【パートナー事例】クラウドを活用した飲食店や海の家を自ら展開、IT企業の枠を超えたセカンドファクトリーのビジネスと、それを支えるビジョン【12/8更新】


江ノ島の海水浴場で、フル クラウドで実現した海の家を運営する…このようなユニークな取り組みを今年で 3 年連続行ってきたのが、株式会社セカンドファクトリー (以下、セカンドファクトリー) です。同社は Microsoft Business Productivity Online Suite (BPOS) 時代から Microsoft Office 365 を活用すると共に、2011 年にはクラウド ベースの飲食店向けパッケージ「QOOpa」をリリース。2013 年には Microsoft Azure (以下、Azure) 上で稼働するコンポジット クラウド プラットフォーム「SkyDream」もリリースし、QOOpa を SkyDream の 1 コンポーネントとして統合しています。
今回はセカンドファクトリー社長の大関 興治氏に、同社におけるクラウドへの取り組み、ビジネスに対するビジョン、江ノ島で運営した海の家の概要、今後の展望などについてお話をお聞きしました。

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株式会社セカンドファクトリー
代表取締役
大関 興治氏

これまでの主力ビジネスとクラウドへの取り組みについて

まず御社の概要についてお教えください。


sf_2当社は “Design × Technology × Service” によって、クライアント企業と共に新たな価値を創造する IT 企業です。コンサルティングからデザイン、エンジニアリングの各領域のプロフェッショナルがチームを形成し、総合的なサービスを提供しています。コンサルティングでは、「シンセシス コンサルティング」というデザイン思考と独自の要求開発プロセスを組み合わせたデザイン & アーキテクチャによるビジネス駆動開発コンサルティングでビジネス価値を協創しており、システム開発は一貫して人間中心設計のプロセスに則った人にフォーカスした開発を行っています。現在のお客様は大手メーカー様や大手通信事業者様が多いのですが、2011 年には飲食店向けパッケージである「QOOpa」をリリースし、中小企業へのビジネス展開も積極化しています。

QOOpa とはどのような製品ですか。

これは飲食店が抱える課題を IT で解決し、経営を攻めの姿勢に変える、クラウド型のソリューションです。スマートフォンやタブレットによってワイヤレスでオーダリングを行えるほか、Power BI を活用したデータ分析も可能です。最大の特徴は「API First」の発想で開発されている点です。他の一般的なパッケージがゼロから人の手で作り上げる粘土細工だとすれば、QOOpa はレゴ ブロックのように、さまざまな機能をコンポーネントとして組み合わせるようになっています。またそれぞれの機能には API が用意されているため、外部のツールとも簡単に連携できます。QOOpa をご利用いただければ大手飲食チェーンの IT システムと同様のことが、1 店舗あたり月額 3 万円程度で中小の飲食店でも実現可能になります。

クラウドの活用はいつごろから始めていますか。

Office 365 は BPOS の時代から利用しています。当初、QOOpa は AWS (Amazon Web Services) 上で開発していましたが、2013 年に全面的に Azure へと移行しました。QOOpa も最初から Azure を使いたかったのですが、当時の技術課題と予算面の条件により、やむなく AWS を選択したという経緯があります。また 2013 年には Azure を基盤とした、ビジネス駆動開発を支える「コンポジット クラウド プラットフォーム」である「SkyDream」をリリースしました。現在の QOOpa はこの SkyDream の 1 コンポーネントとして提供しています。

今年で 3 年目となった江ノ島での海の家経営

その一方で飲食店の経営もされていると伺っています。江ノ島の海水浴場にも海の家を出店されており、それが今年で 3 年目になるということですが。

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昨年までは海の家の 1 テナントとして場所をお借りして、若葉台や下北沢で店舗展開している「極鶏 (ゴクチー)」や、バーを出店していました。今年は海の家の出店権利を取得して、海の家である「SkyDream Beach Lounge」、鶏の唐揚げを中心とした飲食を提供する「極鶏」、バー & スィーツの「GRANBLUE」という 3 店舗を出店しました。またマイクロソフト様だけではなく、セキュリティ機能を提供するワンビ株式会社様、タフパッドを提供するパナソニック株式会社様やエリートパッドを提供する日本ヒューレット・パッカード株式会社様、エレコム株式会社様など、数多くの協賛企業の皆さまにもご協力いただきました。

各店舗の特徴は。

まず SkyDream Beach Lounge ですが、これはロッカーや座敷、シャワーなどをお貸しする海の家であると同時に、SkyDream のショーケースになるよう、SkyDream や QOOpa の機能をフル活用しています。たとえば利用券は QR コードを印刷したリスト バンドになっており、これをお客様のスマートフォンで撮影すれば、利用ガイドや他の店舗のメニューが表示されます。表示言語はスマートフォンの言語設定によって、日本語、英語、中国語へと自動的に切り替わります。壁やカウンターには NFC も埋め込んであり、ここにスマートフォンをかざすことでも情報が表示されます。浮き輪やパラソルといった物品のレンタルは、ご利用いただくロッカーのカギ番号と紐付けして履歴を残し、すべて一括で精算可能です。また会社の福利厚生としてご利用いただく場合には、スマートフォンに前売りクーポンを配信し、利用料金を福利厚生費として精算できるしくみもご用意しました。


