【パートナー事例】なぜクラウド ビジネスを始めてマイクロソフトのパートナーとなったのか:クラウド パートナーが本音で語るマイクロソフトとの協業の実際 【11/10 更新】


2015 年 9 月 2 日から 3 日間にわたって、マイクロソフトの新イベント「FEST 2015」が開催されました。初日の 9 月 2 日は、「Partner Day」と名付けられ、マイクロソフト クラウドを使うメリットや先行パートナー様の成功事例など、さまざまなセッションが行われました。

「Partner Day」の 1 セッションとして開催されたパネル ディスカッションでは、日本マイクロソフト株式会社 パートナーセールス統括本部 業務執行役員 統括本部長の佐藤 恭平がモデレーターとなり、株式会社ナレッジコミュニケーション 代表取締役の奥沢 明氏、株式会社スカイアーチネットワークス 代表取締役の江戸 達博氏、株式会社HDE 執行役員 事業開発室の汾陽 祥太氏、株式会社ネクストセット/株式会社サテライトオフィスの代表取締役社長の別所 貴英氏をパネリストに迎え、4 社が本音でマイクロソフトとのパートナーシップについて語っています。「クラウド ビジネスに注目した理由」「なぜマイクロソフトのパートナーとなったのか」「パートナーのメリットとデメリット」「これからパートナーになろうとしている企業へのアドバイス」の 4 点について 4 社が語ることにより、クラウド ビジネスとマイクロソフトとの協業がどのように行われることを知る貴重な機会となりました。

 

次々と新しい機能が出てくることが Microsoft Azure の魅力で我々の価値になる
株式会社ナレッジコミュニケーション
代表取締役
奥沢 明 氏

2010 年から AWS (Amazon Web Services) を使ってプラットフォームの構築および管理を行ってきたナレッジコミュニケーションは、現在 AWS と Azure の両方でビジネスを展開しています。「クラウド上でビッグ データ分析の基盤などを作っていました」と話す奥沢氏は、新機能の Azure Machine Learning によってドラッグ & ドロップで簡単に機械学習ができるようになることで、ロボットなどに興味を持っているお客様に AI なども提供できるようになり、クラウドを使って、インフラだけでなく、アプリケーションなども作っていけるようになったと説明します。

・クラウド ビジネスに注目した理由
Web システム開発をメインに行っていた同社がクラウド ビジネスを始めたきっかけは、システムだけでなく、サーバー管理も行ってほしいというお客様の要望が出てきたことでした。開発とオンプレミスのサーバー管理を同時に行っていると、ハードウェア障害の対応に半日から 1 日、エンジニアが張りつく必要があり、クレームにも対応しなければなりません。これによって、エンジニアが肉体的にも精神的にも厳しい状態に追い込まれると説明する奥沢氏は、今後の運用やポリシーを考えて、クラウドの利用を判断したと言います。実際にクラウドに移行することによって、インフラの知識はもちろん、プログラミングの知識も役立てることができ、たとえば、100 台のサーバーを構築する場合も、スクリプトを書いて実行させるだけで、しっかりとチェックされた環境を作ることができ、少ない工程で高品質な環境をすばやく作れることにメリットを感じている、と説明します。

・パートナーとなった理由
長年、AWS によるサービスをやってきた奥沢氏は、「AWS と Azure は似たようなサービスと考えていましたが、実際に調べてみると両社のポリシーや方向性の違いが見えてきます」と話します。AWS にも 40 近いサービスがありますが、Azure は日本にデータセンターを置き、機能やサービスが毎日のように追加されていることに注目したと言います。単に IaaS などを提供するだけなら、どちらかのクラウドに特化したサービスを作ることも選択肢となりますが、AWS も Azure も多くの機能があり、それらを使うことによって短期間でやりたいことを実現できるため、両方の機能を提供できなければ、お客様に最大限の価値を与えられないと考えたのです。「AWS と Azure が競い合って良いサービスを作り、その中からお客様の要望に適した機能を選ぶことが重要で、それが我々の価値になると考えています。両方のクラウドを利用できることで、お客様からお声掛けいただけるというメリットも生まれていますね」と奥沢氏は話しています。

