buildings, built on Azure IoT の翻訳です。
 
 
“スマート ビルディング” という言葉が生まれたのは 1980 年代、ネットワーキングと接続性によって建築環境で行えることに変化が起きてからです。今日、”スマート” という概念の可能性が広がってより新しく高度になるにつれ、“スマート ビルディング” もまた新しい意味を帯びるようになっています。

モノのインターネット (IoT) と人工知能 (AI) の高い可能性を活用すれば、ビルの所有者、運営管理者、および居住者はより効率的な形での管理/居住、コスト削減と省エネ、企業の文化と目標に最適な形での空間利用を実現できるようになります。これらのメリットはさまざまな空間に適用可能です。たとえば、病院、スタジアム、および工場などすべてがよりスマートになり、これらの建物間および建物が存在する都市間をつなぐ電力グリッドもよりスマートになります。

先月の Microsoft Build 開発者向け会議において、私たちはモダン ワークプレースにおけるアンビエント インテリジェンスについてのマイクロソフトのビジョンを打ち出しました。それには、組織をより生産的でコラボレーティブなワークプレースとするために、AI、IoT、および生産性ツールを融合させることが含まれています。しかし、変化するワークプレース トレンド、新しいリース会計ルール、およびコストの削減とより持続可能な運用を求める圧力の高まりを受けて、不動産のエクスペリエンスと管理の方法を変革するための IoT と AI の適用にも関心が高まってきています。

IoT および AI は、インテリジェント クラウドと物理的世界のつながりの強化を支援します。データを使用して “デジタル ツイン” (人、空間、およびデバイスの仮想モデル) を作り出すことで、空間利用状況を分析し、エネルギー効率から従業員の満足度と生産性まであらゆるレベルで、より適切に人々のニーズを満たすよう最適化することができます。

本日ラスベガスでの IBcon/Realcomm 会議において、新しいパートナーの発表と製品機能によって、私たちはこのビジョンを一歩前に進めます。具体的には、空間インテリジェンスを活用するソリューションを容易に開発、拡張、管理、およびセキュリティで保護できるようにする新しい Azure IoT 機能を追加します。これは次のレベルの “スマート” を実現するさまざまな新しいアプリケーション開発の道を開くものとなるでしょう。
 

新しい空間インテリジェンス機能

この初春に、マイクロソフトが今後 4 年間に 50 億ドルを IoT に投資する計画であると発表しました。私たちの目標は、IoT における道のりを簡素化して、すべてのお客様が、どの段階から開始しても、信頼できるコネクテッド ソリューションを開発できるようにすることです。その投資の一部は、人、場所、およびデバイス間の関係と対話をモデル化するソリューションをサポートすることに充てられます。

本日、新しい Azure IoT 空間インテリジェンス機能を発表いたします。モデル化の実現により、コネクテッド デバイスを IoT の世界でさらに一歩前進させる機能です。たとえば、オフィス環境においては空間インテリジェンスにより、空間の実際の利用状況に基づいて、空調や会議室予約システムをより適切に管理できるようになります。

これらの新しい Azure IoT 機能には、トポロジーおよびオントロジーを介した関係モデリング、高度なセンサー処理、マルチテナントまたは入れ子にされたテナントのサポート、およびロールベースのアクセス制御が含まれます。このような機能によって、パートナーはゼロから構築する代わりに、アプリケーション レベルでイノベーションに注力できるようになります。

この機能と、異なるセンサーからではなく単一空間コンテキストでデータのクエリを行う能力とを組み合わせることで、パートナーは繰り返し可能でスケーラブルな空間認識ソリューションを構築する準備が整います。パートナーはデジタル世界と物理世界間でデータを相関させる能力のおかげで、比類のない目的適合性を持つ AI 体験を作り出すことができ、それによって消費者体験の向上、新たな効率性の創出、居住空間の改善のための新しい機会を切り拓くことが可能になります。

これらの新しいプラットフォーム機能は現在限定プレビュー段階ですが、今年後半にはパブリック プレビューに移行する予定です。
 

IBcon/Realcomm で新機能を紹介するパートナー

IBcon/Realcomm のマイクロソフト ブースにおいて、限定プレビュー パートナー 8 社が、それぞれの専門分野において、これらの新しい Azure IoT プラットフォーム機能により成果実現までの時間を劇的に短縮する様子をデモします。私たちは、パートナーがこれらを比較的短期間に構築してくれたことに感激しています。ここに、そのいくつかをご紹介します。

