価値ベースの価格設定を始める【10/15 更新】


(この記事は 2017  年 8 月 29 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事  Getting Started with Value-based Pricing の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)

 

クラウドによって従来の IT サービスの料金体系が一変し、価格破壊が続いています。そうした状況の中、パートナー様はさまざまな料金モデルを模索しながら、予測可能な経常収益や利益を拡大し、収益性を高めようとしています。

価値ベースの価格戦略を採用するメリットについて取り上げた先日の記事 (英語) では、5 種類の料金モデルをご紹介しました。いずれもすべてのパートナー様に合う万能なモデルというわけではありませんが、価値ベースの価格設定は市場で急速に広まりつつあり、その持続的かつ長期的な収益拡大のメリットには一考の価値があります。

価値ベースの価格設定において焦点となるのは、サービスのコストではなく、サービスの価値に対するお客様の受け止め方です。依然としてサービス提供のコストを基準に考える必要はあるものの、価格設定の根拠はコストに左右されるものではありません。それどころか、コストについての議論は生産的でないことがほとんどです。むしろ、顧客価値に焦点を当てることが重要になります。

 

価値の確立

この議論の焦点は、パートナー様が提供する価値をお客様がどのように受け止めるかです。社員の方々なら、そもそも自社の価値が何であるかはご存じでしょう。価値とは、パートナー様が提供する対面サービスであり、サービスに同梱される知的財産 (IP) であり、サービスや IP に対する課金の方法です。

お気付きのとおり、料金モデルも価値に含まれます。設定した料金は、お客様との関係をさらに深め、長期的な価値を生み出すものであるべきです。料金を設定するにあたっては、お客様の組織について把握し、お客様の視点からサービスの TCO (総所有コスト) と ROI (投資利益率) を認識する必要があります。そして、パートナー様 (IT サービス プロバイダー) の要件からお客様の要件へとモデルの軸足を移し、お客様の業績を最大限に伸ばせるようなサービス構成を組む必要があります。

 

お客様の受け止め方を理解する

お客様はどのように価値を認識するのでしょうか。これには多数の要因が関係しています。

  • サービスを所有、実行、管理するためのコスト
  • 競合サービスのコスト
  • サービスの機能の実用性とそれに関連するメリット
  • パートナー様の企業とブランドの価値に対する認識
  • 対象となる期間、社内のリソースと能力、ソリューションによって解決される問題など、状況に応じた価値

 

 

自滅しない料金設定にする

ここまでお読みになって、どこをとっても非常に複雑であいまいだと思われたかもしれません。基本的にはそのとおりです。何かをサービスとして販売する場合、従来の方法では、何らかの使用状況の指標に基づいて料金が設定されます。そのため、デバイス単位やユーザー単位の料金設定が最も実装しやすく一般的です。

しかし、その実装しやすいというメリットよりも、ビジネスを一般的な料金モデルに固定することによるリスクや将来的な損失の方が大きい可能性があります。お客様によってニーズもそのレベルも異なるため、ユーザー単位やデバイス単位の料金では、お客様ごとに提供した価値を正確に織り込むことはできません。

段階的な料金体系やアラカルトの料金体系を採用しても、お客様は最適な選択肢ではなく、料金が最も安い選択肢を選ぶ傾向にあります。お客様は常に使用量ベースの料金を抑える必要に迫られており、パートナー様と競合他社を比較することも今では簡単です。それは同時に、パートナー様の利益拡大が困難になっているということを意味します。

 

価値ベースの価格戦略を構築するための 7 つのステップ

1. お客様のペルソナ (お客様の組織において関係を構築する必要がある人物や、その人物それぞれのニーズに対する認識) を理解する

2. 現在の顧客基盤を調査する – パートナー様が提供する価値をどのように受け止めているかを理解し、さらにそれを高める方法を明らかにします。

3. お客様の顧客生涯価値 (サービスの継続利用や更新によって継続的に付加価値を提供できるかどうか) を理解する

4. 価値の指標 (課金方法) を定義し、お客様のニーズに合わせて指標を調整する

5. 料金レベルやパッケージ バンドルの可能性に注目しながら、データから利用パターンを探す

6. リスクを考慮する – お客様によっては広範な SLA を必要としている場合もあり、それによってリスクも増大します。そのリスクを料金設定に反映する必要があります。

7. 継続的に見直す – 顧客基盤の発展に合わせて料金設定も変更する必要があります。

 

最後のポイントが特に重要です。パートナー様の目標は、所定の頻度で料金を徴収することだけではありません。新しいサポート方法を見つけて、信頼されるアドバイザーになる (同時に付加価値を提供する) ことで、自社の収益とお客様にとっての価値を拡大することができます。

営業とマーケティングの専門知識を活かして、お客様のニーズを真に理解すれば、ニーズの拡大に応じて利益も拡大していくはずです。料金は、サービスの価値、お客様がサービスを導入しなかった場合の潜在的なコスト、お客様のビジネスの発展に伴う将来の潜在的なニーズ (潜在価値) に基づいて設定する必要があります。

お客様がどのように競合サービスを評価しているかを理解すれば、お客様が支払いに応じる料金を提示し、サービスの提供期間を通じてユーザー中心の意思決定を行うことができます。

 

この戦略のメリットは以下のとおりです。

  • 高い価値をもたらす活動によって利益が拡大する
  • さまざまなサービスのクロスセルを行ったり、有償サービスを提供したりする機会が増える
  • 必要な作業を通じてお客様に関する貴重なデータを入手し、高品質なサービスの開発に役立てることができる
  • その見込み客がパートナー様のビジネスに適しているかどうかを前もって見極めることができる
  • 結果として、競合他社にはまねできない、高度にカスタマイズされたサービスを提供できる

一方で、以下のようなデメリットが考えられます。

  • 必要な調査を実施するために時間と労力がかかる
  • 科学的に確実な方法ではなく、パートナー様が見込み客に価値を伝えられるかどうかに左右される
  • 価格設定の根拠とするために必要となる情報をお客様が積極的に提供しない可能性がある

 

価値ベースの価格設定は、サービスに対して価格を設定するのではなく、お客様とそのニーズに対して価格を設定するものです。そして、見込み客によって状況が大きく異なる場合があります。この戦略においてサービスのコストを見積もるには、まず対象のお客様のペルソナやニーズを理解する必要があります。十分に理解しないまま早計に答えを出そうとすれば、サービスが適正料金を下回ることは避けられません。

お客様のニーズをきちんと把握し、作業範囲やオプションを決定することができたら、価値を適切に伝え、パートナー様にとって収益性が高く、お客様にとって価値のあるサービスを構成できるでしょう。

価格戦略と付加価値の高いアプローチを構築してクラウド ビジネスを加速する方法については、クラウド プラクティス構築プレイブック (英語) をご確認ください。財務モデルおよび価値向上モデルの詳細と、パートナー様の収益性に関するブログについては、クラウドの収益性に関するシナリオをご覧ください。

 

マイクロソフト パートナー コミュニティ (英語) では、今回ご紹介した以外にも、お客様に価値を提供し、自社のビジネスを成長させるためのヒントをご確認いただけます。

 

 

 

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