[パートナー事例]【勘定奉行の OBC】Azure の PaaS を活用しパッケージ開発方法やプロセスを変革していく~「クラウド ファースト」を掲げるオービックビジネスコンサルタントの、クラウドにかける想いと活用戦略【1/31 更新】


「クラウド ファースト」の戦略に基づき、自社パッケージのクラウド化を積極的に進める株式会社オービックビジネスコンサルタント (以下、OBC) 。2015 年に提供を開始した「OMSS+ OBCマイナンバーサービス」は「Microsoft Japan Partner of the Year 2016」の「Application Development アワード」を受賞。2016 年 11 月には主力製品をクラウド化した「奉行10 新クラウドモデル」も発表しています。

それではなぜ OBC はこれだけ積極的にクラウド化に取り組んでいるのでしょうか。そしてその具体的な戦略と、これからの展望は。同社 代表取締役社長の和田 成史 氏、開発本部 開発副本部長の唐鎌 勝彦 氏、開発本部 ICTセンター 部長の日野 和麻呂 氏にお話をお聞きしました。

obc1

株式会社オービックビジネスコンサルタント 代表取締役 社長 和田 成史 氏 (写真中央)
株式会社オービックビジネスコンサルタント 開発本部 開発副本部長 唐鎌 勝彦 氏 (写真左)
株式会社オービックビジネスコンサルタント 開発本部 ICTセンター 部長 日野 和麻呂 氏 (写真右)

 

 

会社概要と「奉行10 新クラウドモデル」について

―― まず御社の概要についてお教えください。

obc2和田 OBC は創業から 36 年間、中小/中堅企業の基幹業務をパッケージ化して提供し続けてきました。プラットフォームは長年にわたってマイクロソフトを採用、マイクロソフトと共にテクノロジーを進化させ続けています。主力製品である「奉行シリーズ」も、常に最新テクノロジーで利用できるようにしており、スピード、操作性、使い勝手の三拍子揃ったパッケージであると自負しております。取得および申請している特許の数も現在では 100 を突破。その一方で販売面では、パートナー販売を重視するスタンスを取り続けています。これまで培ってきたテクノロジーと優れたパートナー様の存在が、当社のコア コンピタンス なのです。おかげさまで日経コンピュータの顧客満足度調査では ERP 部門で 3 年連続 No.1 というご評価をいただいており、累計ではこれまで 10 回獲得しています。

 

―― その奉行シリーズの「新クラウドモデル」を、2016 11 月に発表していますね。

 

和田 Microsoft Azure 上で動く「奉行10」の提供を、いよいよ開始いたしました。これからは IoT をベースとした新しいインターネット時代となり、業務パッケージも新しいステージに移行する必要があります。OBC はこれまで Windows を基盤としてパッケージを提供してきましたが、これからは『Azure がネット環境の OS』になると確信しています。

 

―― クラウド化に対するお客様のご要望も増えているのですか。

 

和田 2016 年に入ってからは中小/中堅企業のお客様でも、クラウド化の流れが一気に加速しています。現在では 9 割のお客様が、クラウド採用を前提とする「クラウド ファースト」へと動いており、当社も 2016 9 月から企業戦略として「クラウド ファースト」を前面に押し出すことにしました。実は昨日 (2016 年 12 15 日) 名古屋で開催されたセミナーに出席し、名古屋支店のメンバーと話をしたのですが、ここでも「お客様の 9 割はクラウド移行に積極的で、奉行10 新クラウドモデルの商談も絶好調です」と言われました。

 

―― それはすばらしいですね。このようなお客様の反応は、当初から予想していたのですか。

 

和田 私自身は「これからはクラウドだ」と確信していましたが、現場の社員は予想以上の反応にびっくりしているようです。

 

 

