[パートナー事例]モノとネットをつなげることで「ググらせない」世界の実現へ ~アクアビットスパイラルズが展開する「スマートプレート」の革新性と、それをさらに後押しする Power BI と Azure Machine Learning の分析機能【9/12 更新】


ne「ググらせない」や「Hyperlink of Things」といったコンセプトを打ち出し、モノとネットをつなぐ「スマートプレート」を展開する株式会社アクアビットスパイラルズ (以下、アクアビットスパイラルズ) 。このプロダクトは数多くのアワードを受賞し、大手企業ともさまざまな形で実証実験が行われています。また 2017 6 月には Power BI によるデータ分析機能も提供、Azure Machine Learning の活用も進めています。

今回はアクアビットスパイラルズの Founder & CEO である萩原 智啓 氏と、取締役CTOの矢山 丈児 氏にインタビューを行い、スマートプレートとは何か、どのような実証実験が行われているのか、そしていかなる効果が得られたのかについて、お話をお聞きしました。

写真左より、Founder & CEO 萩原 智啓 氏、取締役 CTO 矢山 丈児 氏

 

 

会社と主力ビジネスの概要

 

―― まず御社の概要についてお教えください。

 

萩原 アクアビットスパイラルズは、スマートフォンのアプリやサービスの開発を主な事業領域として、2009 年 3 月に設立した会社です。2015 年 2 月には「モノとネットがつながるリアルブックマーク・スマートプレート」をリリースし、現在はこれを主力事業にしています。

 

―― スマートプレートとは、具体的にどのようなものなのですか。

 

萩原 NFC を内蔵したプレートです。このように、冷蔵庫に貼るマグネットや、会員カード、バス停の時刻表などに貼れるステッカー、店頭 POP、コンシェルジュ デスク上に置く案内板と、さまざまな形で展開しています。ここにスマートフォンをかざすだけで、Web サイトや Facebook ページ、Twitter タイムラインなどにアクセスできます。つまりリアルな世界の「モノ」を、ネット上のサービスにつなぐ「Hyperlink of Things」なのです。

 

―― 「Hyperlink of Things」とはおもしろい表現ですね。

 

萩原 モノとネットがつながるハイパーリンクは、ありそうでなかったものだと思います。私たちはこれによってハイパーリンクを再発明し、世界中のコンテストに参加しながらその可能性を探ってきました。最近ではスペイン バルセロナで 2017 2 月に開催された「4YFN1」で「IoT TOP 8 Finalist」に選出されました。間違いなくいま最もホットなプロダクトであると自負しています。

 

※1   4YFN (4 Years From Now) :世界最大のモバイル見本市「Mobile World Congress (MWC)」の分化会として併催される、「今後 4 年間での飛躍」が期待されるベンチャー企業を支援するためのイベント。2017 年 2 月には 4 回目が開催され、600 以上のスタートアップと 700 以上の投資家が集まりました。

 

―― なぜこのようなプロダクトを開発しようと考えたのですか。

 

萩原 2 つの理由があります。第 1 は、ネット検索の問題です。看板や広告には検索ワードが記載されていることが多いと思いますが、最近では検索を行う人は少なくなっています。キーワード検索というアプローチは PC 時代の発想であり、スマホがこれだけ普及した現在では時代遅れなのです。Google の調査でも、1 日の間にスマホで一度も検索をしない人は、50% 以上いると指摘されています。最近ではスマホから音声検索も行えるようになっていますが、街中で「Hey Siri」とか「OK Google」なんて言っている人は、ほとんど見かけません。入力手段がどうあれ検索というのは、一種のスキルであり、面倒な作業だからです。

 

―― 検索する必要がなくなれば、ネット上のコンテンツにもアクセスしやすくなるはずだと。

 

萩原 そうです。当社では先程の「Hyperlink of Things」に加え、「ググらせない」という言葉も商標登録しています。スマートプレートなら、ノー スキルでタッチするだけ。非言語コミュニケーションなので、2 歳の子供でも使えます。NFC なので電源もバッテリーも必要ありません。そしてもう 1 つ重要なのが、アプリすらいらないということです。

 

▲さまざまな形のスマートプレート

 

―― アプリ不要ということが、なぜ重要なのですか。

 

