【2017 年版】よく似た Office 365 の機能の使い分けの運用 – マイクロソフトの場合【12/27 更新】


 

2013 世代の時にマイクロソフト社内での Office 365 をはじめとする情報共有ツールの使い分けについて解説してから大分時間が経ちました。それから 2016 世代となりますますクラウドの使い勝手がよくなり、ストレージ容量や扱えるファイルの種類の増加、セキュリティ/コンプライアンスの機能もより充実し、Stream Teams などの新しい機能も実装されました。世の中でも広くクラウドが受け入れられるようになり、銀行など規制が厳しい業種でも全面的に Office 365 を採用するなど、世の中のクラウド化が進みました。

Office 365 には Exchange、SharePoint、Skype for Business、Yammer、Groups、Teams などの情報共有機能が含まれますが、この記事では、以下の 3 つの主なシナリオについて情報共有でも利用シナリオ、共有範囲、利用ユーザーの種類によってどう使い分けるのかについて、最新機能を踏まえて改めて解説したいと思います。

  • 予定共有や施設予約はどの機能を使えばいいか
  • ファイルの保管場所はどこを使えばいいのか
  • ソーシャル機能は どれを使えばいいのか

 

マイクロソフトにおける情報共有ツールの展開方法

機能の比較に入る前に、英語リソースになりますがここ 1~2 年で米国マイクロソフトでも Microsoft IT Showcase という形で、マイクロソフトにおける自社製品/サービスの展開、利用方法のベストプラクティスをまとめて公開するようになってきましたので、少しご紹介します。Office 365 関連の利用状況については、モダンワークプレースプロダクティビティ、および Office プロダクトファミリーのページで見ることができます。ホワイトペーパーや記事、ビデオやスライド (Microsoft Virtual Academy) の形でご覧になれます。


図: Office 365 のさまざまなツールに関するベストプラクティスが掲載されています

いくつかお勧めのコンテンツをご紹介します。

  • SharePoint at Microsoft (November 2017) - Microsoft Virtual Academy
    マイクロソフトのSharePointエキスパートが、サイト(コミュニケーションサイト、ハブサイト、サイトデザインテンプレート)の設定から、地域のパフォーマンス問題、セキュリティ問題、複数地域の機能、および検索に至るまで、さまざまなトピックについて話し合っています。サイト、Teams との違い、PowerApp、クラウドへの移行などのコンテンツとアプリケーションについて学び、MicrosoftでSharePointをどのように管理しているかについての洞察とベストプラクティスを共有しています。
  • SharePoint at Microsoft (May 2016) - Microsoft Virtual Academy
    このコースでは、オンプレミスとクラウドの両方で、SharePointを戦略的なコラボレーションプラットフォームとして計画、設計、展開、運用するためのベストプラクティスを紹介します。 200,000人のMicrosoftユーザーのグローバル環境で、Microsoft ITがSharePointをどのようにサポートしているかをご覧いただくことはできます。ビデオとスライドの両方をご覧いただけます。マイクロソフトにおけるExchange や SharePoint のデータ規模やトポロジーについても詳しく解説されています。(Exchange はプライベートクラウドとパブリッククラウドの混合、SharePoint はオンプレミスからプライベートクラウドへ移行済み。)
  • How Microsoft planned and deployed Skype for Business to the Office 365 Enterprise E5 cloud (July 2017)
    Skype for Business はマイクロソフトにおいて、現在オンプレミスからクラウドへの移行が進行中で、現在はオンプレミスとクラウドの混合状態です。マイクロソフトでは 2 段階移行のアプローチを取り、まず、一部のユーザーを限定されたクラウドベースの会議環境に移行し、最終的に全ユーザーグループをクラウドベースのユニファイドコミュニケーション環境に移行させました。慎重な計画を立てることで、ユーザーは移行中の生産性を維持し、ネットワークインフラストラクチャをアップグレードして容量要件をサポートしました。
  • Understanding file sharing and collaboration options (October 2016)
    コミュニケーションやファイル共有における OneDrive for Business、SharePoint Online、Groups、Outlook 2016、Yammer の使い分けについてのごく簡単なガイドラインを示しています。

 

機能は共有範囲と管理を誰がするかに応じて使い分けよう

さて、いよいよ本題に入りましょう。Office 365 のどの機能を使うべきかを検討するときは、まずその機能を使ってどれくらいの範囲のユーザーと情報共有をしたいのか、そして管理を誰がするのか、ということを検討する必要があります。製品の機能を使って情報を共有する「エンドユーザー」と、その機能を管理する「管理者」の 2 つの視点があり、同じように思われる機能でも、製品毎にそれぞれがコントロールできる範囲などの特性が異なっているためです。共有範囲と管理者を考えるに当たっては、どういう組織にもあてはめられるように、日本全国、もしくは世界各国に支店を展開している企業の場合を考えます。共有範囲について以下の 4 種類に分類してみたいと思います。

