Microsoft Azure がさらに多くのオープン ソース オプションや製品に対応(Red Hat, Container)

執筆者: Corey Sanders (Director of Program Management, Azure)

このポストは、2 月 17 日に投稿された Announcing more open options and choice on Microsoft Azure の翻訳です。

突然ですが、マイクロソフトも私自身も Linux 製品が大好きです。バレンタインから数日が経ちますが、ここでは愛の告白にも負けない、素晴らしい発表をさせていただきたいと思います。このたび、Azure のクラウド環境の柔軟性が強化され、さらに多くのオープン ソース オプションに対応することが発表されました。

この発表では他にも、Azure Marketplace での Red Hat Enterprise Linux イメージの提供開始、Azure Container Service プレビューの一般提供開始、Azure Marketplace での Bitnami イメージの認定、Azure での OneOps のサポートなどがアナウンスされました。

Azure Marketplace での Red Hat Enterprise Linux の提供開始

Red Hat Enterprise Linux インスタンスを Azure Marketplace からデプロイできるようになりました。現在 Azure Marketplace で提供されているイメージの 60% 以上は Linux ベースのものです。このリリースは、昨年 11 月に Red Hat と共同パートナーシップを発表した際の計画を基に実現されました。

このインスタンスを使用すると、Red Hat とマイクロソフトのお客様は、オンデマンド ワークロード、開発/テスト、クラウドによる高負荷対応などのためにインスタンスを迅速かつシームレスにデプロイして、簡易性、スケーラビリティ、俊敏性、柔軟な分単位の課金制といった Azure の特長を活用することができます。今回、米国政府と中国を除くすべてのリージョンで Red Hat Enterprise Linux 6.7 と 7.2 のイメージの提供が開始され、Azure Marketplace から直接デプロイできるようになりました。

昨年 11 月のパートナーシップの発表以降、Red Hat への既存の投資を Azure でも活用したいと考えるお客様から、強い関心が寄せられるようになりました。Red Hat とマイクロソフトは完全に統合されたサポート体制を整え、お客様が必要とするタイミングで、両社のサポート エンジニアが同一の拠点から業界最高クラスのパブリック クラウドのサポートを提供します。

さらに、Red Hat とマイクロソフトの協力体制により、Azure Marketplace から Red Hat サブスクリプションを購入されたお客様は、Red Hat カスタマー ポータルに直接アクセスして、独自の統合されたサブスクリプション サポートを利用できるようになりました。これにより、Red Hat Enterprise Linux の価値を Azure のオンデマンド エクスペリエンスの一部として最大限に活用することができます。

Azure Container Service プレビューの一般提供を開始

マイクロソフトは、オープン ソース エコシステムを実現してオープン ソースの発展に貢献することのほかに、オープン ソース製品をマイクロソフトのサービスに統合してポートフォリオを引き続き進化させることで、広範なコミュニティの意見を取り入れながら、より柔軟なソリューションを提供していきたいと考えています。そこでこのたび、Azure Container Service プレビューの一般提供を開始しました。

コンテナーは既に多くの開発企業に採用され、アプリケーションの開発、リリース、実行といったプロセスを簡素化するために活用されています。ただし、クラウドでコンテナーを実行する場合、複数のホストにまたがる分散環境で作業を行うことになります。

Azure Container Service は Docker (英語) および Mesosphere (英語) と共同で構築されたものであり、コンテナー化されたアプリケーションのデプロイ、オーケストレーション、管理が可能な Azure Virtual Machines のクラスターをプロビジョニングすることができます。Azure Container Service を利用することで、主要なオープン ソース コンポーネントで事前構成された Azure Virtual Machines のクラスターの作成や管理を簡単に行うことができます。これにより、Azure のエンタープライズ クラスのハイパースケールなクラウドと、Mesos と Mesosphere Marathon の組み合わせや Docker Swarm といった実証済みのコンテナー テクノロジを連携させ、コンテナー アプリを開発しているチームや企業が求めるオーケストレーション サービスに必要な基盤を提供することができます。

Azure のアプローチはクラウド プロバイダーの中でも独特のもので、さまざまなオープン ソース テクノロジを選択できる柔軟さと、Azure Resource Manager や Virtual Machine Scale Set などの Azure テクノロジで提供される機能やガバナンス、利便性を両立できます。

