2016 年のクラウド イノベーションをご紹介: インフラストラクチャからイノベーションへ


このポストは、1 月 27 日に投稿された Cloud innovation for the year ahead: From infrastructure to innovation の翻訳です。

「企業がクラウド移行の転換点に達するのはいつだろうか」という議論は、何年にもわたって交わされてきました。そしてついに今年、そのときが訪れたようです。クラウドの導入率は全世界で急激に伸びており、地域別の調査でもこれが裏付けられています。たとえば、Cloud Industry Forum などの調査によると、クラウド導入率は英国国内だけでも 5 年前の 48% から現在は 84% へと大幅に向上しています。しかしその一方、多くの企業で課題が残っていることも確かです。North Bridge and Wikibon (英語) が実施した調査によると、アンケートに回答した約 1,000 社のうち、 45% がクラウド導入の最大の懸念事項として現在でもセキュリティを挙げており、次いで法規制/コンプライアンス (36%)、プライバシー (29%)、クラウド ベンダー ロックイン (26%) という回答が得られています。

2015 年には、こうした導入の課題のいくつかに対応するトレンドが急速に成長しました。たとえば、ハイブリッド クラウドはオンプレミス環境とクラウド環境の両方のアプリケーションやデータを管理するモデルとして、当面の間のデファクト スタンダードとなりつつあります。また、クラウドの導入によって速さを増すアプリケーションの技術革新に対応するために登場したトレンドもあります。たとえば、コンテナー化はクラウド アプリケーションをより迅速に構築、デプロイするための手法として広まり、また、機械学習、予測分析、モノのインターネット (IoT) といった高度なサービスはビジネス イノベーションの原動力となっています。こうしたことから、クラウド導入のペースはしばらくの間、加速を続けるものと見られます。

1) サービスとしてのプラットフォーム (PaaS) が中心に – インフラストラクチャからイノベーションへ

コンピューティング、ストレージ、ネットワークといったインフラストラクチャ サービスはクラウド導入の「第 1 世代」を特徴づけるもので、多額のインフラストラクチャ コストをかけることなくスピードとスケーラビリティを実現するとして企業の関心を集めました。しかし、競合他社との差別化を図るために不可欠な要素はカスタム アプリケーションであったため、アプリケーションが次のイノベーション分野となることを理解していた多くの企業にとって、これらのコモディティ サービスは十分に満足のいくものではありませんでした。その結果、アプリケーションをより迅速に構築、デプロイする手段として、多くの企業がプラットフォーム サービス (PaaS) に注目するようになりました。PaaS ではインフラストラクチャの構築に労力をかけることなく、高可用性やスケーラビリティを確保するプロセスを自動化することができます。また、インフラストラクチャやソフトウェアの管理が不要なため、修正プログラムの適用やトラブルシューティングといった時間のかかる作業が発生することもなく、導入直後から価値を実現し、ビジネス ニーズに合わせて瞬時にオートスケールすることができます。PaaS を利用することで、ハードウェアやソフトウェアのデプロイと管理に関する専門知識はビジネスに不可欠なものではなくなり、競争力の強化にも役立たないことに気付く企業のお客様も増えています。

もちろん、PaaS は新しいものではありません。Azure の初期のルーツは PaaS プラットフォームでした。マイクロソフトは早くから IaaS と PaaS を融合することで、クラウドのアジリティやスケーラビリティといったメリットを最大限に引き出すことができると認識していました。2016 年には、Web、モバイル、統合データに対応する PaaS サービスが急増することが見込まれています。これは、これらのサービスを利用してアプリケーションを構築、デプロイすることにより、イノベーションを短期間で実現できると多くの企業が理解し始めたからです。そして、最終的にはさまざまなデバイスや環境で顧客、パートナー、従業員とのエンゲージメントを強化し、競争力を最大限に高めることが可能です。私はこれを「インフラストラクチャからイノベーションへの移行」と呼んでおり、このトレンドは今まさに進行中です。

2) 高度なデータ サービスの利用が急激に増大

PaaS の加速を示す顕著な例として、データ サービスの急増が挙げられます。IDC による 2020 年までの概算 (英語) では、クラウド ベースのビッグ データ技術への投資の成長率は、オンプレミス ソリューションへの投資の 4.5 倍になると見込まれています。データのサイズ、アクセス性、用途が増大するため、データをいかに保存、管理、分析するかがこれまで以上に重視されています。2016 年にはクラウド サービスが大幅に増加し続けることでこうした状況に対応できるようになると考えられ、企業のお客様は情報からインサイトをより簡単に引き出すことができるようになります。そのサービスの中には、データをインテリジェントなアクションに変換するサービスもあります。

アダプティブ インテリジェンスが普及するにつれ、機械の性能も向上します。機械学習や知覚的インテリジェンスによる自動化された予測型の意思決定により、企業、さらには業界 (英語) 全体に変革がもたらされます。その多くは既に実現されていますが、今後 1 年でさらに洗練され、広く適用されることが見込まれます。このトレンドの 1 つが IoT であり、現在急速に成長しています。IoT により、製造や運輸といったさまざまな業界であらゆる資産やシステムがつながり、一段階上のインテリジェントなアクションが実現されることになります。その第一歩として、事前定義済みの IoT PaaS サービスの利用が今年中にも一般に普及し、ほとんどの業界でデータを物理的な資産にすばやく簡単に接続できるようになります。

[i] IDC FutureScape: Worldwide Big Data and Analytics 2016 Predictions、Doc #259835、2015 年 11 月