萩原 アプリを起動してもらうことが、大きなハードルになるからです。スマホ ユーザーが過去 1 か月の間に起動したアプリの数は、平均で 8 個だと言われています。そのほとんどが定番アプリであり、アプリ ビジネスはこの限られた数の中に入るための「いす取りゲーム」になっているのです。アプリ不要ということは、このいす取りゲームから解放されることを意味します。これが、スマートプレートの開発に至った第 2 の理由です。

 

スマートプレートの代表的な事例

 

―― 物理的な「モノ」からネットにつながるというと、Amazon Dash Button を連想させますね。

 

萩原 実際にそのように指摘されることも少なくありません。しかしスマートプレートと Amazon Dash Button には、決定的な違いがあります。Amazon Dash Button を使う人はプライム会員であり、既に Amazon のファンになっています。つまり既存のファンに対して、新しい便利さを提供するしくみだと言えます。これに対してスマートプレートは、ファンを増やすしくみです。

 

―― 具体的な事例はありますか。

 

萩原 既にいくつかの事例がありますが、最近ではピザハットのケースがあります。ピザハットのロゴをかたどったマグネットを配布し、ここからピザハットのサイトにアクセスしてもらうという実証実験を、2017 年 2 月から 3 か月間実施しました。アクセス先のサイトでは、ピザが注文できるだけではなく、簡単なゲームも用意してエンターテイメント性をもたせました。その結果、サイトへの新規流入が継続的に増加し、実証実験が終了した現在でも、流入が増え続けています。

 

―― それは興味深い結果ですね。

 

萩原 もし同じ予算を広告に使ったとしたら、流入は一時的だったはずです。冷蔵庫に貼れるマグネットだからこそ、このような効果が生まれるわけです。当社ではこれを「ハイパー家中 (イエナカ) 看板」と呼んでいます。スマートプレートなら、家の中の一等地に看板を設置できるわけです。この取り組みは、2017 年 9 月に行われた「プレミアム・インセンティブショー」で、「第3回リテールプロモーションアワード」を受賞しています。

 

―― 今年の夏は、このブログでも紹介したことのあるセカンドファクトリーの「SkyDream Shonan Beach Lounge」にも、参加していますね。

 

萩原 「スマプレPAY」というサービスを開発し、実証実験を行いました。これはスマホをメニューやボードにかざすだけでオーダーや決済が完了するというもので、利用客は海の家の座敷に座ったまま、注文カウンター並ぶことなくオーダーできます。ここでのキーワードは「ググらせない」ならぬ「並ばせない」ということになります。またこれと一緒に、インターネット上での集客サービスを展開する GMO TECH との実証実験も行っています。

 

―― それはどのようなものですか。

 

萩原 店舗アプリのインストール促進を、スマートプレートで行うというものです。GMO TECH は、店舗オリジナルの O2O アプリを簡単に作成できる ASP サービス「GMOアップカプセル」を運営していますが、アプリのインストールや起動を促す効果的な手法が少ないという課題を抱えています。その解決手段の 1 つとして今回は、店舗スタッフがそれぞれスマートプレートを持ち歩き、そこにスマホでタッチするとスタンプが貰える「スタッフラリー」を実施しました。4 人のスタッフからスタンプを貰うと、ドリンクが 1 杯無料になります。

 

―― その効果は。

 

萩原 今年は冷夏だったにもかかわらず、昨年に比べてアプリのインストール数と起動数が数倍になりました。やはり集客で最後に重要になるのは、人と人とのふれあいなのでしょう。スマートプレートを活用すれば、オフラインからオンラインへのコンバージョンだけではなく、そこからさらにオフラインにつなげることも可能になることが実証されました。

 

Power BI Azure Machine Learning の活用方法と効果

 

―― スマートプレートでは Power BI も活用されているそうですね。

 

矢山 スマートプレートの利用状況をトラッキングするダッシュボードをお客様 (利用企業) に提供しているのですが、今年 6 月に Power BI のデータ分析機能を利用できるようにしています。

 

―― Power BI に着目したのはいつごろですか。

 

矢山 2016 年 10 月に Power BI の話を聞いたのが最初のきっかけです。これならお客様の問題解決につながると感じました。当社は規模が小さいということもあり、データ分析の機能を自前で実装することが難しく、従来のダッシュボードでは利用状況の数値を追いかける機能しか実装していません。しかしデータが持つ価値をビジネスに活かしていただくには、分析機能が不可欠です。そのためいずれは実装しようと考えていたのですが、Power BI と出会うことでそのタイミングを大幅に前倒しできました。