・メリットとデメリット
マーケティングなどのさまざまなサポートを受けられることもメリットですが、新しいサービスが次々と出てくることでデータの有効利用が広がっていくこともマイクロソフトのパートナーとなったメリットの 1 つだと奥沢氏は考えています。これまで想像もしていなかった使い方が生まれることで、大学の研究機関で細胞分析を行うなど、新たなチャンスも生まれてきているのです。一方、デメリットとしては、マイクロソフトには非常におもしろい製品が数多くあるが、パートナーとして関わっている製品以外に興味を持っても、契約の違いでその製品を試してみるまでに時間かかる場合があることがあげられました。「担当者が親身になって協力してくれますが、スムーズに利用できるようになればさらに大きなメリットが生まれると感じています」と話す奥沢氏に対して、佐藤は「いかにパートナー様のスピード感に合わせていくかは、グローバルでもディスカッションしており、できるだけシンプルにしようと動いています」と答えました。

・アドバイス
「社内のエンジニアがサーバーの管理やオンプレミスの運用で悩んでいるのであれば、クラウドへの熱意もあると思うので、早く技術を身につけてクラウド ビジネスが行えるようになると思います。我々は十数名しかいない会社ですが、メンバーが一丸となってやることで大きな価値を出しています。最初は少人数でもクラウドをやってみようというメンバーが集まれば、クラウド ビジネスをうまく進めていけるのではないでしょうか。」

 

マイクロソフトは熱意が高く、一緒にビジネスをやっていける
株式会社スカイアーチネットワークス
代表取締役
江戸 達博 氏

2001 年に設立されたスカイアーチネットワークスは、ゲーム サイトや EC サイトなどのクリティカルな Web サイトのサーバーの管理および運用を行い、マネージド ホスティングなどのサービスを行っている会社です。

・クラウド ビジネスに注目した理由
スカイアーチネットワークスを設立する以前は、サーバーの販売を行っていたという江戸氏は、粗利は良くても新たなお客様を次々と探さなければならないビジネスに限界を感じ、保守などのしっかりとした付加価値を付けることで毎月の売上を得られるビジネスに魅力を感じて、サーバー管理を行うビジネスを立ち上げ、マネージド ホスティングを始めたと説明します。しかし、リーマンショックなどの不況の影響で企業が IT インフラの縮小を考え始め、ホスティング サービスの解約などが出るようになってきました。そのような状況の中で、クラウドが登場し、クラウドをしっかりと使うことによってスピーディにサービスを提供できることに魅力を感じた、と江戸氏は話しています。

・パートナーとなった理由
「マイクロソフトや Azure といったブランドを、対外的にも社内的にも活用できると考えました」と江戸氏は説明します。Web サービスを運営するお客様が多い中で、Azure を利用することで、社内システムの部門などの他の部門を紹介してもらったり、問い合わせてもらうことが出てきていると言います。これまでは付き合いのなかった別の部門からも受注できるようになったことで、ビジネスを拡大できると考えたのです。また一方で「社内システムなどの案件を成功させるためには、営業体制やエンジニアの思考を変える必要がありました」と江戸氏は話します。これまで Web サービスに特化してきた社内メンバーのマインドを変えていくためにも、トップダウンで Azure を使っていくことをアピールすることは有効だと話し、「マイクロソフトと Azure というブランド力を活用することで、新しいサービスを作るチャンスが生まれます。そのチャンスをもらって、それに答えていくことで、会社を成長させることができると考えました」と説明しています。

・メリットとデメリット
「AWS が先行している中で、マイクロソフトはがんばって追いつこうという熱意があり、案件に悩んでいるとさまざまな提案を出してきて、受注に向けて一緒にやってくれるところに大きなメリットを感じています」と江戸氏は話します。また、サポートが安価で手厚く、技術的な相談にも答えてくれると続け、「他のクラウド サービスでは技術的な相談をしても資格を取ってほしいと言われるだけでした。目の前に問題があるのに、資格を取るような時間的余裕はありません」と説明します。一方で、デメリットについて聞くと「熱意があるぶん、営業がちょっとうるさいですね」と笑っていました。しかし、何度も繰り返し提案を受けることで社内メンバーがさまざまなことを考えるきっかけとなり、スタッフ教育にもなっていると前向きに考えているそうで、「以前とは異なり、マイクロソフトは一緒にやってくれるというイメージが強くなっていますね」と話してくれました。

