学年、学校の垣根を越えた共同作業: 生徒が科学の先生に


(この記事は 2016 8 9 日に Office Blogs に投稿された記事 Cross-classroom collaboration—student scientists as teachers の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)

今回は、ワシントン州ベルビューにあるインターナショナル スクールで理科を担当し、Microsoft Innovative Educator Expert を務める Cheryl McClure 氏の寄稿記事をご紹介します。

今日の教育現場では共同作業が特に重視されており、授業では生徒どうしの意見交換や共同作業を促しています。私はテクノロジを活用し、他の学年や他校とも共同作業を行ってはどうかと考えました。私たちの学区で Office 365 を導入していることと、当校では年度の初めに学区から各生徒にノート PC が支給され、常にテクノロジを利用できる環境にあることで、こうした共同作業を非常に容易に行うことができました。他校とのコミュニケーションには Skype (英語) を使用し、OneNote Class Notebook でノートを取り、動画を作成し、プレゼンテーション ツールとして Sway や PowerPoint Mix を使用するほか、ファイル共有プラットフォームとして Docs.com を使用しました。

私が担当する中学の理科の授業で、生徒が化学の導入単元を他校の小学 1 年生に教えることになりました。「物質の状態」の授業を行うことになった 7 年生 (中学 2 年生) は、「分子が何なのかを 1 年生が理解できるのか」ということから考える必要がありました。

先方の学校は町の向こう側にあるため、最初に Skype 通話で互いに自己紹介を行いました。先方は 1 クラスのみでこちらは 3 クラスなので、1 年生とのセッションを 3 回設けることになりました。7 年生の生徒にとって、さまざまなトピックについて次々に質問をする 1 年生はかわいくてたまらないようでした。一方 1 年生は、物知りな中学生を尊敬のまなざしで見ていました。

OneNote Cross-classroom collaboration 1

生徒が科学の先生に

7 年生の生徒が固体、液体、気体の基本的な概念を学習するにあたって、私たちは Next Generation Science Standards (NGSS; 次世代科学基準、英語) が定める中学校および小学校の学年別の Disciplinary Core Ideas (DCI; 学問上の核となる観念) を利用して習熟度を測定しました。そして物質の状態についてよく理解するために、最初にウーブレック (コーンスターチを水に溶かしたもの) の実験を行い、アモルファス固体 (通常は液体状で圧力をかけると固体状になる物質) がどういうものかを体験しました。

次に、ドライアイス (CO2)、氷、水、熱を利用した実験により、わずかな時間で物質の三態のすべての状態変化を観察しました。最後に、生徒はオンラインの模擬実験を行い、物質のエネルギーや粒子的性質に関する基礎的な理解を深めました。

OneNote Cross-classroom collaboration 2

物質の状態の主な概念について話し合った後、生徒は学習目標の一覧を作成し、1 年生に固体、液体、気体について教えるためのストーリーやテーマを決めました。生徒の掲げた目標は、物質の三態の基本的な概念と、液体と固体を判別する方法について説明することです。1 年生の興味を引き付けて物質のそれぞれの状態を示し、状態によって粒子のエネルギー量が変化することを説明するのに最適な方法は何なのか、7 年生はブレーンストーミングを行いました。そして、科学的に正確でありつつ、1 年生にも理解できるようにわかりやすく説明する方法を考え出しました。

OneNote Cross-classroom collaboration 3

生徒は作業内容を理科の授業用の OneNote Class Notebook にまとめ、メモや実験結果のほか、授業を進めていくうえでのグループ内の役割分担の計画も記入しました。OneNote の共同作業スペースを利用すれば、作成したファイルを生徒どうしで共有するのも非常に簡単で、複数のコピーやなくしたプリントが教室内を飛び交うこともありません。

