[パートナー事例] 止まらないサービスで事業継続を支援~危機管理ポータル「BCPortal」を Azure へと移行したインフォコムの選定理由と、それによって得られたメリット【3/28 更新】


大規模な自然災害が発生しても、事業を継続できる体制を確立すること。これは災害が多発する日本の企業にとって、きわめて重要な課題だと言えます。このようなニーズに対応するため、危機管理ポータル「BCPortal」を提供しているのが、インフォコム株式会社 (以下、インフォコム) です。そして 2016 年 6 月には、このサービスを自社データセンターから Microsoft Azure へと移行しています。

それではなぜインフォコムは Azure への移行を決めたのでしょうか。そして移行によって得られたメリットとは。BCPortal 事業を担当するインフォコム サービスビジネス事業本部の皆さまに、お話をお聞きしました。

1

写真右より、インフォコム株式会社 サービスビジネス事業本部 サービスビジネス営業部 部長 葉葺 真一 氏、インフォコム株式会社 サービスビジネス事業本部 サービスビジネス営業部 スマートコミュニケーションズグループ 課長 中川 友記 氏、インフォコム株式会社 サービスビジネス事業本部 サービスビジネス開発運用室 企画開発チーム 課長 嘉門 健一郎 氏、インフォコム株式会社 サービスビジネス事業本部 サービスビジネス開発運用室 企画開発チーム 技師 山口 夏毅 氏

 

インフォコムと「BCPortal」の概要

 

―― まず御社の概要についてお教えください。

 

2葉葺 インフォコムは 1983 年に設立されたシステム インテグレーターで、2001 年に株式会社帝人システムテクノロジーと合併し、新生インフォコムとなりました。現在では、国内 8 社、海外 2 社の合計 10 社で「インフォコム グループ」を構成しています。グループ全体の事業領域は、情報処理サービスの提供やソフトウェアの開発、Web 対応 ERP「GRANDIT」の開発/販売、ヘルスケア業界向けソリューションの開発/販売、携帯電話やスマートフォンへのコンテンツ配信や e-コマース、食品関連商材を中心とした e-コマースなど、多岐にわたっています。よく知られているサービスとしては、無料試し読みできる電子書籍漫画ストア「めちゃコミック」があります。私どもの組織はその中で、災害発生時の安否確認に貢献する「エマージェンシーコール」や、災害時のさまざまな情報を簡単に共有できる「BCPortal」、社内システムへのセキュアなリモート接続を可能にする「S-Proxy」などのサービスの開発と提供を行っています。

 

―― 2016 6 月には、BCPortal Azure へと移行しましたね。これは具体的にどのようなサービスなのですか。

 

葉葺 まず開発の経緯からお話しましょう。当社では 1995 年 1 月の阪神淡路大震災の時、ボランティアで安否確認のための電話サイトを立ち上げ、当時の社員がその情報を記載したチラシを電柱に貼って回りました。これが多くの方から評価され、「エマージェンシーコール」の企業向け提供へとつながりました。東日本大震災の時には、他社の同様のサービスがほとんどダウンする中、エマージェンシーコールは問題なく稼働し、現在では 1,200 社、300 万ユーザーにご利用いただいております。しかし安否確認はあくまでも初動対応に過ぎず、企業が災害時でも事業を継続するためには不十分です。そこで東日本大震災の経験を活かして災害時の情報共有サービスを企画、2014 年 7 月に「BCPortal」としてリリースしました。

 

―― 実際にどのようなお客様がお使いになっていますか。

 

葉葺 それまでエマージェンシーコールのユーザーだったお客様を中心にご利用いただいており、BCPortal の現在のユーザー数は約 100 社、10 万 ID が登録されています。

 

―― 具体的な機能は。

中川 社内外の関係者と情報共有するための「掲示板機能」、時系列で情報を記録するための「タイムライン機能」、特定メンバー間で双方向の情報交換を行う「グループトーク機能」、簡単な操作で状況入力と集計が行える「拠点情報入力」、防災情報を一元表示する「防災情報表示」、現場状況の画像収集を無人で定期的に行う「拠点画像配信」といった機能を提供しています。

 

嘉門 たとえばある物流業様では、熊本地震の際に BCPortal を活用し、現地の情報共有や物流ルートの確保を行いました。これによってわずか 3 日で物流体制を復旧させ、お客様より感謝のメールをいただきました。

 

3中川 2016 年には熊本地震以外にも自然災害が多発し、その結果導入企業も急増しました。また、これに伴い使い方も進化しており、自然災害発生時だけではなく、情報システムセキュリティなどの危機対応全般で活用するケースも増えています。たとえばある小売業様では日ごろからグループトークを活用し、店舗や物流センターのスタッフが日常的な情報交換を気軽に行えるようにしています。またある建設業様では、自社ホームページの中に BCPortal の機能を組み込み、従業員の家族がログインせずに、ある程度の情報にアクセスできるようにしています。

 

4

▲基盤での障害発生時には、バックアップ サイトが起動し、サービスを継続します。

 

 

BCPortal Azure へと移行した経緯と Azure の選択理由

 

―― これをなぜ Azure へと移行することになったのですか。

 

中川 BCPortal はもともと社内データセンターで運用していたのですが、グループの事業構造改革の一環として、データセンター事業からの撤退が決まったからです。これに関しては 2015 年 9 月に発表されており、2017 年 6 月にデータセンター サービスが終了する予定です。ただしこの話が出る以前から、クラウドへの移行は検討していました。

 

―― それはなぜですか。

 