・アドバイス
「クラウドになってからはスピード感が非常に上がってきているので、特化した専門性が重要になってきます。我々は多角的にやっていきたいと考えていますが、多角的にやると中途半端になってしまう可能性があるため、当分の間はサーバーに特化した形でビジネスしていくことになると思います。しかし、お客様が求めているのは幅広くクラウドを使って経営を向上させることなので、我々だけでは要望に応えることができません。専門性を持ったパートナーどうしで組んで、最終的に高い価値を出せるようなチームを作っていきたいと考えているので、多くの専門性の高いパートナーが増えてきてほしいですね。」

 

Microsoft Office 365 を扱うことで全国各地でビジネスを展開できるようになった
株式会社HDE
執行役員 事業開発室
汾陽 祥太 氏

1995 年から Linux のソフトウェア開発を始め、4 年前から Google Apps を使ったクラウド ビジネスを行ってきた HDE は、ここ数年の間に Office 365 に向けたサード パーティ製品をクラウドで提供するようになり、マイクロソフトとのパートナーシップを急速に強めている会社です。

・クラウド ビジネスに注目した理由
「現在は売上の半分以上がクラウド ビジネスです」と説明する汾陽氏は、時代の流れでクラウド ビジネスを行うようになったと説明します。リーマンショック以降は、これまでのソフトウェアが売れなくなり、サポートも解約されていましたが、東北大震災が発生したことで企業が BCP を考え始め、クラウドが登場してきたことが契機となったのです。「製品サポートが解約されるのを待つか、クラウドに移行するのかの判断を突きつけられたように感じていました」と汾陽氏が話すように、これらの流れから、HDE はクラウド ビジネスをおこなうようになったと言います。

・パートナーとなった理由
「3 年前まで、マイクロソフトの人の名刺を 1 枚も持っていませんでした」と笑う汾陽氏は、お客様の要望があったことと、2012 年に BPOS (Microsoft Business Productivity Online Services) から Office 365 に変わったときに、価格が大幅に下げられ、Google Apps に対抗できる製品となったことをパートナーとなった理由にあげます。特に、2013 年 2 月のバージョンアップ以降、進化のスピードが早くなったため、「今のうちに Office 365 をやっておかないといけないと感じました。今振り返れば、その時点で Office 365 のビジネスを始めて本当によかったと思っています」と汾陽氏は話しています。

・メリットとデメリット
AWS と Azure は似ているようで違うと奥沢氏が話したように、汾陽氏も「Google Apps と Office 365 も似ているようで違います」と話します。「マイクロソフトの強みは、日本でビジネスを 20 年以上行って、日本企業に向けた開発やサービス提供を考えていることです。その最たるものが、パートナー制度ではないでしょうか」と話し、現在 Office 365 の導入が非常に多く進んでいる大阪に新たにオフィスを開設したことを明かしてくれました。Google Apps だけやっていたら大阪にオフィスを開設することはなかったと説明します。また、パートナーどうしで協業できる体制ができていることで、小さな会社でも全国各地の案件にかかわることができることも HDE にとってのメリットとなっています。デメリットについては、「生半可な考え方や体制でパートナーになってしまうと太刀打ちできず、ビジネスが回っていかないと考えたほうがいいですね」と説明しています。セッション当日の朝までシンガポールに出張していたと話す汾陽氏は、出張中も電話、SNS、メールなどのさまざまな方法でマイクロソフトの担当者から相談や連絡が来ていたことを明かし、パートナーになるのであれば、何名かの担当者を置くなどの社内体制を整えて真剣にビジネスすることを勧め、それによってビジネスを大きくするメリットが非常に多く生まれることを強調しています。

・アドバイス
「クラウドを始めていないのであれば、小さくてもいいから始めてほしいですね。戦国時代の鉄砲、大手コンビニエンスストアが初めて導入した POS、iPhone、ビッグ データなど、その後はあたり前のように使われているものも、最初は懐疑的に捉えられていました。クラウドも同じだけのインパクトがあるもので、今後はあたり前のように使われていくものだと考えています。クラウドは、単発の売り上げは大きくありませんが、これらを回すことで大きなメリットが出てきます。マイクロソフトは、クラウドに対して本気で取り組んでいるので、ベスト パートナーだと考えており、マイクロソフトとともにクラウドと IT 業界を盛り上げていきたいと考えています。」