  • Willow は物理世界のためのデジタル環境を構築しています。同社の新しいプラットフォームである “Willow-Twin” は、私たちが建築環境を構築、運用、体験する方法を抜本的に変革する、エンタープライズ ソリューションです。Willow のプラットフォームは建築資産全体 (設計情報、資産データ、マニュアル、保証情報などを含む) からデータを収集し、インテリジェントなデジタル ツインを作成します。”Willow Twin” が新しい Azure IoT 機能を活用して提供するのは、IoT デバイス管理/大量センサー データ保存機能を持ち、エンタープライズ クラスの信頼性とセキュリティを備えたソリューションです。Willow を使用すれば、ユーザーは Azure IoT の新しいコンテキスト ストレージ ノード機能を活用して、ビル内のオブジェクトの空間的配置に基づいて情報を見つけ、これによりビルのパフォーマンスについての正確で関連性の高い洞察を取得できます。Willow のこの革新的機能により、ビルおよびインフラストラクチャの状況を把握して居住者のニーズを反映させることができるようになるため、将来的に運用管理の継続的改善が実現します。
  • L&T Technology Services (LTTS) とマイクロソフトは、Microsoft Azure をベースとしたスマート シティ、キャンパス、およびビルディング ソリューションのための既存のパートナーシップを拡張して、エンタープライズのお客様のための稼働率管理および空間管理にも対応できるようにしました。LTTS の i-BEMS プラットフォームは、エネルギー、持続可能性、稼働率、および空間に関するクラウドベースの資産の使用率およびパフォーマンス管理を提供しますが、今後は新しい Azure IoT 機能を使用し、Dynamics 365 for Field Service とつながるようになります。これらの新機能により、i-BEMS でビルの住居者に対してビル内のどの部屋が占有されているかを示したり、ビルの運営管理者に作業指示書や業務を表示したり、モバイル アプリに作業指示チケットを発行できるようになります。これによって、警備員の派遣、清掃業務のスケジューリング、およびその他の稼働率データに基づくサービスを含む、ファシリティ マネジメント チームによるリアルタイムのアクションが可能になります。LTTS は、セキュリティと拡張性、および Dynamics 365 for Field Service と接続してファシリティ マネジメントおよびオペレーションのユース ケースのROI を迅速に向上させる機能のゆえに、Azure IoT を選択しました。本日、LTTS は北米におけるこれらの新機能の提供を発表します
  • Winvision はこれまでマイクロソフトと緊密に連携して、新しい Azure IoT 空間インテリジェンス機能を活用する次期バージョンの BeSense を開発してきました。BeSense は、建設会社 Heijmans と衛生用品企業 CSU のイニシアティブですが、Winvision はそのオランダの技術パートナーであり、プロパティ マネージャーにビルのワークプレースおよび空間の状況と稼働レベルに関するリアルタイムの洞察を提供する、革新的なセンサー システムを開発します。Winvision は、新しい Azure IoT 機能のセンサー処理能力と空間トポロジー サービスを利用して、新しい BeSense 製品を強化しています。”これらのサービスはきっと、スマート ビルディング ソリューションを自分で開発したいと願うその他の組織の刺激になるはずです。私たちはこれに貢献できたことを、うれしく誇らしく思っています。” - Remco Ploeg 氏、シニア ソリューション アーキテクト、Winvision

 

業種を越えてパートナーの開発を加速

Azure IoT は、ワークプレース設計企業、大手グローバル ISV、さらにテナント エクスペリエンス、ファシリティ マネジメント、ビルディング インフラストラクチャ、建設、および IoT ソリューション プロバイダー業界にまたがる企業を含む幅広いパートナー間でスマート ビルディング ソリューションの開発を加速しています。これらすべての業界において、マイクロソフトはクラウド、IoT、および AI 機能を提供し、パートナーは独自の専門分野にそれらを統合することができます。

