Azure Site Recovery と Azure Hybrid Use Benefit の併用で Azure へのアプリケーション移行をさらに低コスト化
執筆者: Bharath Sivaraman (Program Manager, OMS Site Recovery)
このポストは、10 月 24 日に投稿された ASR and Azure Hybrid Use Benefit make application migration to Azure even more cost-effective の翻訳です。
Hybrid Use Benefit (HUB) を使用すると、ソフトウェア アシュアランスのお客様はご自身が保有するオンプレミスの Windows Server ライセンスを Azure に移行予定のアプリケーションに移動し、データセンターを簡単にクラウドに拡張することができます。HUB プログラムでは、アプリケーションを業界最先端の企業向けハイブリッド パブリック クラウドに移動して大幅なコスト削減と資産の生産性向上を実現できるほか、ライセンス調達コストも大きく節約することができます。
移行ツールには Azure Site Recovery (ASR) を使用します。ASR では仮想化プラットフォームと物理サーバーを使用して、最小限のダウンタイムでストレスなくアプリケーションを Azure に移行できます。また、Azure 上で事前にアプリケーションをテストできるほか、復旧計画に沿ってワンクリックで移行可能なため、Azure への移行作業がとても簡単です。ASR では Windows Server や各種 Linux ディストリビューションなどのさまざまな OS の移行をサポートしており、アプリケーションを実行しているプラットフォームの種類を気にすることなく利用できます。さらに、ASR は無料でご利用いただけます。ご存じでない方もいたかもしれませんが、ASR での移行は無料で実施できます。また、サーバーの複製を開始してから 31 日間は、Azure で使用するストレージとコンピューティングの料金だけで移行テストを行うことができます。
そしてこのたび、ASR で Windows Server から Azure への移行に HUB をご利用いただけるようになりました。この記事では、Windows Server 環境を Azure に移行する場合の ASR と HUB の活用法について説明します。
Azure Site Recovery でのセットアップ
まずは、ASR でセットアップを行い、Azure へのアプリケーションの移行を開始します。この作業は、以下の手順のとおりわずか数ステップで簡単に行うことができます。
Hyper-V で仮想化されている場合は、こちらの記事に従ってサーバーを Azure に複製してください。
VMware で仮想化されている場合や物理サーバーで実行されている場合は、こちらの記事に従って複製してください。
HUB は Azure Resource Manager (ARM) モデルの仮想マシンにのみ対応しています。複製で利用するストレージ アカウントがクラシック モデルではなく ARM モデルのストレージ アカウントであることを確認してください。
初期複製が完了したら、サーバーは ASR で保護済みの状態になります。この時点から、アプリケーションを Azure に移行するテストと移行作業の準備を開始できます。
Azure ポータルの複製されたアイテムの設定ブレードで [Compute and Network] 構成に移動し、移行先の Azure 仮想ネットワークと仮想マシンのサイズを選択します。
HUB を使用した移行の構成
サーバーが保護済みになり、またフェールオーバー テストを実施して Azure でアプリケーションが実行可能であることを確認したら、後はサーバーの移行に HUB を使用するように ASR を構成するだけです。この作業は、Azure PowerShell を使用して数ステップで簡単に行えます。最新バージョンの Azure PowerShell はこちらからダウンロードできます。AzureRM.SiteRecovery モジュールが最新バージョン (バージョン 3.1.0 またはそれ以降) であることを確認してください。
PS C:\Users\bsiva> Get-Module -ListAvailable AzureRm.SiteRecovery
Directory: C:\Program Files (x86)\Microsoft SDKs\Azure\PowerShell\ResourceManager\AzureResourceManager
ModuleType Version Name ExportedCommands
---------- ------- ---- ----------------
Manifest 3.1.0 AzureRM.SiteRecovery {Get-AzureRmSiteRecoveryFabric, New-AzureRmSiteRecoveryFabric, Remove-AzureRmSiteRecoveryFabric, Stop-AzureRmSiteRecoveryJob...}
自身の Azure アカウントでログインして Azure サブスクリプションを選択します。
PS C:\Users\bsiva> Login-AzureRmAccount
Environment : AzureCloud
Account : bsiva@microsoft.com
TenantId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
SubscriptionId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
SubscriptionName : ASR PM team subscription 5
CurrentStorageAccount :
PS C:\Users\bsiva>
PS C:\Users\bsiva>
PS C:\Users\bsiva> Select-AzureRmSubscription -SubscriptionName "DR Hybrid Application Scenarios"
Environment : AzureCloud
Account : bsiva@microsoft.com
TenantId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
SubscriptionId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
SubscriptionName : DR Hybrid Application Scenarios
CurrentStorageAccount :
Recovery Services の資格情報コンテナーのコンテキストを設定します。
