ビジネスの専門化を通じて医療業界の課題に立ち向かう【11/4 更新】


(この記事は 2017 年 9 月 20 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事 Healthcare Challenges and the Power of Specialization  の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)

 

 

パートナー様が専門化、特定業種への特化、知的財産の構築によってサービスを差別化するのは大切なことです。私はある個人的な理由から、そう強く思っています。私たちの日々の暮らしにはテクノロジが直接大きな影響を及ぼしていますが、身をもって実感する機会がないと、その事実を忘れてしまいがちです。そこで、まずは私の実体験をご紹介します。

2014 年に私と夫は、お腹の子が下部尿路閉塞を患っており、腎臓の機能不全を引き起こすため、胎外では生存できないと告げられました。治療に必要な子宮内手術の成功率はわずか 2% でしたが、幸い息子の命は助かりました。

しかし、出産後の私たちのストレスは妊娠中の比ではありませんでした。私たちが利用した病院のシステムが驚くほど複雑だったのです。それでも、今日のテクノロジやソリューションを考えれば、その大部分は解消可能なレベルでした。

息子には病状の関係から 5 名の担当医がつきました。彼らは 1 つの病院システム上で連携しながら、コミュニケーションは主にメール、携帯電話、ポケベルに頼っていました。あるときには、主治医と連絡を取るまでに 5 日もかかり、ようやく話ができたのは手術を受ける直前でした。またあるときには、医師が自分のコンピューターに診察結果をリアルタイムでアップロードできなかったこともあります。私はその場で医師と話をしながら、こういった問題はクラウドとパートナー様の力によって解決できるはずだと気付いたのです。

 

患者中心のケア

医療機関は、患者中心のケアをタイムリーに提供することを目指していますが、それは簡単なことではありません。多くの場合、クラウド インフラストラクチャが導入されていないため、コミュニケーション システムが一本化されていなかったり、カルテ システムが連携していなかったり、規制遵守の要件によって生産性が低下していたりと、問題は山積みです。

 

サービス プロバイダーの視点から考えると「患者中心の医療」には主に以下の 4 つが必要です。

  • オンラインでの医療エクスペリエンス: 患者がモバイル デバイスからいつでも医師や医療スタッフにアクセスできるようにします。
  • 医療従事者の高い生産性: 医師や医療スタッフが常にスムーズに意思疎通を図れるようにして、患者と直接かかわる時間を増やします。
  • 患者中心の治療成績の実現: 病院や医師ではなく、患者にこそ重要な治療成績につながる医療を提供します。
  • 接続されたスマート デバイス: マイクロソフトのクラウドによって、医療スタッフを別のスタッフや必要なリソースとつなぎます。

 

継続的なイノベーションや利益率向上のチャンスは、医療の分野にも溢れています。しかし、パートナー様がそれをものにするにはどうすればよいでしょうか。まずは、サービスを差別化することです。以下の推奨事項を参考にしてください。

1. 専門化が重要: 一度にすべてのことに精通する必要はありません。そこまで辿り着くには時間とコストがかかります。

2. 業種を選択する: まず、どの業界をターゲットにするかを決定し、繰り返し利用できるソリューションを構築することで、パートナー様のビジネス効率が向上し、提供地域の拡大にもつながります。

3. 知的財産を構築する: お客様の維持につながるメリットを生み出すことで、ビジネスの価値を高め、価格を引き上げることができます。

 

 

専門化のメリット

専門とする分野やサービスを提供する業界を絞り込むことで、パートナー様はマネージド サービスによる収益を大幅に増やすことができます。Inspire で私が行った基調講演の中で、オランダを拠点とするシステム インテグレーターの Wortell の創業者であり CEO を務める Danny Burlage 氏は、特定業種に特化することの主なメリットを 3 つ挙げてくれました。