ワークプレース設計

ワークスペースの設計において 106 年に及ぶ歴史を持つ Steelcase は、新しい Azure IoT 機能の最初の導入企業で、その機能を活用して Steelcase Workplace Advisor を構築しました。同社はさらに新しい Steelcase Findモバイル アプリにおいてこの使用を拡張しています。Find モバイル アプリによって、作業者はベストの仕事を行うために必要な空間、ツール、および人とつながることができます。このアプリは Steelcase Workplace Advisor および Microsoft Exchange Office 365 と連携して、従業員が最適な空間をすばやく見つけて簡単に予約し、目下のタスクを遂行するのに役立つサイズ、テクノロジ、およびアメニティを選択できるようにします。これは、Azure IoT の空間トポロジーとセンサー処理機能によって実現するもので、マイクロソフトと Steelcase が連携して、人、場所、およびテクノロジを、相互につながったエコシステムとして総体的にまとめることで、優れた従業員エクスペリエンスを生み出すソリューションを設計できることを示す好例となっています。

テナント エクスペリエンス

Convene は、世界で最も著名な商業用不動産の所有者と提携して次世代のオフィス ビルの設計とサービスを提供することで、人々が出会い、働き、イノベーションを行う方法を変革しています。Convene のアメニティ化されたワークプレースは、フルサービスのライフスタイル ホテルに似ています。ワークプレース内のテクノロジに焦点を当てて、Convene が手掛けたビルはモバイル デバイスとリアルタイムの匿名データを使用してテナントを物理的な空間に結び付けます。そのデータとセンサーによるサービスの多くは今では新しい Azure IoT 機能に基づいて構築されています。このパートナーシップはシームレスなテナント エクスペリエンスを生み出し、価値の高いデータによる洞察を商業用不動産の所有者に提供することで、所有する空間の状況をより良く把握して管理を向上できるようにします。

ファシリティ マネジメント

世界最大手の不動産企業である CBRE は、今年初めに CBRE 360 を発表しました。CBRE 360 は、資産の投資者と居住者に、ビルのアメニティとサービスへの単一のシームレスなアクセス ポイントを提供する、カスタマイズ可能なコネクテッド ワークプレース ソリューションです。新しい Azure IoT 機能を利用することで、CBRE 360 モバイル アプリとプラットフォームは、ユーザーがワークプレースにナビゲートしたり、同僚と会議をセットアップしたり、ワークスペースを予約したり、飲食サービスやビルおよびコンシェルジュ サービスにアクセスすることを可能にします。
Essity の世界有数の業務用衛生用品ブランドである Tork は、清掃業者とファシリティ マネージャーに清掃のニーズに関するリアルタイムのデータを提供することで効率性、ユーザーの満足度、およびスタッフのモチベーションを劇的に向上させる、世界的に有名なファシリティ マネジメント ソフトウェアであるTork EasyCube によって急速に顧客を獲得しています。Essity の Microsoft Azure とのパートナーシップにより、Essity がさらに優れた製品とサービスを提供できるようにする新しいデジタル クラウド プラットフォームが実現します。”グローバル パートナーとしてマイクロソフトと提携することで、よく知られたプラットフォームからよりアクセスしやすくなるため、私たちは将来のどのようなエコシステムにおいてもよりスケーラブルで強力になることができます。” - Robert Sjöström 氏、戦略およびビジネス開発担当シニア バイス プレジデント、Essity 。EasyCube は、新しい Azure IoT トポロジー、センサー処理、ロールベースのアクセス制御すべてをカスタム ハードウェアで活用しています。

建設

建設業界においては、マイクロソフトは PCL Construction と提携して、共同イノベーションとスマート ビルディングの実装の開発を促進してきました。PCL は高度な Azure IoT 機能を活用して、次世代のスマート ビルディング ソリューションを開発しています。たとえば、PCL は顧客、キャンパス、建設現場、および特定のエリアを表すためにトポロジーを使用しています。同社はプラットフォームのロールベースのアクセス制御機能を利用し、またプラットフォームの通知機能を活用して、危険な建設現場や特に注意が必要な現場についてアラートを送信します。こうした新機能を利用して構築できるため、PCL は建設の効率性と安全性の向上、居住者の満足度と生産性の増加、およびアクション可能な洞察の獲得によって地球にプラスの影響を与えるという同社の目標に集中することができています。