  • 全社: 組織全体で共有する場合です。グローバル企業であれば、日本語圏だけではなく英語圏やそのほかの言語でも共有されることを想定する必要があります。(Exchange や Lync は組織全体で導入されるのが普通ですが、組織の一部のみに導入される場合は、その範囲が「全社」となります。) 管理は IT 部門など組織内で集中して行うことが想定されます。
  • 拠点: グローバル企業であれば国ごと (日本、アメリカ、中国、など) に分けた単位で考えるとよいと思います。もしくは、国内の支店単位で考えることもできます。管理は IT 部門など組織内で集中して行うことが想定されます。
  • チーム: ユーザーが所属する組織としての部門、もしくはプロジェクトベースのグループの規模での情報共有と考えてください。管理はチームごとの管理者が行えると自由度が広がります。
  • 個人: 他人とは共有されない情報で、特定のユーザーが複数のデバイスや場所から見る可能性がある情報です。仕組み自体は IT 部門が管理することになります。

それぞれがご自分が所属する組織ではどのように当てはまるか考えてみてください。場合によっては、4つのうちいくつかは合体できるかもしれませんし、ひょっとすると組織の定義のレベル感が多少異なっているかもしれません。

利用する機能と共有範囲が決まったら、次にそれぞれの共有形態を実現可能なOffice 365の機能と対比して、実装に落としていきます。たとえば、アドレス帳であれば、Exchangeのアドレス帳は全社に公開する情報を掲載するのが適切なのに対して、SharePoint 上ではアクセス権をコントロールして共有する範囲をチームに限定することができるので、より詳細な連絡先情報を共有できる、また、名刺情報などの個人情報の保持にはExchange の連絡先が適切である、など、似たような機能であっても可能な共有範囲が異なることがありますので、吟味が必要です。その際には以下の表を参考にするとよいでしょう。

Exchange のパブリックフォルダーやアドレス帳、予定表は Exchange の管理者のみが構成、情報の変更を行うことができ、IT 部門が中央でコントロールする仕組みになっている一方、SharePoint はチームサイトを許可していれば、チームごとに管理者を置いて情報の更新や権限設定を行うことができるので、より小さな組織単位での情報共有に適します。チームや拠点については、クラウド上でセキュリティグループを定義して、その中に必要なメンバーを登録することで便利に運用することができます。

機能

全社

拠点

チーム

個人

Exchange  メール

Exchange  パブリックフォルダー

Exchange  アドレス帳

Exchange  予定表/施設予約

Exchange 連絡先

OneDrive for Business

SharePoint 予定表/施設予約

SharePoint 連絡先

SharePoint ポータル

SharePoint ファイル共有

Skype for Business 連絡先

 

 

マイクロソフトでは予定表機能をどのように使い分けているのか

このような特性を考慮して、マイクロソフトでは以下のような使い分けを行っています。Exchange 上のユーザーや会議室は Active Directory 上の情報とも連動しますので、Active Directory に登録されるようなオブジェクトに関する予定は Exchange で全社的に共有し、その他部門単位で管理している情報については SharePoint を利用しているということになります。ちなみに、SharePoint の予定表リストの情報は Outlook からも予定表として参照することができ、Exchange 上の予定とも並べて参照することが可能です。

予定表/施設予約機能の提供製品  用途 共有範囲および考慮事項
Exchange  各ユーザーの予定 空き時間情報は全社に共有、予定の中身はユーザーの裁量で共有するかどうかを選択。 世界中のユーザーと予定調整を行うことができる。
 社内会議室の予約 全社。 自動応答機能があるため、重複予約を自動的に避けられる。ただし、来客用会議室は別の機能用件があるため、SharePoint 上の別のシステムで管理される。国外の拠点の会議室の予約も可能。Skype for Business ボットEDIによる予約も可能。
SharePoint プロジェクトの予定、チームメンバー共通のイベントなど チーム。チームサイト上に任意に作成される。プロジェクトリーダーのみが書き込むようにもできる。チーム全員で書き込むことも。
業務プロセスイベントカレンダー (経理の締日の共有など) 全社 (グローバル)。ただし、経理メンバー以外は読み取り専用。
部門所有備品の貸し出し チーム。チームサイト上に任意に作成される。空き時間を見て空いていれば借りた人が予定を埋める。
社内の説明会イベント 拠点 (日本のみ)。IT 部門が管理。SharePoint ベースでカスタマイズしている。登録すると、後で Exchange の予定表に会議依頼が自動で送られてくる。(日本マイクロソフト独自の実装)
来客用会議室の予約 来社するお客様を登録すると自動で連絡先アドレス宛に入館証を発行するなどの Exchange にはない追加機能があるため、SharePoint ベースでカスタマイズを行っている。社内ユーザーを登録すると、後で Exchange の予定表に会議依頼が自動で送られてくる。(日本マイクロソフト独自の実装)