 

―― 分析機能の提供は、いつごろを目指していたのですか。

 

矢山 もともとは 1 2 年先の予定でした。しかし実際に Power BI を使ってみると、まるで Microsoft Excel の延長のように、分析機能を簡単に実装できます。

 

―― 具体的にどのような分析が行えるようになっていますか。

 

矢山 アクセス数の UU (ユニーク ユーザー) 数のマッピングをメディアごとに行う分析や、店舗内のヒートマップ作成、ユーザーごとのアクセス状況のランキングなどが行えるようになっています。これによって、たとえばマグネットは 1 ユーザーのアクセス数が多くなり、ポスターは UU が多くなるといったことが、ダッシュボード上で可視化できます。以前はこのような分析レポートをオプションとして、手作業で作成して提供していたのですが、その手間も省けるようになりました。なおこれらの分析画面のほとんどは、大学生のインターンが作成しています。

 

―― 他に使っている分析機能はありますか。

 

矢山 Machine Learning を使っています。今は第 1 フェーズとして、ログ データから行動パターンの似ているユーザーを抽出し、これに基づいてコンテンツをレコメンドする、というしくみを構築しています。第 2 フェーズでは Cognitive Services に含まれている、Computer Vision を活用する予定です。スマートプレートの設置場所を写真撮影し、設置状況とアクセスの関係を Computer Vision で可視化したいと考えています。

 

―― それはおもしろい取り組みですね。

 

萩原 Google はページ ランクによって Web ページの価値を定量化しましたが、スマートプレートの価値も、設置場所によって大きく変化します。これをページ ランクと同じように、設置場所の重み付けを行うことで定量化できれば、最適化も容易になるはずです。

 

矢山 写真を解析すれば、周囲の状況もわかります。将来は天気や場所の空気感なども含めて、可視化できるようにしたいと考えています。また Computer Vision に加え、今年 5 月に発表された Custom Vision も活用していく予定です。

 

―― 短い期間でどのように Machine Learning を取り入れていかれたのですか。

 

萩原 2016 年 10 月に日本マイクロソフトの担当者とお会いし、話しがトントン拍子で進み、2 か月後の 2016 年 12 月のセミナーでそれらの技術を使ったスマートプレートの事例についてプレゼンすることになりました。2 か月という短期間で、技術の評価や検証と我々のビジネスでどのように適用していくかを考えていくのは、非常にタフでしたね。

 

矢山 その点は日本マイクロソフトのテクニカル エバンジェリストが当社に来て、ハック フェストをやってくれたのが大きかったと思います。無料でここまで手厚いサポートがあるとは思いませんでした。

セミナー終了後は、サービス化を進めるにあたり、日本マイクロソフトの Gold Partner であり、Azure Machine Learning に関する知見と多数の実績を持つ株式会社ネクストスケープさんの協力のお陰で、開発リソース不足を補い、開発スケジュールの短縮が出来ました。

 

 

今後のビジネス展開

 

―― 最後に、今後のビジネス展開についてお教えください。

 

萩原 「Hyperlink of Things」は新しい概念なので、これまでは認知拡大が重要なテーマでした。そのために、大手企業との実証実験を中心に、活動を展開してきたわけです。しかしだれもがスマートプレートを使えるようにしなければ、世界は変わりません。今後はスモール ビジネスでも活用しやすくし、だれにでも簡単に導入できるものにしていきたいと考えています。

 

―― iPhone NFC 対応で、利用者の幅も広がりそうですね。

 

萩原 そのとおりです。モノから情報を取り出す世界は、今後間違いなくやってきます。当社はこの新しいユーザー体験を広げるためにも、ボトムアップを積極的に推進していきます。

 

―― 本日はありがとうございました。

 

 

 

株式会社アクアビットスパイラルズ

2009 年 3 月設立。社名の「アクアビットスパイラルズ」には、「人・アナログ・リアルとデジタル・テクノロジー・バーチャルが融合してスパイラル構造を創り、昇華していくことで新たな価値が生まれる」という思いが込められています。現在は主力ビジネスとして、モノとネットとをつなぐ「スマートプレート」を展開。「ググらせない」「Hyperlink of Things」をコンセプトに、リアルとネットの連携による新たなユーザー体験を広げつつあります。

 

 

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