OBC が進めてきたクラウド化への取り組み

―― クラウド化への取り組みは、これまでどのように進めてきたのですか。

 

obc3和田 2011 年 11 月に、災害や事故から業務データを守るクラウド サービス「OBCストレージサービス」を Azure に対応させたのが、最初の取り組みだったと思います。その後も、クラウド環境で奉行シリーズ運用を実現する「OBCクラウド運用サービス」や、クラウド会計ソフト「奉行J Personal (パーソナル) ベータ版」を提供。2015 年 10 月には「OMSS+ OBCマイナンバーサービス」の提供も開始しています。また 2016 10 月には「OMSS+ 年末調整申告書サービス」と「OMSS+ 勤怠管理サービス」もクラウドで提供。奉行10 の新クラウド モデルはこれらに続くものです。

 

―― OBCマイナンバーサービスの開発では、「Microsoft Japan Partner of the Year 2016」の「Application Development アワード」も受賞されましたね。

 

和田 ありがとうございます。このサービスは Azure Web Apps を活用することで、わずか 3 か月でリリースできました。リリースから半年でユーザー企業数は 1 5,000 社に上り、400 ~ 500 万名様のマイナンバーを扱わせていただいています。これまで中小/中堅企業の個人情報は金庫に保管するのが一般的でしたが、マイクロソフトのデータセンターなら社内の金庫よりも安心して個人情報を預けられる、というご評価をいただいております。データ管理はデータセンター内で三重化しており、これを東西のデータセンターでさらに二重化しています。当社はこれまで一度もデータ漏洩やデータ消失を起こしたことがありませんが、Azure をこのように活用することで、鉄壁のデータ保護を実現しています。

obc4

 

―― 奉行10 新クラウドモデルでは、Azure をどのように使っているのですか。

 

obc5唐鎌 現在は IaaS として活用し、オンプレミス版の奉行10 をほぼそのままクラウドで動かしています。そのため奉行10 新クラウドモデルは、Azure 以外のさまざまなクラウドでも同じように使っていただけるのですが、Azure だけはクラウド環境の構築と運用まで含めた、オール イン ワン サービスとして提供しています。

 

―― なぜ Azure のみオール イン ワン サービスを提供することにしたのですか。

 

唐鎌 いくつかの理由があります。第 1 は、複数のデータセンターやクラウド サービスのコスト試算をした結果、Azure が最も低コストだったことです。第 2 は、仮想マシンを動かすハードウェアだけではなく、SQL Database のようなソフトウェアも用意されているため、パッケージ稼働環境の整備や運用が容易だからです。そして第 3 が、他社クラウドはほとんどが IaaS の提供のみなのに対し、Azure では充実した PaaS が提供されていることです。これからのクラウド活用の形を考えると、PaaS の存在は非常に重要だと考えています。

 

 

Azure PaaS への評価と期待

―― 奉行10 新クラウドサービスも、今後は稼働基盤を、IaaS から PaaS へと移していくのですか。

 

唐鎌 そうです。既に「OMSS+ 年末調整申告書サービス」は、Azure の PaaS 上で SaaS として提供しています。また 2016 年末には、小規模企業様向けの「奉行 J クラウド」も同様に、Azure の PaaS 上で動く SaaS として提供する予定です。

 

―― まず小企業向けの製品から PaaS を活用し、その後中堅企業向けの PaaS 活用を進めていくと。

 

唐鎌 やはりオンプレミス環境から PaaS への移行では、ある程度コードを書き直す必要があります。そのため比較的小さなパッケージから移行するようにしています。中堅企業様向けの大規模なパッケージは、まずオンプレミスから IaaS へと移行してクラウド化し、その後に PaaS に載せ替えていきます。

 

―― コード変更を行うという、いわばリスクになり得る対応をしてでも、あえて PaaS を使っていこうとしているのはなぜですか。

 

obc6唐鎌 これからのクラウド活用で主流になるのは PaaS だと考えているからです。クラウドを「仮想マシン」として使うのではなく、ソフトウェア サービスの集合体として使うことで、システム基盤やミドルウェアのメンテナンスが完全に不要になり、業務アプリケーションの開発および運用に集中できます。特に Azure で提供されている PaaS は機能改善や機能アップのサイクルが速く、どんどん使いやすくなっています。

 

―― OBC 自体の開発スピードも上がっていますか。

 