3) ハイブリッド クラウドによる一貫した対応を実現

ハイブリッド クラウド戦略の策定には多くの企業が苦戦を強いられています。それは無理もなく、クラウド環境とオンプレミス環境ではまったく異なる場合もあるため、多くの企業はその違いに対して時間やコストをかけています。今日出回る多くのハイブリッド クラウド サービスで提供されているのは、これらの環境間の橋渡しをしたり、環境の違いを表面上だけ解消したりするソリューションに過ぎず、企業が本当に求めている解決策ではありません。ほとんどの企業は、可能なら両方の環境で動作するクラウド ネイティブなアプリケーションを開発し、インフラストラクチャの構成ブロックから上部のプラットフォーム サービスに至るクラウド スタックのすべてのレイヤーにおいて、同一の管理エクスペリエンスとエンド ユーザー エクスペリエンスを実現したいと考えています。

2016 年には、オンプレミス環境とパブリック クラウド環境の間で本当の意味での一貫性が実現されます。これにより、それぞれの開発環境を独立した要素としてではなく、併せて活用できるようになります。マイクロソフトは、オンプレミス サービスとハイパースケールのパブリック クラウドの両方を大々的に導入してきた唯一の企業として、このチャンスを真摯に受け止めています。先日、自社データセンターで Azure の機能を利用できる史上初のハイブリッド クラウド プラットフォーム製品、Microsoft Azure Stack (英語) の今後のステップについて発表したばかりですが、今年もこのサービスをさらに強化するために重点的に取り組んでいくことをお約束します。

4) 開発モデルがさらにアジャイルに

2015 年に業界で最も流行したバズワードが「コンテナー」です。その理由として、複数の環境間で移植可能なアプリケーションを迅速に開発、デプロイできる手法として急速に広まっていることが挙げられます。Docker や Mesosphere をはじめとする数多くの企業の取り組みによって、Linux コンテナーの利用が主流になり、Windows もコンテナー エコシステムに追加されました。

しかし、コンテナーのアジリティや移植性といったメリットも、アプリケーションの開発や管理の面では部分的にしか役に立ちません。モノリシックなアプリケーション モデルでは、クラウドのペースの速さや継続的な変化に完全に対応することができません。これは SaaS アプリケーションの場合、特に顕著です。この課題を解消するために、アプリケーション インフラストラクチャの新しい手法としてマイクロサービスが急速に台頭しました。マイクロサービスでは、小規模な独立したコンポーネントによって複雑なアプリケーションが構築されます。これらのコンポーネントは、相互に連携して 1 つのアプリケーションの機能を提供します。各マイクロサービスは個別にバージョン管理やリリースを行うことが可能なため、はるかに効率的に更新を行ったり、クラウドの変化の速さに対応することができます。クラウドの導入によってアジリティの向上が絶えず求められるようになるため、マイクロサービスの重要性は今年さらに高まると考えられます。マイクロソフトは既にこの分野における最新技術を提供しており、今後もさらに多くのサービスを提供していく予定です。

5) セキュリティがクラウド導入のきっかけに

セキュリティは長年にわたってクラウド導入の障壁となっていました。しかし、この状況は一変しつつあるようです。クラウドの安全性を認識し、自社データセンターよりもクラウドの方が安全であるとさえ認めるお客様が増えています。大胆な予想ではありますが、私は今年中にもセキュリティはクラウド導入の障壁からクラウド導入のきっかけに変わるだろうと考えています。私たちクラウド ベンダーはそのためにあらゆる製品やサービスのセキュリティ機能に投資を続けており、今市場に出回っている ID ベースのセキュリティ サービスに加え、より多くの「サービスとしてのセキュリティ機能 (英語)」を提供し始めています。その結果、セキュリティはクラウド導入を妨げるものから一転、チャンスへと変化しています。

6) マルチクラウド環境の管理が容易に

今日、企業のお客様には、オンプレミスとパブリック クラウドの両方の IT 環境について豊富な選択肢が提供されています。アプリケーションは個々に異なり、ビジネス シナリオも一つひとつ違います。そのため多くの企業では、複数の環境、多くの場合複数のクラウドを利用して業務を行っています。この傾向は今後も間違いなく続きます。しかし、こうしたマルチクラウドの世界では、管理が非常に難しくなります。実際のところ、マルチクラウドの管理を容易にしてくれる総合的なオプションはこれまでほとんど提供されてきませんでした。

しかしこの状況は 2016 年に一変すると考えられます。最先端のテクノロジやサービスにより、パブリック クラウドのプラットフォームとオンプレミスのテクノロジ、オペレーティング システム、ハイパーバイザーのすべてに対応する新しい管理機能がもたらされると見込まれています。多くの企業にとってベンダー ロックインが差し迫った懸念事項になっている中、管理が選択肢を狭める要因となってはなりません。


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以上、真っ先に思い浮かんだイノベーションのトレンドをご紹介してきましたが、日々新しいニーズが生まれ、イノベーションによって次々と新しいことが可能になっていく中で、クラウドは絶えず変化しています。今後数週間のうちには、同僚の James Staten が上記のトレンドの詳細や、こうした発展中のトレンドを活用するメリットと方法についてご説明する予定です。また、クラウドへの移行を行ってきたお客様から学んだ教訓もご紹介します。マイクロソフトではお客様との双方向のコミュニケーションを大切にしています。マイクロソフトや業界について、お気軽にフィードバックをお寄せいただけますと幸いです。今年も皆様にとってすばらしい年となりますように!

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