 

日本マイクロソフトは日本に向けたきめ細やかなサポートを行ってくれる
株式会社ネクストセット/株式会社サテライトオフィス
代表取締役社長
別所 貴英 氏

サテライトオフィスはもともと、Google Apps のアプリケーション開発やソリューションを提供していましたが、新たに Office 365 に対してもアクセス制御や業務ワークフローを実現するしくみやアドオンを滞京するために、ネクストセットという会社を 2013 年 4 月に設立しました。

・クラウド ビジネスに注目した理由
Web システム開発を行っていたサテライトオフィスでは、一括請負型の案件が多く、10 年くらい前から新たなビジネスを模索していたと言います。そこで、Google Apps が日本で本格的に展開されるようになり、Google Apps の販売を始めたサテライトオフィスでは、お客様のさまざまな要望に応える形で、アドオンやアプリケーションとともに Google Apps を販売することで売り上げを伸ばしてきました。「一括請負型の案件に比べて、クラウド ビジネスは案件ごとの売り上げは少ないですが、ストック ビジネスとして安定した収益を上げることができます。現在は、一括請負の開発とクラウドの両輪でビジネスを行っており、クラウド ビジネスの割合が増えてきていますね」と別所氏は説明します。

・パートナーとなった理由
Google Apps に付加価値を付けて販売していた中で、別所氏は「Office 365 は自分達のビジネスとは関係がないと思っていました」と話します。しかし、2013 年にマイクロソフトから声がかかり、自分たちでやってみたらどうなるかを調べてみたところ、これまで Google Apps でやってきたビジネスを Office 365 でも行えると考え、パートナーとなったと言います。「我々のような小さな会社に声をかけてくれるとは、思っていませんでした。マイクロソフトは手厚く接してくれて、心を溶かされましたね。実際に Office 365 のビジネスを始めると、Office 365 が非常に伸びており、流れが傾いてきていることを感じますね」と別所氏は話しています。

・メリットとデメリット
「我々は、営業力が強くなく知られていない、ネクストセットという会社を立ち上げたばかりでしたが、マイクロソフトから大きなサポートを受けることができました」と別所氏は話します。マイクロソフトからライセンス販売のパートナーを紹介してもらい、マイクロソフト社内やパートナーでネクストセットの認知度が上がるように製品説明の場を設けてくれたことが大きなメリットだと別所氏は感じています。「日本マイクロソフトは、米国のマイクロソフトの単なる日本支社ではなく、独立性が強く、きめ細やかに対応してくれますね。デメリットはそれほど感じてはおらず、技術的な問題もミーティングなどでさまざまなフォローをしてくれています。」

・アドバイス
「Office 365 のビジネスを始めて 2 年強になりますが、非常に順調に伸びて大成功だと感じています。我々のようなベンチャーは、たとえば新しいグループウェアを作ったり、クラウド サービスを始めることはできません。お客様が求めるクラウドへのニーズの 90 ~ 95% はマイクロソフトなどの企業が満たしてくれますが、どのようなサービスであっても完璧なものはないため、5 ~ 10% はニーズが残っています。この、クラウドの本流からこぼれてくるニーズをつかむことがベンチャーにとって重要なことだと考えています。新しいビジネスを始めるというエンド ユーザー視点からもクラウドは有効ですが、開発者視点や経営者視点でもコストをかけずに実験的なところから始められて、うまくいけばビジネスを拡大できるという利点があります。ぜひとも、マイクロソフトの協力の下、クラウドのビジネスを始めてほしいですね。」

パートナーとの連携もマイクロソフトの大きな資産
佐藤は、セッションを通じて以下のようなコメントを残しています。「今回のセッションでは、初めて聞く話もありましたが、マイクロソフトに対する期待が非常に大きいことを感じることができました。また、4 社ともクラウドの技術的進歩だけでなく、経営的な安定を求めていることも勉強になりました。マイクロソフトから日本マイクロソフトに社名を変えてから、当時の社長の樋口 (現会長) からトップダウンで日本のパートナー様やお客様に密着していこうという方針が決められました。パートナー様どうしのネットワークも、マイクロソフトの大きな試算となるものなので、今後も連携を深めていきたいと考えています。」

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