Office での LaTeX の数式入力


(この記事は 2017 7 30 日に Murray Sargent: Math in Office に投稿された記事 LaTeX Math in Office の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)

Word の数式入力モードを UnicodeMath (英語) から LaTeX (英語) に切り替えられるようになりました。以前からご要望の多かったこの機能は、未完成な部分が残っていたため、今まで大々的に告知していませんでした。原型となる変換ルーチンが作られたのは 2007 年秋のことです。当時は PowerPoint で物理のプレゼンテーションを準備する際、スライドに Wikipedia ページの数式をコピーするのに重宝していたものの、他のさまざまなプロジェクトが同時進行していたこともあり、この機能を製品としてリリースするためのテストが遅れてしまいました。ついに 8 月より、LaTeX の数式を Office 365 で使用できるようになります。「Word の UnicodeMath と LaTeX を使用した行形式の数式 (英語)」の記事で紹介されているとおり、Word の新しい [Math] リボンには、すぐわかるように [LaTeX] オプションが表示されます。以下は、Word の [Math] リボンの左端の画像です。この例では、現在の入力形式として [LaTeX] が選択されています。

Word の LaTeX モードでは、数式の自動変換 (英語) は現在改良中のため無効となっています。今回、Word には 2 つの新しいホット キーが追加されました。1 つ目は数式エリアの組み立て (Ctrl + =) で、2 つ目は分解 (Shift + Ctrl + =) です。数式エリアを挿入または削除するホット キー (Alt + =) も使用できます。

PowerPoint と OneNote で LaTeX を使用する

現時点で、OneNote と PowerPoint で LaTeX を有効化する方法は少々わかりにくく、入力モードを変更するには数式オートコレクトで新しい制御文字を定義しておく必要があります。Alt + = を押して数式エリアを挿入し、[Math] リボンの [Tools] セクションの右下をクリックすると、[Equation Options] ダイアログが表示されます。[Math Autocorrect] をクリックして、[Replace] テキスト ボックスに「\TeX」と入力し、[With] テキスト ボックスに「24C9」と入力してから Alt + X を押すと「Ⓣ」を入力できます。それ以降は、数式エリアに「\TeX<スペース>」と入力すると、OneNote や PowerPoint の入力形式を UnicodeMath から LaTeX に切り替えることができます。必要に応じて、入力モードを UnicodeMath (行形式、英語) に戻す制御文字も定義できます。[Replace] テキスト ボックスに「\LF」と入力し、[With] テキスト ボックスに「24C1」と入力してから Alt + X を押すと「Ⓛ」を入力できます。PowerPoint と OneNote では、数式の自動変換は既定で有効であるため、すぐにお試しいただけます。

数式オートコレクト

\integral という数式オートコレクトの制御文字を使用すると、数式のモードが固定されます。

この数式は、以下の UnicodeMath テキストを出力したものです。

1/2π ∫_0^2π▒θ/(a+b sin θ)=1/√(a^2-b^2)

LaTeX 入力が有効になっていると、このテキストは適切に出力されません。PowerPoint と OneNote の場合、LaTeX の表記を使用して独自の数式オートコレクトの制御文字を定義することで、LaTeX が有効な場合にも適切に出力することができます。LaTeX では、上記の数式は以下のように表記します。

\frac{1}{2\pi}\int_{0}^{2\pi}\frac{d\theta}{a+b\sin{\theta}}=\frac{1}{\sqrt{a^2-b^2}}

制御文字によって ASCII 範囲外の Unicode 文字を含むテキストが挿入される場合、UnicodeMath モードに自動的に切り替わるときに問題が生じる可能性があります。しかし、XeTeX やその他の Unicode 対応の TeX 言語に切り替えれば、この単純なヒューリスティックは適用されません。実際に、Unicode TeX は Office 数式アプリで適切に表すことができます。たとえば、以下のように表記します。

\frac1{2π}∫_0^{2π}\frac{dθ}{a+b\sin{θ}}=\frac1{√{a^2-b^2}}

これは、上記の純粋な ASCII の表記よりも読みやすくなります。Unicode 文字の多くは、[Math] リボンのギャラリーから挿入できます。

制御文字

LaTeX オプションでは、UnicodeMath 仕様 (英語) の付録 B に掲載されている数学演算子、ギリシャ文字、その他の記号などの TeX 制御文字がすべてサポートされています。\begin{equation} や \begin{matrix} といった冗長な LaTeX の表記は対象外となりますが、代わりに \matrix{...} や \pmatrix{...} といった簡潔な TeX の表記がサポートされています。分数は、LaTeX 形式の \frac{...}{...} でも TeX 形式の {…\over...} でも入力できます。\displaymath は、数式エリア内で改行を構成する場合に使用するもので、現時点ではインラインの数式エリアでは適用されません。Unicode の数学用英数字 (英語) は、\mathbf{} などの制御文字を使用して入力できます。UnicodeMath では、[ホーム] リボンの [太字] および [斜体] ボタンを使用して、数式の太字や斜体を切り替える (英語) ことができます。\scriptX、\doubleX、\frakturX を使用すると、それぞれ筆記体、黒板文字 (重ね打ち体)、フラクトゥール文字を入力できます。たとえば、\scriptS でも \mathcal{S} でも結果は同じです。「Word の UnicodeMath と LaTeX を使用した行形式の数式 (英語)」にて、サポートされている制御文字の一覧を確認できます。

今後も、さらに機能が強化される予定です。たとえば、ASCII LaTeX よりもはるかに解読しやすい Unicode LaTeX の分解オプションの追加などが検討されています。また、Word で数式の自動変換オプションが実現すれば、わざわざ制御文字を解読しなくても、入力内容を簡単に確認できるようになります。今回実現した機能を、LaTeX を使い慣れたユーザーの皆様にお役立ていただければ幸いです。

※ 本情報の内容 (添付文書、リンク先などを含む) は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。


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