クラウドがビジネスの価値評価にもたらす影響 【4/30更新】


(この記事は 2015 年 3 月 26 日に Microsoft Partner Network Blog に掲載された記事 The impact of cloud on the valuation of your business の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)

マイクロソフトではパートナー様と共に多くの時間を過ごしてきましたが、戦略や収益性を最大化する最善の方法について議論をすると、よくビジネスの価値評価や売却時の対応の話になりました。引退間近であれ、経験豊富な起業家であれ、起業したばかりであれ、企業価値を決める要素とは何か、また、いざという時のためにどのような準備をしておくべきかを理解しておくといいでしょう。

テクノロジ関連の著名ブランドに極めて高い評価額が付いたニュースを耳にしたことがあるかと思いますが、これは私たちのチャネルにとって何を意味しているのでしょう。また、どのように解釈すればよいのでしょうか。マイクロソフトでは Cloud SureStep, の一環として、カナダのベンチャー キャピタル Vanedge Capital と共にその意味を探りました。同社の見解は非常に興味深いものだったので、このブログで 3 回にわたって大まかなポイントを紹介したいと思います。

詳細を見ていく前に、まず評価倍率に注目する必要があります。売上高倍率による評価は、アーリー アダプターやアーリー マジョリティのカテゴリに入る企業よりも、投資家がマーケット クリエイターとみなす起業 (Facebook や Concur など) の取引を説明する際に使用されるのが一般的です。こうした場合、売上高倍率はブランディング、製品開発、マーケティングおよび営業に対する大規模な初期投資によりてこ入れされることが多く、営業利益率は低くなります。一方、このような先駆的企業以外で広く採用されている指標が EBITDA (Earnings Before Interest, Taxes, and Depreciation) です。企業の健全性および収益性に対し、より明確な見通しを得られます。多くのパートナー エコシステムにとってさらに関連性の高い、一般的な指標です。

私たちの調査結果や、アナリストや投資家のコミュニティの情報からすると、クラウドに重点を置いたチャネルの EBTIDA 倍率は 5 ~ 8 倍です。SaaS、PaaS、IaaS の時代が到来する以前は 1.5 ~ 3 倍でした。ここで重要なポイントは、クラウドを推進し、時代の先を見据えている企業が報酬を得ているということです。クラウドは利幅のみならず倍率も高めます。こういった数字は評価の第一歩に過ぎず、ビジネスの構造、バランス シートの健全性、その他の重要な指標の数値に応じて変化します。

これを念頭において、Vanedge はクラウドベース企業の買収または投資において重要な検討事項を 10 項目にまとめました。とはいえ、あくまでも多くの取引で最も頻繁に検討されている項目であり、必ずしもこれがすべてではありません。これらの 10 項目は評価倍率を引き上げる要素と引き下げる要素の 2 つに分けられます。

今回は、可変要素である増収と粗利益の 2 つに注目します。クラウドは年金モデルで収益が積み上がっていくため、増収は完全に別の方程式で表されます。かつて市場では 20 ~ 25% の成長が堅調とされていましたが、新時代の投資家が「好調」とみなす基準は 50% 超となっており、かなりの数のパートナー様がこの数値を達成しています。

その推進力は経常収益モデルです。Office 365 がマイクロソフト史上最速の成長事業になった理由はこれにあります。マイクロソフトにとってこれは製品収益に属するものですが、大きな成功を収めているチャネルのメンバーはこのような成長を遂げており、付帯的に提供するマネージド サービスとパッケージド IP がその推進力となっています。

パートナー様と将来的な戦略について話すとき、私はよく次のような質問をします。

  • Microsoft Online Services の外部に独自の年間収益源を構築することについてどう思いますか。
  • 委任管理サポート、インフラストラクチャ ヘルプデスク、事前対応型の IT システム管理、SharePoint テンプレート、垂直市場向け CRM Online/ワークフロー IP などを提供していますか。
  • カスタム ソリューションに類するものを構築した過去のプロジェクトから、他の顧客にも価値を提供することはできますか。また、パッケージ化し、年間サービスとして再販売することは可能ですか。私はこれを「資金調達済みの研究開発」と呼んでいます。ある顧客が対価を支払ったプロジェクト サービスを、他の顧客が年間サービスとして利用するのです。

こうした収益の流れを開発する方法を理解すれば、急成長を達成することができます。収益の大半がサブスクリプション モデルに移るにつれて雪だるま効果が現れます。たとえば、収益の半分が前述のサブスクリプション サービスから来るものとします。乗り換えを効果的に管理できれば、極めて高い成長率を簡単に試算できます。$1 の収益は帳簿上では $0.50 の収益となります。

ただし、この収益がどこから生まれるかに注目することも欠かせません。それは、収益源によって違いがあるからです。4 つの主要ライン (製品、プロジェクト サービス、マネージド サービス、パッケージド IP) の粗利益はそれぞれ水準が異なるため、製品の再販売の枠に留まらないよう考えることが重要となります。バリュー チェーンの上流では、パートナーが提供するプロジェクトの種類、基盤となる製品、コンサルティングの成熟度に応じてプロジェクト サービスはさらに大きなリターンをもたらします。興味深いのはマネージド サービスとパッケージド IP です。成熟した IT 製品を保有する多くのパートナー様が再販業者の 2 倍の粗利益を、製品化された強力な IP を保有するパートナーは 3 倍の粗利益を実現しています。

ビジネスの現在の成長率、利益率が高い収益源からの収益の割合という 2 つの指標によって、会社の短期的な潜在能力と長期的な収益性を見定めることができます。

では、これをどのようにアプローチに生かせばよいのでしょう。付加価値を付けたサービスや IP で独自のサブスクリプション収益を得ている場合は、これらの収入源が総収入のうちどれほどの割合を占めているか、また、どのような収益拡大計画を用意しているのかについて確認してみてください。

先に述べたように、これは全 3 回の記事の 1 回目です。来週は専門化と傑出することの重要性について取り上げます。このトピックに関するさらに詳しい情報については、Cloud SureStep にある「株主の利益を向上させる」をご覧ください。

いつものお願いではありますが、皆様のご意見、ご感想をお待ちしています。

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