ビルディング インフラストラクチャ

コネクテッド ビルディングのグローバル リーダーであり Azure パートナーである Honeywell は、ビルの居住者とマネージャーを Honeywell Vector Occupant アプリを介してワークプレースに接続し、ビルディング マネージャーの生活の簡素化、居住者のエクスペリエンスの改善、ビルの運用効率の向上を促進しています。たとえば、ミネソタ州では、Honeywell アプリは歩行者に Minneapolis Skyway System へのナビゲーションを提供しています。このアプリでは IoT 接続性を利用して屋内の場所、マッピング、ルーティング、プレゼンス、接近通知、およびアナリティクスを提供し、これらすべては統合プラットフォームに組み込まれています。Honeywell は自社のビルディング インフラストラクチャ ソリューションをさらに強化するために、Azure を選びました。

IoT ソリューション プロバイダーとハードウェア メーカー

IoT ソリューション プロバイダーとハードウェア企業も新しい Azure IoT 機能を重宝しています。スウェーデンのテクノロジ企業である Yanzi は、スマート ビルディングのためのセンサー インフラストラクチャを提供し、ワイヤレス IoT  センサー、IoT ネットワーク スタック、および Azure 上で実行され、新しいプラットフォーム機能を利用する完全なクラウド プラットフォームを構築しています。これらのソリューションは既に世界中のファシリティ マネジメント サプライヤーと不動産所有者によって使用されています。
Rigado は IoT デバイスの接続性とエッジ インフラストラクチャを企業に提供することで大規模な商用 IoT ソリューションを実現し、ユニークな EaaS (Edge as a Service) モデルによって複雑性、コスト、およびリスクを削減しています。同社のCascade IoT Gateway ソリューションおよび認定ワイヤレス モジュールは Azure IoT と統合し、大規模なスマート ビルディング ソリューションを実現しており、世界中の商用オフィス ビルやグローバル リテール顧客によって使用されています。

その他のパートナーには SharpAvocor も含まれています。今週の Computex と InfoComm において、引き続きマイクロソフトの幅広いパートナー エコシステムについての発表にご注目ください。
 

セキュアなプラットフォームの構築

コネクテッド スペースは、デバイスとセンサーを私たちの日常の環境に持ち込みます。これらのデバイスと共に、それらをセキュリティで保護する必要も生じます。先月マイクロソフトは、強固にセキュリティ保護された、インターネットに接続されたマイクロコントローラー デバイスを開発するための新しいソリューションである、Microsoft Azure Sphere のプレビューを発表しました。Azure Sphere は、コネクテッド スペースの安全を維持する上で重要な役割を果たします。

これらの新しい空間インテリジェンス機能は Azure IoT プラットフォームの一部として開発され、マイクロソフトのパートナーに Microsoft Azure のよく知られたスケーラビリティ、信頼性、コンプライアンス、セキュリティ、およびプライバシーの利点すべてを提供します。クラウド プロバイダーとして最も包括的なコンプライアンス オファリングと、セキュリティに対する毎年 10 億ドルの投資により、マイクロソフトはクラウドからエッジまで、データがどこにあってもセキュリティで保護するために 24 時間体制で取り組んでいます。
 

空間を接続してよりスマートな都市を構築する

IoT は、業界の垣根を越えて変革を推し進め、コネクテッド インテリジェント デバイス導入の大々的な伸びを牽引しています。デジタル世界と物理世界の両方をモデル化し、人間が空間と対話する方法をより良く理解する能力は、建築環境を変革します。オープンでセキュアな、そして包括的な方法で設計されるなら、スマート ビルディングは生産性を大きく向上させることができます。たとえば、障害が発生する前に機器を修理するために施設に技術者を派遣したり、オフィス テナントが緊急の会議のための空間を見つけられるようにすることができます。

空間インテリジェンスは、ビルの所有者、運営管理者、居住者、および訪問者が、オフィス、教育、小売業、病院、ホスピタリティ、スタジアム、キャンパス、そして最終的には都市環境と対話する方法に影響を及ぼします。スマート シティの概念は、都市における移動性、輸送、交通、住宅およびビル、エネルギー、水道、市民エンゲージメント、公共の安全およびセキュリティといった多様な領域を網羅します。これら領域をまたがるソリューションが相互に接続され、データが共有されるようになるまで、真にスマートな都市は実現しないでしょう。

Azure IoT の提供する空間インテリジェンスは、空間の価値を大々的に解き放ち、空間の持続可能性/快適さ/包括的管理可能性の向上をもたらします。
 

参考資料

 

タグ: Azure、IoT、スマート ビルディング、スマート空間、スマート ワークプレース、スマート シティ、センサー、生産性、ファシリティ マネジメント、エネルギー、空間稼働率

 

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