Azure ソフトウェア開発会社の皆様へのアドバイス: マイクロソフトとのパートナーシップから価値を引き出す方法【6/18 更新】


(この記事は 2015 年 4 月 29 日に Microsoft Partner Network Blog に掲載された記事 My Advice for Azure ISVs: How to drive value out of your Microsoft partnership の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)

Azure プラットフォームを基盤として開発を行っている独立系ソフトウェア ベンダー (ISV) の皆様の中には、マイクロソフトとのパートナーシップからメリットを得る方法について知りたいと思っている方がいらっしゃるかもしれません。25 種類ほどあるマイクロソフト パートナー ネットワーク (MPN) コンピテンシーの中から 1 つまたは複数を取得することができると言っても、それにはどのような意味があるのでしょうか。確かに、戦略的なパートナー特典や非常に有益なコンテンツも提供されますが、どう活用すれば商談を推進できるでしょうか。ロードマップを把握し、影響力や発言力を持つにはどうすればよいのでしょうか。「パートナーシップを思いがけない成功に導くようなマニュアルはありませんか」と聞かれたとしたら、答えはもちろん「ノー」です。そのようなマニュアルは存在しません。しかし、パートナーシップによって成功を実現することは十分可能です。ただしそのためには、クラウド関連の業界動向を把握し、マイクロソフトがパートナーをどのように捉えているかを認識し、スマートかつ全力で取り組む必要があります。

最初に申し上げたいのは、Azure ISV の皆様は一般的なパートナーである前に、まずマイクロソフトの顧客であるということです。マルチテナントのソリューションを採用し、ビジネス モデル (イノベーションを生み出すプラットフォーム) に対する売上原価として Azure を使用している純粋な ISV である場合、間違いなく重量課金モデルまたは Enterprise Agreement (EA) を通じて Azure を購入しているわけです。

わずか 6 年前、ISV を対象とした従来のパートナーシップ モデルは Influence Revenue Model (IRM、収益への影響モデル) でした。このモデルでは、収益に影響を及ぼした割合とプラットフォームへの依存度によってパートナーが評価されていました。残念ながら、IRM は真の意味では正しい評価ではありませんでした。結局のところ、取引を行っている企業 (LAR または VAR) が評価の対象となり、パートナーシップ モデルに ISV を評定可能な形で直接結びつけることはできていませんでした。

それから時を経ずして、状況は変わりました。現在、ISV は顧客であると同時にパートナーであると捉えられています。他のすべてのパートナーと同様に、マイクロソフトはパートナーのビジネスの成長に投資しています。パートナーがイノベーションを生み出すほど、その顧客はパートナーの知的財産 (IP) を購入し、パートナーは Azure を多用することになります。

ISV が顧客としてだけでなく、パートナーとしてもマイクロソフトから支援を受ける形こそ、完全に均衡が取れている状態です。それが実現されると、パートナーはさらに多くの顧客を獲得でき、売上増加につながります。結果的に、マイクロソフトはパートナーの成功からさらに Azure の収益を拡大できるのです。従来の IRM と似ているように聞こえますが、このコンセプトでは、パートナーが正しく評価されます。クラウドの世界での非常にシンプルな考え方ですが、パートナーとしてこれを実現するのはそれほど単純ではありません。

Nintex はこの格好の例です。従来、当社はプラットフォームとしての SharePoint を基盤に開発を行い、IRM のほかに、SharePoint の展開、EA の保持、EA の新規拡張などの基準によって評価されていました。現在最も急速に成長を遂げている製品ラインは、少ないコードとドラッグ アンド ドロップ操作でワークフロー、フォーム、モバイル対応ソリューションが作成できる Nintex for Office 365 です。この製品は初期に導入した Azure を基盤として開発されており、Office 365 に展開されます。当社は、マイクロソフトと良好なパートナーシップを築き、ビジネス成長を達成しています。これに伴い、Azure EA のサイズを 3 倍にすることになりました。今後も、Office 365 と Azure をベースとするソリューションの販売を継続していけば、このサイズは飛躍的に拡大すると予想されます。顧客の立場から言えば EA に多額のコストを費やしたいわけではありませんが、これは良いことだと感じています。当社のお客様が増加するほど、当社のパートナーやお客様による Office 365 テナントの使用時間や使用率も向上し、当社の収益が増加します。財務諸表によると、Azure EA の拡大は今後も持続することが見込まれます。