唐鎌 今はまだ「離陸している最中」といった感じですが、今後は徐々にスピードアップしていくと思います。新機能を早いタイミングでリリースするために、DevOps に向けたディスカッションもマイクロソフトと一緒に進めており、この考え方を開発体制の中に組み込みつつあります。これによって機能リリースまでのタイム ラグが解消していくはずです。

 

和田 クラウド化によって、パッケージの作り方やプロセスも変わっていくと考えています。これまでは細かい機能単位でコードを作成していましたが、今後はそれ自体が 1 つの製品となり得る大きなブロックを作り、それらを組み立てていくようになるでしょう。つまりソフトウェア開発が、労働集約型の産業から、装置産業へと変化していくわけです。

 

―― 運用面でのメリットは。

 

obc7 Azure のポータルは管理を一元化しやすく、SDK や PowerShell も用意されているため、効率化が図りやすくなっています。これまで手作業で行っていた作業を自動化することで、人的ミスも回避でき、これもコスト削減につながっています。また Azure なら、従来の開発環境と同様に、技術支援を行うサポート窓口がマイクロソフト側に用意されるため、安心して開発および本番環境の構築・運用が行なえます。

 

唐鎌 OBC は開発を Microsoft Visual Studio で行っていますが、これとの親和性が高く、融合した形で開発を進められるのも、Azure のメリットです。

 

 

これからの取り組みと長期展望

―― 今後はどのような取り組みを進めていく予定ですか。

 

唐鎌 Azure に追加された新しいサービスを、積極的に活用していきます。現在既に、Cognitive Services や Machine Learning、Power BI の検証を進めています。特に Cognitive Services は、顔認証などに活用できるのではないかと期待しています。

 

和田 これまでの歴史を振り返れば、1950 年代から 30 年間汎用機の時代が続き、1980 年代には Windows の登場によってクライアント/サーバー型の分散システムが主流となり、2010 年からは再び集中化が進むと共に、スマホやタブレットなどのマルチ デバイス化も広がっています。このようにコンピューティングの世界は、30 年ごとに大きく変化してきました。現在、集中化の部分を支えているのがクラウドであり、過去の流れから考えれば、2040 年までは間違いなくビジネス クラウドの時代になると思います。OBC もすべてのリソースをつぎ込んで、クラウドに取り組んでいく必要があると考えています。

 

―― OBC のクラウド化に向けた取り組みは、かなり先進的なものだと思います。これからクラウド化に向けて動き出そうとしている同業他社に対して、何かメッセージはありますか。

 

和田 世界は常に不確実であり、その中で生き残るには「何を信じるか」が重要になります。たとえば Windows はビジネスの世界を支える OS になりましたが、それが登場した当初はこのような状況になるかどうかは不透明でした。それでも多くのソフトウェア ベンダーが Windows を信じ、その道を突き進んだからこそ、今の状況があるのだと思います。これはクラウド時代も同じです。信じる道を突き進むしかありません。世界が大きく変わろうとしている今、『変わらないことこそが最大のリスク』になります。もし選んだ道が間違えていたことがわかったら、その時にまた道を変えればいいのです。ビッグ データや AI などのようにこれまで不可能だったことも、クラウドなら容易に実現できる時代になります。企業経営の選択肢も増え、これまでは想像もできなかったビジネスが生まれる可能性も高くなっています。当社もこのようなおもしろい時代を楽しみながら、変化し続けていきたいと考えています。

 

―― 本日はありがとうございました。

 

 obc8

 

株式会社オービックビジネスコンサルタント

1980 年 12 月に設立された、基幹業務システムのパッケージ ソフトウェア メーカー。主に中堅企業および中規模/小規模企業にフォーカスしたソリューションの開発、販売、保守などのサービスを提供しています。多様な情報技術とお客様の満足を徹底的に追及する「顧客第一主義」の下にビジネスを展開しており、これまでに ERP 部門で顧客満足度 No.1 10 回獲得。2011 年にはいち早くクラウド化に向けた取り組みも開始、2016 年 11 月には主力製品である「奉行10」のクラウド対応も果たしています。

 

Skip to main content