OneNote Cross-classroom collaboration 4

テクノロジを活用して科学の概念を習得

生徒による話し合いの結果、授業には以下の要素が必要だということで意見が一致しました。

  • 科学に関するコンテンツ
  • 年齢に適した魅力的な手法
  • 固体と液体の区別について、1 年生が自身の考えを確認するための例
  • まとめ

生徒は動画、Sway、PowerPoint Office Mix で授業を作成しました。また、最近 Docs.com の存在を知ったので、Word ドキュメント、Sway、Mix 用のこの新しいマイクロソフトの共有プラットフォームを利用してみることにしました。

OneNote Cross-classroom collaboration 5

Docs.com には、ポップアップで概要が表示されるという優れた機能があり、閲覧者はドキュメントを開く前に内容を簡単に確認できます。そのため、生徒は自分が作成した授業の "宣伝文句" として簡単な概要を記述する必要がありました。1 年生とその担任の先生が視聴する授業を決めるうえで、概要は重要な要素です。概要を記述したら、授業を Docs.com にアップロードします。Docs.com では、プライバシー設定によってファイルを一般公開するか、組織内で共有するかを選択できるため、学校や学区で利用する場合にはたいへん便利です。

OneNote Cross-classroom collaboration 6

1 年生が理科の授業を視聴して学習した後、私たちは再び Skype 通話を行いました。1 年生はどの授業を最も気に入り、どの授業が今一つであったか感想を述べ、7 年生は物体が液体から固体へ、固体から液体へ変化する過程について、1 年生からの質問に答えました。この取り組みでは、石は単なる石だと 1 年生は理解しているため、あまり話を複雑にしないほうがよいということも学びました。成果はすばらしいものでした。7 年生は物質の状態について十分に習得し、1 年生は生徒が作成した授業とその多様性や創造性を気に入ってくれたのです。

学年、学校の垣根を越えた共同作業にコンテンツを利用

従来の理科の授業では、物質の特定の状態におけるエネルギー量などについて、最初に教材を利用してレクチャーします。次に、生徒は概念や用語をノートに取り、プリントの設問に回答します。これで生徒が理解したものとして、この単元の授業は終了します。このような授業形態が慣習となっているものの、これは身の周りの科学と触れ合い、学習、記憶するうえで最適な方法とは言えません。科学とは実践することで学習するものです。幼児が周囲の世界について学ぶときには、試行錯誤を繰り返し、自分が理解したことを他人にやって見せます。私たちも同じです。共同作業支援テクノロジを利用して、7 年生の生徒は先生となっただけでなく、創造性を発揮し、良き手本となって、共同作業を行いました。1 年生は、7 年生の生徒が能力を発揮するきっかけを作ったほか、生徒が作成した授業を視聴し、フィードバックを提供して、共同作業に協力しました。私たちは自ら物事を試したら、それを他人にやって見せたり説明したりすることで習得していきます。生徒はすばらしい先生なのです。さらにテクノロジというツールを手にしたとき、人に教えることの創造力は無限に広がります。1 年生は 7 年生が作成した授業を視聴し、感想を述べ、対話することを大いに楽しんでいました。テクノロジは強力な学習用ツールです。

OneNote Cross-classroom collaboration 7 and 8

私はデンバーで開催された MIEE U.S. Forum と Sammamish High School で開催された Redefining Learning Conference において、この他校のクラスとの共同作業の取り組みを発表しました。その内容については、こちらのページ (英語) の短い動画や Docs.com で公開している Sway (英語) をご覧ください。

筆者 (Cheryl McClure (英語)) について

OneNote Cross-classroom collaboration 9私は理科の教育、テクノロジ、サッカー、セーリングに情熱を注いでおり、ワシントン州ベルビューにあるインターナショナル スクールで 6 年生の生命科学、7 年生の地球科学、高校の生物学を担当しています。生徒の発見と理解の瞬間である "アハ体験" をテクノロジの活用によって促進することを目指し、Microsoft Innovative Educator Expert (MIEE) や Partnership for Ambitious Science Teacher Leaders (PASTL) といった取り組みに参加しています。

(画像は生物学の生徒による作品です。)

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