マルチテナントとして組み込まれている純粋な SaaS ISV にとって唯一問題となり得るのは、地理的な収益認識に関連するものです。言い方を変えれば、パートナー企業の Azure EA を管理するマイクロソフトの営業担当者は、パートナー企業が成長を遂げている場合には、そのパートナーに対して好感を持っているはずです。しかし一方で、パートナーが販売を行っている世界各地の他の営業担当者はパートナーのビジネスの成果を享受できません。顧客としての ISV という関係性を超えて、評価可能な収益認識方法を地理的に細かいレベルにまで対応させることは決して容易ではなく、実現までには多少時間がかかることでしょう。しかし、マイクロソフトなら成し遂げてくれるはずです。

これを踏まえたうえで、この新たな環境でマイクロソフトとはどのようにパートナーシップを構築していけばよいのか考えてみましょう。

皆様に次の 5 つのことをご提案したいと思います。

  1. 明確な目標を設定する。マイクロソフトとの関係に何を、どの優先順位で求めるかを明確にします。ISV、VAR、SI、LSP など、私がこれまでにお会いしたあらゆる種類のパートナーの中には、パートナーシップを構築するうえでマイクロソフトに何を求めるかを具体的に考えていない企業がありました。しかも大規模な企業ほど、従業員の認識が統一されていませんでした。そのため、何を求めるかを明確にしないまま、単純な考えの下にマイクロソフトと関わり合うことになります。結果的に、マイクロソフトの担当者はパートナーのお手伝いをしたくてもどうすればよいかわかりません。なぜこのような事態が起こるのでしょうか。それは、マイクロソフトに何を求めるかを本当に考えていないからです。それなのに、決まりごとのように見込み客の提供を求めていてはいけません。マイクロソフトのパートナーは、全世界に 50 万近く存在します。その中から、他のパートナーではなく、皆様に潜在顧客を提供する理由はあるでしょうか。また、マイクロソフトの担当者はどのように皆様をお手伝いできるのでしょうか。マイクロソフトとのパートナーシップについて明確な目標を 3 つから 5 つ設定し、その実現に取り組んでください。話をするべき担当者を特定し、進展のために何を実現できるのかを明らかにするのです。
  2. 思いやりのあるアプローチを心掛ける。すべてのパートナーシップには努力と相互への価値提供が必要であることを認識する必要があります。これまでにお会いした ISV パートナーの多くは、マイクロソフト製品の技術に投資していることを理由に、マイクロソフトに貸しがあると考えていました。その考え方は正しいかもしれませんが、そのような態度では有益なパートナーシップを構築することはできません。マイクロソフトの担当者に一部の要望を実現してもらうことは可能でしょうが、最終的には求めるものを得ることはできません。パートナーとして避けたい相手であるという認識が広まるのが落ちです。皆様にお勧めしたいのは、マイクロソフトの担当者が成功のために必要としているものを得られるようにお手伝いをすることです。そうすれば、自然とマイクロソフトの担当者もパートナーのお手伝いをし、推進役となり、パートナーのために貢献したいと考えるようになります。相手はかつてのマイクロソフトではありません。マイクロソフトの担当者はパートナーのことを心から考え、パートナーのビジネスの成功を願っています。
  3. 現実的な視点を持つ。クラウドにより、さまざまなことが容易になりましたが、それと同時に、非常に大規模な企業がビジネス上の連携やパートナーシップ モデルを発展させるためには多大な努力が必要になりました。ローマは一日にしてならずと言います。パートナーは、マイクロソフトのしくみを理解する必要があります。マイクロソフトは、本社 1 か所で単一のプログラムやモデルを通じてすべてを実現しているような一枚岩の企業ではありません。世界中で複雑に損益が発生している巨大企業です。