SAP HANA on Azure への移行


執筆者:  Michiel van Otegem

このポストは、7 月 1 日に投稿された Migrating to SAP HANA on Azure の翻訳です。

 

SAP HANA DBMS 上の S/4HANA プラットフォームは、SAP Business Suite 7 の多くの機能を強化し、ビジネス プロセスに付加価値を与えるものになっています。このため、お客様に基盤の DBMS として SAP HANA を使用する SAP S/4HANA に移行することを説得力を持ってお勧めできるようになりました。また、S/4 HANA への移行をお勧めするもう 1 つの理由は、SAP ノート #1648480 – 「SAP Business Suite 7 ソフトウェアのメンテナンスで詳しく説明されているように、ABAP スタックを基盤とするすべての SAP Business Suite 7 アプリケーションのサポートが 2025 年まで継続される点です。上記の SAP ノートには、すべての SAP Business Suite 7 アプリケーションのサポートと SAP Java スタックの各バージョンのサポート期限が記載されているのでご確認ください。

注: リンク先の SAP ドキュメントを参照するには、SAP のアカウントでログインが必要な場合があります。

HANA への移行戦略

SAP HANA は SAP が販売する高性能インメモリ データベースで、SAP ERP や SAP BW などの既存の SAP NetWeaver を基盤とするアプリケーションのほとんどを実行できます。SAP をサポートしている他の DBMS (SQL Server、Oracle、DB2 など) でこれらの NetWeaver アプリケーションを実行する場合と、機能的にほとんど違いはありません。詳細については、SAP 製品のリリース一覧 (英語) を参照してください。

次世代の SAP プラットフォームである S/4HANA および BW/4HANA は、HANA に特化した設計となっており、SAP HANA DBMS の能力を最大限に活用できます。S/4HANA への移行戦略としては、次の 2 つをお勧めします。

HANA への移行については、どちらの戦略を採用するかがカギとなります。各戦略の影響とメリットは、SAP、ユーザー、Azure の観点から大きく異なります。2 の移行戦略の最初のステップは、技術的な移行のみで、ビジネス プロセスの観点からはわずかなメリットしかありません。一方、S/4HANA への移行 (1 の直接移行、2 の 2 つ目のステップ) は機能的な移行となります。機能的な移行は業務やビジネス プロセスに与える影響が大きく、移行に必要な手間も増えます。通常、SAP S/4HANA への移行には、ビジネス プロセスのマッピングの大幅な変更が伴います。このため、マイクロソフトのグローバル システム インテグレーターが関与する S/4HANA プロジェクトの多くでは、各種 SAP 製品や LOB 製品へのビジネス プロセスのマッピングや SaaS サービスの使用方法の完全な見直しが必要となっています。

HANA とクラウド

S/4HANA を基盤にビジネス プロセスのマッピングの再構築と統合を行う以外にも、S/4HANA と SAP HANA DBMS の両方またはいずれかを使用する場合には、SAP のワークロードを Microsoft Azure などのパブリック クラウドに移行することを検討する余地があります。多くの場合、Azure を使用すると、移行コストを最小限に抑えながら SAP 環境の柔軟性を向上させることができます。SAP HANA ではほとんどのデータをメモリ上に保持する必要があるため、それまで使用されていたサーバー ハードウェアと比較するとサーバー インフラストラクチャのコストが上昇する傾向があります。

一方、Azure は TCO が低く、SAP HANA を基盤とするワークロードをホストするパブリック クラウドとしては理想的です。また、リソースを柔軟に取得したり解放したりできるため、コスト削減にも効果があります。たとえば、SAP のような階層化環境では、ワークロードに応じて SAP システム内の SAP アプリケーション インスタンスの数を増減させることができます。また、最新の発表で、SAP HANA に特化した Microsoft Azure パブリック クラウドで最大規模のサーバー SKU が提供されることがアナウンスされました。

現在の Azure SAP HANA の機能

下の図は、SAP HANA を実行する Azure 認定を示しています。

HANA の大規模インスタンスは、大規模な HANA ワークロードを実行するベア メタル ソリューションとして使用できます。HANA 環境では、HANA の大規模インスタンスを複数ユニット使用すると、RAM のスケールアップは最大 20 TB まで、スケールアウトは 60 TB まで可能です。HANA の大規模インスタンスは、インスタンスのサイズに応じて 1 年または 3 年の契約で購入できます。3 年契約の場合は大幅な割引が適用され、非常に手頃な価格で高い性能が得られます。HANA の大規模インスタンスはベア メタル ソリューションであるため、注文プロセスは Azure 仮想マシン (VM) の注文やデプロイによって異なります。VM は Azure ポータルから作成可能で、数分ほどで使用準備を整えることができます。HANA の大規模インスタンス ユニットは、発注してから数日以内で使用を開始できます。HANA の大規模インスタンスの詳細については、「SAP HANA on Azure (L インスタンス) の概要とアーキテクチャ」ドキュメントを参照してください。