※ 2018/3/6 注: 現在の実装は SharePoint ベースではないサードパーティ製ソリューションを使っています。

 

マイクロソフトでは SharePoint/OneDrive for Business をどのように使い分けているか

次のお題として、SharePoint をどのように活用すればいいのか、ということについて解説したいと思います。SharePoint は様々な機能を持っているだけに活用をする際の選択肢が多くかえって迷ってしまうという声も聞かれますが、SharePoint についても情報の共有範囲をベースに考えてみるとうまく整理することができます。ただし、SharePoint は組織内の情報共有だけではなく、組織外との情報共有も可能です。そのため、全社、拠点、チーム、個人のほかに、取引先、会員との共有サイトとして、組織外のユーザーを無償で招待してアカウントを作成して、招待ユーザーにのみ情報を共有することが可能です。管理は IT 部門が行い、サイトの機能はチームごとに行うことになります。

※ インターネットサイトは廃止されました。Microsoft Azure  Web App などの代替手段を使うことになります。

 

共有範囲をもとに、マイクロソフトではどのように SharePoint を活用しているかについてまとめてみました。

用途 共有範囲 考慮事項
全社ポータル 全社 特定のポータルを除いて多くのポータルはクラウドに移行済み。社内のすべての SharePoint サイトの内容をフェデレーション検索することができる。この場所から検索を実行すれば、そのユーザーが各々の SharePoint サイトで持っている権限に応じて、権限があるドキュメントのみが検索結果として表示されてくる。ポータルサイトは IT 部門が管理。

また、他にも経理、人事など社内の特定業務向けの専用ポータルが存在。通常のユーザーは読み取り専用で書き込みはできない。

チーム サイト チーム単位、または全社 オンプレミスの時代は北米、ヨーロッパ、アジアにチームサイト用の共有サーバーが存在したが、移行先のプライベートクラウドは北米のみに存在。代わりにCDNを使うことで世界中の様々な地域からのアクセスが快適に行われる仕組みが Office 365 に実装されている。プライベートクラウドには、社員が自由にチームサイトを作成することができる。目的は部門毎のポータル、プロジェクト毎のポータル、などさまざまな単位で作成されている。

サイトごとの管理は、サイトの申請者が行う。権限設定はチーム外部への情報発信が目的であれば全社ユーザーのセキュリティグループに読み取りアクセス権限をつける。特定部門やユーザーとの情報共有に限定するのであれば、特定部門を表すセキュリティグループやユーザーのみにアクセス権を設定する。

SharePoint が持っている様々な機能が活用される。

OneDrive for Business 全社 Active Directory に載っている社員には全員クラウド上に One Drive for Business ストレージが割り当てられる。個人用のドキュメントを保管することができる。ドキュメントの権限設定は任意に変更可能。OneDrive for Business には SharePoint チームサイトの約 3 倍の容量のファイルが存在。

他のユーザーの OneDrive for Business 上にファイルがあっても、共有されているものは「自分と共有」機能や Delve を利用することで簡単に検索可能。

取引先との共有サイト 招待した取引先のユーザーと社内の特定ユーザー 申請すると、特定の取引先とのチームサイトが開設可能。社外との情報共有を安全に行うのに便利な仕組みである。こちらはクラウドと同時にオンプレミスもまだ使われている。

サーバーの管理は IT 部門、サイトは開設の申請者が行う。

SharePoint アプリケーション 場合による。全社からチーム単位まで。 SharePoint のインフラをミドルウェアとして利用する使い方。オンプレミスのサーバーに、機能を作りこむ。お客様用会議室予約サイト、社内イベント登録サイトなど様々なアプリケーションが存在。

※ マイクロソフトでは個人用サイトは廃止されています。

 

追加情報

 

オンプレミスかオンラインか~ファイルの性質、情報の機密性、可用性、完全性によって変える

ファイルをオンプレミスに保存するのかオンラインに保存すべきかは、扱うファイルの性質 (ファイルのサイズ、数、ファイルタイプ) と情報の機密性 (非公開情報、営業秘密、特許情報、製品機密情報、個人を特定できるデータ、治療記録)、可用性 (基幹業務情報など常時最新情報にアクセス可能でないと業務に多大な支障をきたすか)、完全性 (資産情報、認証証書、取引金額、デジタル証明書、など情報が抜け落ちたり改ざんされたりすることで業務に多大な支障をきたすか) によって選択します。

