Azure Stack の最新 Technical Preview をリリース: 新たなアイデアやソリューションの創造を実現

執筆者: Jeffrey Snover (Windows Server in Azure Stack, Announcements)

このポストは、9 月 26 日に投稿された New ideas, new solutions, new technical preview of Azure Stack の翻訳です。

 

このたび Azure Stack の Technical Preview 2 (英語) をリリースしました。これにより、さらにレベルアップした Azure の能力を企業の皆様のデータセンターでご利用いただけるようになります。最初の Technical Preview をリリースして以来、マイクロソフトは多くのお客様から Azure Stack で構築したいソリューションや解決したい問題についてご相談をいただき、そこから Azure Stack が Azure 環境をネイティブに拡張したものだと皆様に認識されていることがわかりました。そのとおり、Azure Stack は企業の皆様が抱えるビジネス上の個々の課題に合わせて新しいソリューションを実装したり、シャドー IT の根本的原因を解決するためにご利用いただけます。Azure Stack は Microsoft Azure と完全な一貫性を持つため、法令による規制やデータの機密性に関する制限、レイテンシ、独自の機能に関する要件など、ビジネス上の制限がより厳格になった場合にもご利用いただけます。クラウド プラットフォームとしての一貫性があるため、どの環境でもそのままプロセスやスキルを活用できるので、クラウドによる IT 革命を企業のファイアウォール内の環境でも進めることができます。

マイクロソフトには、パブリック クラウドを利用する機会があまりなさそうな業界の方々からのご意見も多く寄せられています。法規制の厳しい金融機関や遠隔地に工場を持つ製造企業、文字どおり広大な海の真ん中で大量のデータを処理するアプリケーションの実行が必要なクルーズ客船など、さまざまな状況が考えられますが、いずれの場合でもパブリック クラウドの迅速なイノベーションを利用し、その機能を必要な場所で展開して新しいビジネス機会を発掘したいという思いは同じではないかと思います。

Azure Stack では多様なアプリケーション パターンが実現されますが、その中でも特に開発者やビジネス リーダーの皆様にご注目いただきたいのが、新しいハイブリッド アプリケーション パターンです。このパターンは最初から Azure と Azure Stack にまたがった利用を想定した設計のソリューションで、両方の環境を最大限に活用できます。このパターンを利用すると、開発者は各リソースのリスクを抑えつつもリアルタイムのアクセスが可能です。また、IT ビジネス プランナーは顧客のニーズに的確に対応できるよう両環境を組み合わせてコスト モデルを構築したり、収益やビジネス ルールの管理を効率的に行うこともできます。こうしたすべてのメリットは、パブリック クラウドとデータセンターの両方で一貫したアプリケーション プラットフォームを利用できるという特長なくしては実現しません。たとえば、世界規模でアプリケーションをロールアウトする場合を考えてみましょう。このアプリケーションには異なる方法でデプロイすることを想定したコンポーネントが含まれていますが、これらは同じように動作し、同じように管理できることになるため、デプロイの方法が異なるからと言って余分な手間が増えることはありません。まず、このアプリケーションの米国向けコンポーネントを Azure にデプロイします。さらに同じアプリケーションをドイツでデプロイしますが、プライバシー規則が米国と異なるため、プライベート データセンターまたは国内のサービス プロバイダーのデータセンターなどにコンポーネントをデプロイする必要があります。このような場合に対応できるのは、Azure と Azure Stack の組み合わせしかありません。

新しい Azure サービスの実装

マイクロソフトは世界規模のパブリック クラウドを数多く運用してきた経験からさまざまなことを学びました。私の同僚である Mark Russinovich が言うように、クラウド コンピューティングの世界では、変わり続けることがすべてです。それゆえ Azure も、イノベーションを途切れることなく推進し俊敏性にも常に対応できるよう新たなテクノロジを迅速にロールアウトできるような設計にし、お客様が新しい価値を絶えず創造していただけるようにしています。新しいサービスの実装やクラウド環境の拡張を簡単にできることは、Azure Stack が持つ大きなメリットの 1 つです。新たなリリースである Technical Preview 2 では、アプリケーション メッセージングに使用される Azure Queue Storage やアプリケーションの機密管理に使用される Azure Key Vault など、新しい基礎的なサービスが新たに追加されています。さらに今後の更新では新サービスの追加も予定しており、まず数週間のうちに App Service が追加される予定です。いずれにしてもこれらのサービスの実装や更新がシームレスに実施できる設計となっています。

Azure に着想を得たクラウド インフラストラクチャの管理

Azure Stack における目標は、企業やサービス プロバイダーの皆様が Azure に組み込まれているものと同じ柔軟な運用性を Azure Stack でもご活用いただけるようにすることです。このため今回のリリースでは特に Azure Stack のプロバイダーの皆様向けの機能やエクスペリエンスに大きな投資を行っています。

Azure は更新や新規サービスの追加によって常に変化しており、急激な変化やサービス中断を避けながら自在に変更を適用できるようになっています。このため、Azure の運用プロセスをプラットフォームに組み込み、直観的に更新を適用できるようにするための取り組みを開始しました。マイクロソフトでは、IT 担当者が今持ち合わせているスキルや専門知識を活かして次世代のクラウド ソリューションを構築できるようにすることが重要だと考えています。この Technical Preview 2 には、Azure Stack の管理に使用するインフラストラクチャ管理テクノロジが導入され、単一サーバーへのデプロイを想定したバージョンの管理テクノロジが含まれているため、クラウドの所有者や運用者はシステムの運用状況を把握できるようになります。この機能は今後の Technical Preview や一般提供版でさらに強化されていく予定です。

強力な単一サーバー構成

単一ノードの概念実証デプロイメント構成は、Azure Stack を商用の統合システムとして実際に利用する前に試す最も手軽な方法です。Technical Preview 2 を単一サーバーにインストールすることで、皆様が所有するデータセンターで Azure サービスの能力を試用、学習、活用するための準備を行うことができます。統合システムの一般提供が開始された後も、単一サーバー構成オプションは引き続き提供されます。単一ノードの概念実証構成は Azure Stack エクスペリエンス全体の中でも特に重視されており、ソリューションのプロトタイプ開発、学習、デモンストレーションなどの場面で引き続き重要な役割を果たすことになります。

今回のリリースは私たちにとって非常に大きな一歩であり、皆様にとっても同様に実りあるものであればさらに嬉しいです。このリリースは Azure の機能の成長を強化するものであるだけでなく、Azure Stack のクラウド機能の強化にも貢献します。アトランタで開催されている Microsoft Ignite では、現在までの進捗状況を皆様にお伝えできると思います。Azure Stack の機能についてさまざまなご意見をいただければ幸いです。

それではまた!

Jeffrey Snover

テクニカル フェロー


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