それはおもしろいですね。他の店舗はどのようなものでしたか。

極鶏はこれまでの店舗と基本的には同じです。QOOpa で店舗オペレーションとデータ分析を行うことで、運営を極限まで効率化しています。また座敷のお客様には Microsoft Surface を貸し出して、そこから注文できるようにしています。このようなことは既に 3 年前から行っていますが、GRANBLUE は、私どもとしても新しい取り組みです。QOOpa で店舗運営しているのは極鶏と同じなのですが、ここでは「地域創生とクラウド」をテーマに、農家様と食材利用者をつなぐしくみのショーケースにすることを目指しました。メニューも、「ゆめのか」や「シャインマスカット」、「あまなつ」、「露茜 (つゆあかね)」などのフレッシュ フルーツや自社栽培のハーブを使い、モヒートやかき氷、フローズン カクテル、ソフト ドリンク、スイーツなどをご用意しました。

なぜ自ら海の家を経営しようと考えたのですか。

小規模な店舗でも QOOpa や Azure を活用すれば、これだけのことができるということをはっきりとした形で示したかったからです。今年 9 月に開催された日本マイクロソフトの「FEST2015」のデモでも取り上げていただきましたが、QOOpa と Power BI、Azure のマシン ラーニングを組み合わせれば、きめ細かい分析はもちろんのこと、天候などの外部要因も加味した精度の高い売上予測まで可能になります。そもそも、海の家ほど条件の悪い飲食店はありません。レジャーとしての海水浴が衰退気味であるうえ、天候にも大きく左右され、今年はサメが出て開店できない日もありました。それでも累計 18,000 人を超えるお客様にお越しいただき、利益も確保しています。プロモーションの場として、これ以上のものはありません。また私どもは「インクルーシブ デザイン」という考え方を重視しているのですが、これを実践するうえでも、自ら飲食店を経営することは欠かせないと考えています。

御社が重視するインクルーシブ デザインとは。

ビジョンの実現に関わるステークホルダーを、企画および開発の初期段階から巻き込みながら (インクルード) 、一緒になってデザインを進めていくというアプローチです。たとえば中小規模の飲食店は、ニーズはあるものの、IT の活用に大きな遅れがありました。もちろん POS システムなどはありますが、ほとんどはオペレーションの効率化にとどまっており、飲食店の本質的なニーズには対応していません。インクルーシブ デザインを行うには、企画段階から飲食店の方に参画していただく必要がありますが、極端なことを言えば自らが飲食店を経営していれば、自分自身でそのニーズを把握できます。利用される方々の仕事を実践しながら、IT ソリューションのデザインを進められれば、要件定義の作成も不要になるのです。

今後の展望について

今後は中小の飲食店をメイン ターゲットにしていくのでしょうか。
sf_4そうです。いま私どもが最も注目しているセグメントは、年間売上が数億円程度の企業です。たとえば、現在は 1 億円規模の飲食企業に大手企業と同じレベルの IT を提供することで、100 億円規模の企業へと成長するお手伝いをしたい。このようなことを考える IT 企業があってもいいと思うのです。今後はこのようなアプローチを行う IT 企業も増えていくと思いますが、私どもはその先鞭を付けたいと考えています。中小の飲食店は景気低迷の影響もあり、一時は 60 万店にまで減ってしまいましたが、最近では景気も回復し、店舗数も 70 万店にまで回復しています。今後は東京オリンピック開催に向けてマインドも向上し、中の上クラスの外食が元気になっていくはずです。

 

GRANBLUE のテーマとなった「地方創生とクラウド」に関しては、今後どのような展開をお考えですか。

徳島県鳴門市に新たな法人を設立し、ここで農産物を買い取ってショック フリーズ (急速冷却) を行い、クラウド経由で飲食店に卸していくビジネスを始める計画です。収穫時には糖度などを計測し、これらのデータもクラウドで提供します。飲食店が求めているのは生の食材ではなく、安定的に利用できる加工食材です。私どもはその提供を行うことで、農家と飲食店をつないでいきます。もちろんクラウドも活用しますが、IT はツールの 1 つに過ぎません。これを活用していかにして価値をあぶり出していくのか。飲食店のゴールは美味しいものを出すことではなく、来店客を喜ばすことにあります。これと同様に私どもも IT を提供することを目的とするのではなく、お客様を喜ばすことを目的にしたいと考えています。

ありがとうございました。

 

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写真左より:SkyDream事業本部 セールスチームの菅 晃平 氏、大関 氏、SkyDream事業本部 広報/マーケティング担当 中野 寿仁 氏。江ノ島における店舗運営では、菅氏が全体統括、中野 氏が「極鶏」「GRANBLUE」の店長を担当しました。

株式会社セカンドファクトリー
1998 年 1 月設立。「”Design × Technology × Service” で未来を豊かにする」を企業理念に掲げ、クライアント企業と共に新たな価値を創造し続ける IT 企業です。コンサルティングからデザイン、エンジニアリングまで一貫したサービス提供すると共に、近年では QOOpa や SkyDream といった独自製品も展開。「IT を提供」するのではなく「顧客にとっての価値を提供」するという姿勢を貫きながら、一般的な IT 企業の枠を超えた、ユニークなビジネス展開を行っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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