SharePoint Online は依然と比べると扱えるファイルサイズ、ファイルタイプの制限が大幅に緩和されています。ファイルサイズは 250GB までおけるようになっており、ひとつのリスト/ドキュメントライブラリに 5,000 を超えるようなファイル/アイテムを置く場合は置く場所を分けるなど、ファイルが多くても工夫をすることで SharePoint Online をかなり多くの場合で活用することができます。ビデオファイルは Office 365 Video の後継の Stream を Office 365 ユーザーならそのまま利用できます。

また、SharePoint Online に情報を置けなくても、クラウドの別のストレージである Azure の各種サービスを利用するという手もあります。

マイクロソフトでは Data Classification として以下の基準を設けており、保存できるデータの場所と共有方法を規定しています。この基準は企業ごとに異なりますので、貴社におけるデータ分類を行って保管場所と共有方法を規定してください。

ファイルの性質、情報の機密性/可用性/完全性の要件にどうしてもあわない場合はオンプレミスを選択することになります。

プライバシーマークや ISO27001 などはパブリック クラウドサービスを利用しても取得できるのかという心配をされるお客様もいらっしゃいます。しかし、実はこれはパブリッククラウドサービスを利用しているかどうかにかかわらず、自分の組織のデータをどう扱うべきかという自分の組織としての方針決定をきちんと行っているかどうかが取得の上で重要な要素となっています。クラウドベンダーはもちろん様々な厳しい基準をクリアするように対策を講じますが、最終的に情報やデータの管理に責任を負うのは利用者であるお客様自身になります。これは、クラウドを使うかどうかにかかわらず求められます。

また、Office 365 / Azure は日本データセンターが稼働していますので、金融業界、医療業界、中央官庁、地方自治体などの日本にデータが保管されることを望む業界のお客様でもパブリッククラウドの採用が広がっています。

マイクロソフトにおける SharePoint のオンライン/オンプレミスでの活用は以下の通りになっています。(2016 年 5 月現在) 多くの部分がクラウドに移行していることが分かります。

マイクロソフトでは以下の基準に従ってオンプレミス/オンラインを使い分けています。

オンプレミス

  • 規制の関係で地域内に置く必要があるデータ
  • 昔からある分析サイト
  • 独自のID管理機能が必要なパートナー企業との共有サイト
  • 複雑なカスタマイズサイト

オンライン

  • 個人用ストレージ (OneDrive for Business)
  • グループと組織の共同作業 (チームサイト & グループ)
  • ポータルと新しいクラウドアプリ
  • 外部アカウントとの共有で運用可能なパートナー企業との共有サイト

 

 

Teams の導入方法~リソースを作成する順番と適用プロジェクトに注意

最後に、最近増えてきている、企業内におけるソーシャル型の情報共有方法の導入について触れたいと思います。前回の記事で触れたとおり、企業内におけるソーシャル型の情報共有方法は時代とともに流行りが変わってきました。Office 365 でも様々に増えた情報共有方法をまとめるために、Office 365 Groups という仕組みで、メール、ストレージ、サイト、OneNote、予定表、グループ会話などのリソースをひとまとめにする仕組みが取られています。

最新のソーシャル型共有ツールである Teams を導入する際にはこのことを考慮する必要があります。具体的には、チームやグループで情報共有をするためのセンターポイントを作ろうとする場合、何よりも先にまず Teams を作成する必要があります。チームサイトや Yammer を先に作成してから Teams を後で作成すると、これらは統合することができません。チームサイトなどのリソースは必ず Teams を作成した後に、Teams から作成するようにしてください。

また、Teams 上のグループ会話機能は、基本的にはリアルタイムでチャットをやることに同意している比較的小グループ向けの機能ですので、組織内で部門外のユーザーや組織外の外部ユーザーと共同作業を行う場合は、チームサイトやメールなど、より緊急性の低い方法と組み合わせて利用することを考える必要があります。(前回の記事の「組織内外でのコミュニケーションと共同作業の範囲と緊急性からの分類」の章を参照)

その際に気を付けて運用をする必要があるのが、リソースの権限設定です。緊急性の低い方法と組み合わせて利用する際には、Teamsで招待するのか、個別のリソースにアクセス権を与えるのかを考えて、すべての種類のユーザーに適切な権限設定ができるように心がけてください。

 

追加情報

 

以上が、よくある 3 つの考慮事項でした。下記の過去の記事とも合わせてご覧ください。

 

参考記事

 

 

 

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