PS C:\Users\bsiva> $vault = Get-AzureRmRecoveryServicesVault -Name "Contoso-RecoveryVault" PS C:\Users\bsiva> Set-AzureRmSiteRecoveryVaultSettings -ARSVault $vault ResourceName ResourceGroupName ResourceNamespace ResouceType ------------ ----------------- ----------------- ----------- Contoso-RecoveryVault Contoso-Recovery Microsoft.RecoveryServices vaults
資格情報コンテナーで複製するマシンのリストを取得します。
PS C:\Users\bsiva> $ReplicatedItems = Get-AzureRmSiteRecoveryFabric | Get-AzureRmSiteRecoveryProtectionContainer | Get-AzureRmSiteRecoveryReplicationProtectedItem
PS C:\Users\bsiva> $ReplicatedItems | Select-Object -Property FriendlyName
FriendlyName
------------
Contoso-EngWikiDB
Contoso-PayrollDB
HUB のライセンスの種類を設定して移行対象のマシンを設定します。
PS C:\Users\bsiva> $Job1 = Set-AzureRmSiteRecoveryReplicationProtectedItem -ReplicationProtectedItem $ReplicatedItems[0] -LicenseType WindowsServer
ASR ジョブが完了したことを確認します。
PS C:\Users\bsiva> Get-AzureRmSiteRecoveryJob -Job $Job1
Name : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
ID : /Subscriptions/xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx/resourceGroups/Contoso-Recovery/providers/Microsoft.RecoveryServices/vaults/Contoso-RecoveryVault/repl
icationJobs/xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxx
Type :
JobType : UpdateVmProperties
DisplayName : Update the virtual machine
ClientRequestId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx-2016-10-19 18:50:18Z-P ActivityId: xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
State : Succeeded
StateDescription : Completed
StartTime : 10/20/2016 12:20:18 AM
EndTime : 10/20/2016 12:20:22 AM
TargetObjectId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
TargetObjectType : ProtectionEntity
TargetObjectName : Contoso-EngWikiDB
AllowedActions :
Tasks : {Update the virtual machine properties}
Errors : {}
これで、アプリケーションを Azure に移行するための設定作業はすべて完了です。
Azure への移行
ASR のセットアップが完了し、HUB を利用して Azure に移行する準備ができました。最後にアプリケーションを移行します。この作業は、ポータルまたは ASR PowerShell コマンドレットのいずれからでも可能です。ポータルから実行する場合は、Recovery Services の資格情報コンテナーに移動し、セットアップが完了した複製対象のマシンまたは復旧計画を選択してからフェールオーバー操作を選択します。
フェールオーバー ジョブが正常に完了すると、サブスクリプション内の仮想マシンに移行された VM が表示されます。こちらのドキュメントに従って、VM にライセンス特典が適用されていることを確認します。
ここで、Recovery Services の資格情報コンテナーでセットアップされたレプリケーションを削除します。[Complete Migration] を選択し、アプリケーションをホストしていたオンプレミスのインフラストラクチャを破棄します。
クラウドへの移行は驚くほど簡単になり、シンプルな手順で既存のアプリケーションを移行し、クラウドの優れた経済性とハイパースケールに対応した Azure プラットフォームの能力を手軽に利用することができます。
さらに ASR を活用して、自社の IT インフラストラクチャでビジネス継続性を確保したり、アプリケーションを移行したりするには、以下の情報を参照ください。
製品ページをご確認いただき、ぜひ Azure Site Recovery でワークロードを Microsoft Azure に移行してみてください。強力なレプリケーション機能を持つ Site Recovery は 31 日間無料で使用できます。複製先にはあらゆる新規物理サーバーや仮想マシンを選択できます。Azure Site Recovery に関する情報の入手や他のユーザーとの情報交換には、MSDN のフォーラム (英語) をご利用ください。また、新機能に対するご要望は Azure Site Recovery の UserVoice (英語) までお寄せください。
Azure Site Recovery は Microsoft Operations Management Suite のコンポーネントの 1 つであり、実行場所 (Azure、AWS、Windows Server、Linux、VMware、OpenStack) を問わず、コスト効率が高いオールインワンのクラウド IT 管理ソリューションでワークロードをきめ細かく制御、管理することができます。System Center をご利用のお客様は、Microsoft Operations Management Suite アドオンを使用して、既存の投資をさらに有意義に活用いただくことができます。System Center をお使いのすべてのユーザーの皆様は、差額のお支払いですぐに Microsoft Operations Management Suite で提供されているあらゆる新サービスをご利用いただけます。また、必要な IT 管理サービスのみを利用することもできます。機能はすぐに実装でき、使用した機能のみが課金されます。