ぜひ Azure Container Service (英語) のパブリック プレビューをお試しください。

オープン ソース エコシステムの取り組みを強化

オープン ソースは、マイクロソフトのクラウド サービスに大きな影響を与えています。最近では Azure Disk Encryption への dm-crypt の統合、MCSA Linux on Azure 認定の開始のほか、Web App で PHP 7 (英語) を試験的にサポートすることを php[world] の場で発表しました。また、PivotalClouderaMariaDBHortonworks (英語)Datastax (英語) などのオープン ソース テクノロジ パートナーと協力して、多くのソリューションをリリースしています。詳細についてはオープン ソースに関するサイト (英語) を参照してください。

さらに過去を振り返ると、Microsoft Open Technologies が最初に VM Depot を発表したのは 2013 年のことでした。VM Depot は、パートナーとコミュニティからの意見を取り入れることを明確にお約束したオープン ソースの VM イメージ リポジトリです。その後、VM Depot は急速な成長を遂げ、Bitnami の Linux ベースの製品など、数百種類の Linux および FreeBSD イメージが提供されるようになりました。今回はこの取り組みの次の段階として、Azure Marketplace で Bitnami が作成した複数の Linux イメージを認定し、エンタープライズ環境にオープン ソース イメージを安全にデプロイできるようにしました。

Bitnami の共同創設者であり COO を務める Erica Brescia 氏は次のように述べています。「クラウドのイノベーションは、今後もオープン ソースによって大いに促進されることと思います。Bitnami はお客様がその価値を効果的に実現できるようお手伝いしたいと考えています。この取り組みを次の段階へと進め、マイクロソフトとの協力で世界中の Microsoft Azure ユーザーに多種多様なオープン ソース アプリケーションを提供することが、今からとても楽しみです」。

今回の変革によってマイクロソフトのコミットメントは刷新され、Azure Marketplace からオープン ソース ソリューション向けの最高クラスのカスタマー エクスペリエンスをお届けすることになります。今後数か月のうちに、Bitnami によって作成されたイメージの多くが Azure Marketplace で認定される予定です。

複数のクラウドの管理とデプロイを行う場合の選択肢を拡大

マイクロソフトは、開発者やシステム管理者が使い慣れたツールや機能を使用して Azure のクラウド環境を管理できるようにしたいと常に考えています。そして今回、Walmart 社および同社 WalmartLabs チームと協力し、オープン ソースのクラウド/アプリケーション ライフサイクル管理プラットフォームである OneOps を Azure で使用できるようにしました。

プラットフォーム担当シニア ディレクターの Brian Johnson 氏は次のように述べています。「Azure で OneOps がサポートされたことにより、Azure のハイパースケール パブリック クラウドへのデプロイが簡単になるだけでなく、プライベート クラウドでは引き続き OpenStack を使用することができます。OneOps と Azure の Linux イメージを組み合わせることで、完全にオープン ソースの製品だけで Azure にデプロイできるようになりました」。

オープン ソースによるイノベーションを世界中のユーザーに届ける

オープン ソース ソリューションが Azure で実行できるようになるのは本当に素晴らしいことです。これにより、今までなかったアイデアが生まれたり、クラウドの俊敏性をさらに活かせるようになることが考えられます。その良い例として、次世代の地域情報検索エンジン Pathee を提供している東京のスタートアップ企業 tritrue 社 (英語) があります。同社では、Azure を利用して強力なハイブリッド パイプラインを Cassandra クラスターで構築しています。また、ハイパースケールな Azure を活用して、Pathee を世界中の市場に提供しています。これは「Azure のサポートがなければ実現していない」ことだと言います。

また、ロシア最大手の通信事業者である Beeline 社 (英語) も、オープン ソースを活用したクラウド中心型のイノベーションを実現しました。Beeline のパートナーである ZED+ と協力して構築した Music Beeline では、CentOS 上の Postgres、Java、Backbone.js を使用して 10 万人以上の有料会員にサービスを提供しています。Beeline は、ハイブリッド トポロジによりコンプライアンスに関する要件を達成すると同時に、既存の 200 TB のデータを毎日 200 GB のペースで増加させています。

マイクロソフトは、Azure にオープン ソース ソリューションをデプロイするこうしたお客様から、さまざまなことを学んでいます (一般的なユース ケースの一部はこちらのページ (英語) で公開しています)。クラウド向けのオープン ソース ソリューションと Azure の活用方法にご興味のある方は、ぜひ 3 月 11 日に開催される Web セミナー (英語) にお申し込みください。

マイクロソフトでは今後もイノベーションを市場にもたらし、Azure をオープンで柔軟なクラウド プラットフォームとして強化し、世界中のお客様に優れたエクスペリエンスを提供していきたいと考えています。皆様にたくさんの愛と選択肢をご提供することをお約束したいと思います。

次回の記事もどうぞお楽しみに。

Corey Sanders