レドモンドの本社には、製品の開発とマーケティングを行うグループ (最近の再編成により、製品グループとアウトバウンド マーケティング グループは分離されましたが、言いたいことはご理解いただけるかと思います)、顧客セグメント戦略グループ、WW パートナー グループ、ライセンス グループ、カスタマー サービス & サポート、その他多数のグループがあります。世界各国にある独自の事業体は、全社共通のスコアカードと収益目標に基づいてはいるものの、大部分は独立して運営されています。マイクロソフトは、米国、中国、残りの地域に分けて捉える必要があります。戦略に影響を与えたいと考えるなら、企業レベルでつながり、レドモンドのどの担当者と話をするべきかを見極める必要があります。商談を推進するための支援を求めているなら、さらなる参入を希望する国々のどの担当者と話をするべきか特定する必要があります。これは実際には非常に難しく、多大な努力が必要となります。しかし、適切な方法で、適切な価値提案をマイクロソフトの戦略的な優先課題と一致させれば、パートナー側にも利益が生まれます。方法が適切でない場合や、価値提案がマイクロソフトのスコアカードと関連のないものだった場合は、多大な時間と費用を無駄にすることになります。
  4. 的確に働きかける。マイクロソフトの担当者と会った際には、その担当者が何によって評価されるのかを見極めましょう。マイクロソフトのすべての評価は、さまざまな優先課題のスコアカードに基づいて行われます。あるときの担当者は Azure の収益と利用を優先課題としており、別の担当者は Office 365 を優先課題としている可能性があります。前者は Azure の観点から提案を行ってくれますが、後者からはメリットを得られず混乱するかもしれません。担当者の優先課題を理解しなければ、実質的な価値を得ることは到底不可能でしょう。
  5. 継続的に投資する。パートナーシップには多大な努力が必要です。これはマイクロソフトだけでなく、あらゆる企業とのパートナーシップに言えることです。マイクロソフトと新規パートナーシップを締結した企業の多くは、プログラム (MPN) に参加し、特典をダウンロードすれば、マイクロソフトが多数の見込み客を紹介してくるものだと考えているようです。これは、マイクロソフトから見て誤りであるだけでなく、一般的に見ても間違った非現実的な話です。マイクロソフトのような大手ベンダーから実質的な価値を得るためには、交渉の材料が必要です。そのために継続的な投資を行う必要があります。マイクロソフトとそのしくみに精通した人物が社内にいればもちろん役に立ちますが、私の知っている中にも、マイクロソフトと長年にわたって協力し、場合によっては内部の人間よりもしくみを理解しており、投資して価値を引き出すことのできる分野を熟知したパートナーは多数います。

個人的に、マイクロソフトはパートナーシップを締結するうえで最高の企業であると考えています。パートナーシップはマイクロソフトの DNA の中核を成すものです。従来のビジネスだけでなく、クラウド ビジネスでも収益の大半を生み出す手段であると共に、将来の成功を引き続き約束するものです。私の経験から言って、Amazon や Google がマイクロソフトと同じ水準に達するまでには、まだ長い時間がかかるでしょう。マイクロソフトも完璧ではありませんが、チャネルと共に成功を収める態勢が整っていると感じます。

Nintex ではマイクロソフトとのパートナーシップに多大な投資を行い、利益を生み出しています。これまで同様、これからも大いに努力する必要がありますが、継続的に取り組んでいく予定です。皆様も、マイクロソフトとの成功を定義する独自の公式を見つけ出し、効率的かつ継続的に投資することをお勧めします。

クラウドにおけるパートナーシップの詳細については、先日行われた Channel 9 のインタビュー (http://bit.ly/1OopIob (英語)) をご覧ください。

Nintex の詳細については、http://nintex.com (英語) をご覧ください。

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