HANA の大規模インスタンスを発注する際には、SAP HANA on Azure に関する情報のリクエストへのご回答をお願いします。

上の図を見るとわかるとおり、一部の Azure SKU ではすべての SAP ワークロードを実行することが認められておらず、HANA ワークロードは大規模な VM SKU でのみ実行できることが示されています。開発/テスト用ワークロードでは、DS13v2 や DS14v2 などの比較的小規模な VM サイズを使用できます。既存の SAP 環境を HANA on Azure に移行する場合、メモリ負荷が非常に高いため、HANA の大規模インスタンスが必要になります。

先日 Jason Zander のブログ記事で新しいサイズの Azure VM が発表されましたが、この新しいサイズと共に既存の VM サイズの一部を認定することが Azure のロードマップの中で予定されています。新しい VM サイズが導入されたことにより、SAP HANA や S/4HANA、BW/4HANA のインスタンスを Azure に移行する場合により柔軟な選択が可能になります。認定に関する最新情報については、SAP HANA on Azure のページを参照してください。

複数のデータベースを単一の大規模インスタンスに統合

Azure は、SAP システムや SAP HANA システムを実行するプラットフォームとして非常に優れています。Azure を使用すると、オンプレミスやホスト型のソリューションよりもコストを削減できるうえ、高い柔軟性や堅牢な災害復旧機能が得られます。大規模な HANA データベースのメリットについては既に説明しましたが、比較的小規模な HANA データベースの場合はどうでしょうか?

中堅中小企業や部署単位のシステムでよく使用される比較的小規模な HANA データベースは、1 つのインスタンスに統合すると、低コストで高性能を得られるという大規模インスタンスのメリットを享受できます。SAP HANA では以下の 2 つのオプションを選択できます。

  • MCOS – 複数のコンポーネントを 1 つのシステムで運用
  • MDC – 階層化データベース コンテナー

この 2 つの違いの詳細については、SAP Web サイトのマルチテナントに関する記事 (英語) を参照してください。マルチテナント オプションのさらに詳しい情報については、SAP ノートの #1681092 (英語)#1826100 (英語)#2096000 (英語) を参照してください。

MCOS は、単一ユーザー向けのオプションです。SAP ホスティング パートナーが HANA の大規模インスタンスを複数の顧客で共有する場合は、MDC を使用します。

SAP Business Suite (OLTP) を SAP HANA で実行したい場合は、SAP HANA を HANA の大規模インスタンスの一部としてホストできます。SAP アプリケーション階層はネイティブな Azure VM でホストされるため、その柔軟性を活用できます。M シリーズ VM の提供開始後は、より高い柔軟性を持つ VM で SAP HANA をホストできます。

SAP ワークロードを Azure に移行する動き

Azure は、さまざまな業界のお客様の間で、SAP ワークロードを実行するプラットフォームとして大きな注目を集めています。Azure は SAP HANA のプラットフォームとして理想的ですが、お客様の多くは SAP NetWeaver システムを Azure に移行するところから始めています。Oracle、SQL Server、DB2、SAP ASE を実行する環境をクラウドに移行する場合だけでなく、UNIX を基盤とする専用のオンプレミス システムを、Azure でホストされる Windows/SQL Server、Windows/Oracle、Linux/DB2 の SAP システムに移行したお客様もいます。

マイクロソフトが共同で作業しているシステム インテグレーターの多くは、このようなお客様が増えていることを実感しています。ほとんどのお客様は、SAP Business Suite 7 アプリケーションの SAP HANA への移行を省略し、S/4HANA への移行に集中して長期的に行うという戦略を取っています。簡単に説明すると、この戦略は以下のようになります。

  1. 短期: SAP 環境を Azure の業界標準の OS プラットフォームに移行することに集中し、コストを削減する
  2. 短~中期: テストおよび開発用の S/4HANA を Azure に実装し、ハードウェアを調達することなく Azure の柔軟性を利用して迅速に概念実証環境や開発環境の作成 (および削除) を行う
  3. 中~長期: Azure に S/4HANA を基盤とする SAP アプリケーションの運用環境をデプロイする
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