SAP ワークロードに最適なパブリック クラウドがさらに強力に

執筆者: Jason Zander (CVP, Microsoft Azure Team)

このポストは、5 月 16 日に投稿された The best public cloud for SAP workloads gets more powerful の翻訳です。

 

現在、多くの企業が主要なビジネス アプリケーションをクラウドに移行するメリットを実感するようになっています。それに伴い、企業の視点も「なぜクラウドにすべきか?」というものから、「どのクラウド プロバイダーを選べば良いか?」というものへと進化してきました。企業のお客様が求めるのは、ミッション クリティカルなアプリケーションで常に高いパフォーマンスを発揮し、プライバシーを確実に保護し、拡張性を確保できるようになることです。Microsoft Azure では、拡張性とパフォーマンスにおいて基準を定めているほか、コンプライアンスおよび信頼性について業界をリードする対策を講じ、パブリック クラウドをどのベンダーよりもグローバルに展開しています。特に SAP ワークロードについては、マイクロソフトと SAP の間に強固なパートナーシップを築くことで、両社共通のお客様に対して要求水準の高いエンタープライズ アプリケーションに対応した業界最高クラスのサポートを提供しています。

マイクロソフトはこれまで、Azure を SAP HANA ワークロードに最適なパブリック クラウドとして成長させるために多大な投資を行ってきました。その結果、Azure は現在 HANA をサポートするパブリック クラウド プロバイダーの中で最も強力でスケーラブルなインフラストラクチャを提供するまでに進化しました。また、Azure では SAP ソリューション環境からさらに多くのインテリジェンスを引き出せる AI や分析機能を提供しているほか、Office 365 との統合による生産性向上支援など、長年にわたる包括的なパートナーシップも築いてきました。さらには、SAP ソリューション ワークロードを活用した企業支援のための巨大なパートナー エコシステムも形成しています。

以下に、この注目すべき分野における新たな展開についてご紹介します。

  • SAP HANA の最大規模のパブリック クラウド資産の運用をサポート: 仮想マシンと大規模インスタンスをセットで提供します。
    • SAP HANA やその他のハイエンド データベースのワークロードを強化することを目的に、Intel® Xeon® Processor E7-8890 v3 を搭載した M シリーズ Virtual Machines を導入し、単一ノードで最大 3.5 TB のメモリをサポートします。これにより、新しい仮想マシンをすばやく追加して新しいビジネス プロセス シナリオをテストし、テストが終了したらスピンダウンして余計なコストが発生しないようにすることが可能になります。
    • リアルタイムのトランザクション アプリケーションでは、シングル ノードでのスケールアップが必要になります。現在のハイパーバイザーの制限に縛られない SAP S/4HANA や SoH などの OLTP 環境を使用しているお客様に向けて、SAP HANA on Azure の新しい大規模インスタンス SKU を導入します。Intel® Xeon® Processor E7-8890 v4 を採用し、メモリは 4 TB ~ 20 TB までご用意します。
    • 膨大な量のデータからインテリジェンスを収集し活用する SAP ビジネス ウェアハウス環境には、マルチノードのスケールアウト システムが必要です。そこで、将来的に SAP BW や SAP BW/4HANA などのアプリケーションで使用できるように、最大 60 TB のメモリの SAP HANA 大規模インスタンスをサポートします。
  • SAP Cloud Platform: Microsoft Azure でホストされる SAP PaaS 製品のパブリック プレビューを開始しました。構築済みの SAP Cloud Platform コンポーネントを活用してビジネス アプリケーションを作成しながら、Azure サービスの幅広いツールセットを利用できます。
  • SAP HANA Enterprise Cloud: マイクロソフトは SAP と共に、安全なマネージド クラウド サービスである SAP HANA Enterprise Cloud のデプロイ オプションに Azure を利用可能にすることを目指しています。これが実現すれば、SAP HANA Enterprise Cloud 内の Azure で稼働する SAP ソリューションと、他の Azure ワークロード間のプライベートな接続に加えて、Azure で培われたエンタープライズ クラスのコンプライアンスとセキュリティ面でのメリットを活用できるようになります。
  • SAP と Azure Active Directory のシングル サインオン: SAP Cloud Platform Identity Authentication サービスが Azure Active Directory と統合されました。これにより、SAP Cloud Platform Identity Authentication と統合されているすべての SAP ソリューションでスムーズな Web ベースのシングル サインオン機能の実装が可能になります。他にも、SAP SaaS ソリューション (Concur、SAP SuccessFactors など)、SAP NetWeaver ベースの中核ソリューション、SAP HANA も、Azure Active Directory と統合されています。