中川 エマージェンシーコールは機能がシンプルなこともあり、ユーザー数が増えても負荷の予測がある程度できました。しかし BCPortal ではさまざまな機能を提供しており、それらの使い方も多様化しています。災害発生時にどれだけ負荷が上がるのかを予測することが難しく、運用上の不安があったのです。今後のユーザー数の増大に備えるには収容力の強化が必要ですが、自社データセンターでは収容力に限界があり、設備増強することも困難でした。そこで簡単にスケール アウトできるクラウドへと移行すべきだと判断しました。

 

―― 移行先としていくつのクラウド サービスを検討しましたか。

 

5山口 Azure 以外にも AWS など、4 つのサービスを比較検討しました。

―― その結果、Azure を移行先に決めた理由は。

 

山口 最大の理由はリソース コントロールが柔軟にできることです。スケール イン/アウトが柔軟にできないと、増設したサーバーがすべてコスト要因になってしまいます。しかし検討段階では、これが可能なクラウド サービスは Azure と AWS くらいしかありませんでした。

 

嘉門 これに加え、データセンターが国内の離れた場所に 2 拠点あることも、重要なポイントとなりました。「データセンターは国内で」というお客様は非常に多く、東西 2 拠点にデータセンターがある Azure は、このようなご要望にお応えするうえで、最適な選択肢になりました。

 

―― 移行に要した期間は。

 

山口 具体的な検討に着手したのが 2016 年 1 月なので、半年くらいの期間を要したことになります。東西データセンターによる冗長化をどのように作り込むか、というところで時間がかかりました。以前の BCPortal は単一データセンターで運用されており、データセンター間の冗長化は行っていなかったからです。構成などを変えずに移行するだけであればもっと早く移行できたはずです。

 

Azure への移行でもたらされたメリット

 

―― 実際に Azure へと移行したことで、どのようなメリットが得られましたか。

 

山口 オート スケールによって、アクセスが集中しても問題なく対応できるようになりました。自社データセンターで運用していた時には、状況によっては処理がスロー ダウンすることもあったのですが、Azure では同様のことが起きてもリソースに余裕があり、スロー ダウンが発生しません。ユーザーの収容能力も増強でき、お客様が増えてもすぐに対応できます。開発やメンテナンスを行う時も、必要なリソースだけを起動できるのでムダがありません。そのため運用コストが節約できるのも、大きなメリットです。

 

6

▲アクセス集中時には拠点内のサーバー リソースを動的に追加しサービスを継続します。

 

7嘉門 マイクロソフトのエバンジェリストがついてくれて、何かあったらすぐに来てくれるのも助かります。他の海外のサービスでは問い合わせ窓口がわかりにくく、何かあった時には自力で調べなければならないことが多いのですが、Azure ならエバンジェリストが即時返答してくれます。

 

中川 営業活動も行いやすくなりました。たとえば金融系のお客様では、金融庁の指示によってサービス提供事業者の現地視察が必要になっているのですが、マイクロソフトはこのような要望にも対応してくれます。Azure のデータセンターを視察したお客様は、マイクロソフトの安全基準が日本以上に厳しいことを知り、安心して採用してくださいます。

 

山口 環境構築を管理コンソールでスピーディに行えるのも便利です。テンプレートを用意しておけば、本番と同じ構成の環境をすぐに立ち上げて、開発に利用できます。本番環境と同じ状況で開発ができれば、確信を持って開発を進められます。

 

嘉門 インフォコムでは安否確認システムとしては初めてとなる、IT サービス マネジメント システム (ITSMS) の国際規格「ISO 20000」を取得しており、厳格なプロセスに則り運用しています。環境構築などの設定作業に手間がかかると作業ミスが発生しやすくなりますが、設定作業自体を簡素化できればこの問題も解消できます。

 

今後の展望

 

―― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 

山口 今は Azure の IaaS 機能を使っていますが、今後の開発では PaaS 機能の活用も考えています。これによって周辺サービスの開発を効率化できるはずです。また機械学習にも取り組みたいと思っています。

 

―― どのような周辺サービスの開発が計画されていますか。

 

中川 モノから自動的に情報を収集する、IoT 機能を組み込みたいと考えています。今の BCPortal は、人が手入力することで情報を収集するようになっていますが、被災地の状況を人が出向いて確認するのでは時間がかかってしまいます。センサーを使って情報を収集できれば、この時間を省くことができ、事業継続対応の着手を迅速化できます。

 

嘉門 プロトタイプの開発に着手したところです。実際のサービスでは、Azure IoT Suite を活用することも考えています。またドローンで被災地を調査し、その情報を取り込むといったことも検討しています。

 

―― 他のサービスで Azure を使う計画はありますか。

 

嘉門 既に S-Proxy で Azure を利用しています。自社データセンターからの移行は 2016 年 12 月に完了しています。

 

葉葺 実際に BCPortal で Azure を使うことで、止まらないサービス基盤が実現できることがわかりました。基盤に関する心配がなくなれば、サービス自体の開発に専念できます。Azure に費やされるコストは、品質保証のための投資です。今後もお客様のご要望をお聞きしながら、Azure 上で新しいサービスをどんどん立ち上げたいと考えています。

 

―― 今後の取り組みにも期待しています。本日はありがとうございました。

 

8

 

インフォコム株式会社

1983 年に設立されたシステム インテグレーター。2001 年に株式会社帝人システムテクノロジーと合併し、新生インフォコムとなりました。現在は、国内 8 社、海外 2 社の合計 10 社で「インフォコムグループ」を構成。情報処理サービスの提供やソフトウェアの開発、Web 対応 ERP「GRANDIT」の開発/販売、ヘルスケア業界向けソリューションの開発/販売、携帯電話やスマートフォンへのコンテンツ配信や e-コマース、食品関連商材を中心とした e-コマースなど、多岐にわたる事業を展開しています。また「エマージェンシーコール」や「BCPortal」の提供を通じて、災害発生時の事業継続もサポートしています。

 

 

Skip to main content