  • お客様の阻害要因の解消: 特定の業界や、その中でも特定の地域には、独自の阻害要因があります。たとえば、医療分野では、ISO 認証を取得する必要がある場合などが考えられます。特定のニーズに関して有用な知識を習得すれば、お客様がその阻害要因を克服できるように支援するうえで役に立ちます。
  • 深い業界知識の獲得: 特定業界の知識を積み上げることで、介護支援サービス管理ソリューションや患者エンゲージメント ソリューションなど、ターゲットを絞り込んだソリューションを考案し、月単位のサービスとして販売することができます。
  • 口コミによるマーケティング: 満足度の高いお客様は同業の他の組織に感想を伝えることが多いため、パートナー様のビジネスの成長が期待できます。

 

Wortell が医療分野を検討したところ、特に在宅医療を提供する組織では、セキュリティとプライバシー、高可用性とスケジュール管理が非常に重要であることが明らかになりました。そこで、Wortell はこういったニーズに対応するために、マイクロソフト製品を基盤とした独自のソリューションを提供しています。

 

「特定の業種に関する知識を深め、テクノロジに関する専門知識と組み合わせることで、お客様にとって非常に生産性の高いソリューションを提供でき、着実に利益率を上げていくことができます」

– Wortell、創業者兼 CEO、Danny Burlage 氏

 

 

IP の階段

差別化したパッケージ サービスを構築するには時間がかかりますが、その見返りとして利益率と顧客満足度が向上するため、取り組むだけの価値は十分にあります。ここでは、この段階的な取り組みを「IP の階段」と表現します。

 

 

第 1 段階では、マネージド サービスに着手します。これにより、サービスの再利用と規模の拡大を促進し、結果として収益を増やすことができます。次のステップは、バンドル製品のブランド化です。つまり、個々の製品やサービスがパッケージになっていることで、お客様はサービス間の連携による優れた機能を簡単に利用できます。さらに収益性を高めるには、拡張機能のパッケージ化を行います。この段階からは ISV と提携し、ISV のアプリケーションやデバイスをパートナー様のサービスに追加する選択肢もあります。たとえば、活動のモニタリング機能が組み込まれたウェアラブル IoT デバイスは、医療分野において大きな可能性を秘めています。

ここまで到達したら、次はフル機能の差別化したソリューションの構築です。最後に、そのソリューションの販売活動をある程度確立したら、個別の市場向けにカスタマイズすることを検討します。

 

「2019 年には、医療向けアプリケーションの 60% がリアルタイムの位置データと臨床用 IoT デバイスのデータを収集するようになり、組み込みの認識機能によってパターンを発見できるようになるでしょう。これにより、医師は業務時間の 30% を他の作業に充てられるようになります」

– IDC FutureScape: Worldwide Healthcare IT 2017 Predictions (2017 年の世界のヘルスケア IT 市場の予測)、2016 年 11 月

 

医療分野の例に話を戻すと、規制遵守の要件に対応する場合に、次のように当てはめて考えることができます。まず、Office 365 を使用して HIPAA に準拠した安全なメール・ファイル共有を提供することで差別化を図ります。さらに、Skype for Business と組み合わせて音声会議・ビデオ会議を提供することで、医療チームのメンバーの生産性が向上します。Enterprise Mobility Suite を追加すれば、あらゆるデバイスから患者のカルテにアクセスする場合のセキュリティを確保できます。また、Power BI でカスタマイズしたビューを作成すれば、分析に基づくインサイトが提供されます。

ご覧のとおり、私は個人的に医療業界のビジネス チャンスに大きな関心を抱いています。皆様も、ご自身の情熱に従ってビジネス チャンスを模索することをお勧めします。お客様のポートフォリオを評価して、ターゲットとする分野や、パートナー様のソリューションによってイノベーションを推進し差別化できる分野を整理してみてください。他のパートナー様の専門知識を活用して、真に革新的なサービスを構築してもよいでしょう。

今回の記事についての感想や、その他の専門化のビジネス チャンスに関するご意見をマイクロソフト パートナー エコシステムにお寄せください。こちらのページ (英語) から、パートナー コミュニティとの会話にご参加いただけます。

 

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