昨年、SAP 最大のカンファレンス「SAPPHIRE NOW」の基調講演で、Satya Nadella が SAP とのパートナーシップが新たな時代を迎えたことを発表 (英語) しました。その中で、Azure の大規模インスタンス インフラストラクチャを早期に採用した Coats LLCRockwell Automation の自社 SAP ソリューション環境の運用事例をご紹介したところ、SAP のデプロイに Azure を採用するお客様が急増するという大きな反響がありました。ここでは SAP ソリューション ランドスケープ用のクラウド プラットフォームとして Azure を採用いただいたお客様の例をいくつかご紹介します。

  • Accenture: パブリック クラウドのビジネス ウェアハウス SAP HANA デプロイメントとしては最大規模であり、Accenture 独自のミッション クリティカルな金融レポート システムが Azure で運用されています。Accenture の Azure 活用の詳細については、今週開催される SAPPHIRE NOW 2017 のセッション (英語) をぜひご視聴ください。
  • Pact Group (英語): アジア太平洋地域で事業を展開する包装製品メーカーである Pact Group は、自社のオンプレミスの SAP サーバーを Azure に移行することで、年間 20% のコスト削減を見込んでいます。現在は自社のアプリケーションとコンピューティング能力の 90% 以上を Azure で運用しています。
  • Mosaic (英語): 農作物の肥料に使用されるリン酸塩および炭酸カリウムの世界最大のメーカーである Mosaic は、グローバルな財務、商取引、サプライ チェーンの SAP システムをすべて Azure に移行し、ビジネスのスピードと俊敏性を高めています。コスト削減の効果は前年比で 20% になると見込んでいます。
  • IXOM (英語): IXOM は水処理用化学薬品の販売会社で、親会社からの事業分離の際に自社の SAP アプリケーションを Microsoft Azure に移行し、将来を見据えてクラウド ファーストのアプローチを採用することにしました。
  • Subsea7 (英語): 海中でのエンジニアリング、建設、サービスを手掛ける世界屈指の企業である Subsea7 は Accenture と提携し、Azure でホストされた SAP Business Suite on SAP HANA を活用してコスト削減と大幅な効率化を実現しています。同社の目標は、シンプルで高速かつ緊密な統合ランドスケープを通じて、世界各地の社員にモビリティ、俊敏性、高度なユーザー エクスペリエンスを提供することです。

SAP ソリューション環境を Power BI や Cortana Intelligence と統合し、より多くのインテリジェンスとインサイトを取得できる Azure のメリットを活用することで、お客様はビジネス チャンスをさらに拡大し、効率性をこれまで以上に高められるようになります。

マイクロソフトのインテグレーション パートナーは、お客様の成功を支援し、マイクロソフトと SAP 両方のエコシステムのスキルと専門知識を持つという意味で、Azure 上の SAP ソリューション デプロイメントにおいて欠かせない存在です。SAPPHIRE NOW 2017 では、Accenture、Cognizant、HCL、Infosys、TCS、Wipro といったグローバル システム インテグレーターとして活躍するマイクロソフト パートナーを例に、SAP の Azure での展開を検討しているお客様が実現できる価値や運用面での改善効果についてご紹介します。

今回の発表内容の詳しい情報については、こちらのページをご覧ください。また、SAPPHIRE NOW に参加される際はぜひマイクロソフトのブース (#468) までお立ち寄りいただけると幸いです。