新しい Word の閲覧モード


8 月 7 日 Posted by Word チーム

 

今日は、Word 最新版の閲覧機能を担当した 4 人のプログラム マネージャーによる記事をお届けします。執筆者は、閲覧モード全体の責任者 Michelle Lisse、まったく新しいオブジェクト ズーム機能の責任者 Alyshia Olsen、ナビゲーション ウィンドウ改良作業の責任者 Peter Frem、そして、閲覧の再開機能の責任者 Amir Mehrabian です。

Word はコンテンツ オーサリングの分野で常に圧倒的な強さを発揮してきましたが、文書に関する作業は作成だけではありません。レビューやコラボレーションでも重要です。従来、文書を受け取って読むという作業は紙ベースで行われるのが普通でした。しかし最近は、デジタルデバイスが世界の至るところに普及するにつれ、プリンターに出力されることなく使われる文書が増えています。もちろん Word にも、閲覧に特化したツールがずっと前から備わっていますが、今回のリリースでは、作成済みの文書を利用する側の使い勝手をいっそう向上することに取り組みました。
新しい閲覧環境の実現に取りかかるにあたって、私たちは大まかな方針を以下のように設定しました。

  • 紙で閲覧する昔ながらの方法のよさを取り入れる
  • 使い勝手を向上させるテクノロジーを採用する
  • 設定した重点シナリオの方向性を厳守する

では、この方針を念頭に置きつつ、私たちの成果を見ていきましょう。

 

デジタル世界に適応した新しいレイアウト

最初に取り組む必要があったのはレイアウトの問題でした。デジタル デバイスで文書を読むとは、どういうことだろう? 紙を使った昔ながらの読み方と何が違うのだろう? 閲覧機能担当のメンバーになった私たちが、必然的に最初に実行したのは、紙の書物と向き合って研究するということでした。
新しい「列のレイアウト」の実現にあたっては、2 つの重要な考え方が直接的な基礎となりました。その 1 つは、ページ形式の表示です。情報を読み取って記憶するときは、ページ形式にレイアウトしたテキストのほうが頭に入りやすく、長い 1 つの列が連続したレイアウトよりも適していることがわかったのです。自然なページ境界は、コンテンツを小さな塊に区切る一息の空白となり、後で記憶を呼び起こすときの助けになります。

もう 1 つは、行の長さです。行があまりにも長いと、ユーザーは行末に行き着く前に別のことを考えてしまったり、どこまで読んだかわからなくなったりします。また、短すぎると行区切りそのものが集中力の妨げになります。ではどれくらいがよいかというと、実は、使用するフォントが決まれば、自然な落としどころというべき最適な行の長さがある程度決まるのです。
閲覧モードでは、そういう「自然な行の長さ」の知識と、実際の画面やユーザーの好みに合わせてカスタマイズされるフレキシブルレイアウトとを組み合わせ、適切な幅に区切ってレイアウトし直した列を水平方向に並べて表示します。各列の行は、使用するフォントとウィンドウ サイズにもっとも適した長さとなります。
以下が、その表示の例です。

このレイアウトでコンテンツ内のナビゲーション操作を行うには、ウィンドウの左右にある大きなボタンを使用するか、マウス ホイール、矢印キー、またはタッチスクリーンのスワイプを使用します。また、ウィンドウの下部にあるスクロールバーでは、文書内の現在位置を正確に知ることや、いろいろな位置へ簡単にジャンプすることができます。

 

カスタマイズ

着やすい服のサイズが人と使い道によって違うように、使いやすい設定も状況によって違います。そこで、個々のデバイスごとに異なるカスタマイズができるようにしました。
まず、テキストの拡大/縮小については、単にズームの倍率に応じて大きさが変わるだけでなく、ズームレベルとフレキシブル レイアウトが連動します。テキストを大きくしたらスクロールしないと行頭や行末が見えなくなってしまうようでは、閲覧環境として使いやすいとはいえません。そこで、閲覧モードでは、テキストのサイズを変更するとコンテンツが自動調整されるようにしました。ステータスバーのスライダーをドラッグして文字のサイズを変更するだけで、見やすいようにテキストのレイアウトも変化します。

次に、行の長さです。先ほど、読むのに最適な行の長さは決まっていると書きましたが、やはり多少は個人差というものがあります。そこで、[ビュー] メニューの [列幅] で列を少し広く、または狭くできるようにしました。列幅を指定しても、ウィンドウとテキスト サイズを基準にしてコンテンツのレイアウトが調整される点は変わりません。ただし、表示される列の数は変化することがあります。

 

画像はどうなる?

お気づきのように、ここまで説明してきたのはテキストのカスタマイズに関することばかりです。もちろん、文書はテキストの羅列ばかりではなく、画像や図表がたくさん含まれていることもよくあります。列のレイアウトでは、文書内にある図版の表示も列の幅に応じて調整されます。

図を列に合わせて表示する機能は、閲覧環境全体の使い勝手を向上するうえで非常に効果的である反面、複雑な図が見にくくなる場合もあります。そんなときは、よく見たいオブジェクトをダブルクリックまたはダブルタップして拡大できます。また、右クリックしてコンテキストメニューの [画面表示拡大] コマンドを使うこともできます。

ズーム表示すると、目的のオブジェクトだけが、文書作成者の意図した本来のサイズで表示されます。ここで拡大アイコンをクリックするとさらに拡大され、拡大アイコンをもう一度クリックすると本来のサイズに戻ります。

オブジェクト ズーム表示の間は、オブジェクトをフル サイズで見ながら、テキストの選択、コピー、蛍光ペンを使用できます。必要な操作を実行し終えたら、周囲の表示が薄くなった部分をクリックするか Esc キーを押すと、文書の閲覧に戻ります。

 

ページ表示色のカスタマイズ

閲覧モードに追加されたもう 1 つの機能は、ページ表示色のカスタマイズです。文書を長時間読んでいると、明るい白の背景に黒い文字では目に大きな負担がかかる場合があります。読む作業を快適にするという目標を掲げた私たちは、この問題にも取り組まなくてはなりません。そこで、目の負担をやわらげる「ページの色」モードを 2 つ用意しました。1 つは、長編小説の本を参考にしたセピア色のモードです。ご存じの方もいるでしょうが、書籍のページに使われる用紙は、まぶしさを抑えた色になっていることが多いのです。ささいなことのようでも、何百ページも文章を読んでいると、この小さな工夫によって大きな効果が現れます。

もう 1 つのモードは、暗いところで使いやすい反転表示です。深夜の長距離フライトの間にちょっと仕事を片付けたい場合などは、表示を白黒反転すると、自分の目にも周囲の人にも優しく作業をこなすことができます。

また、ページの色モードの設定はデバイスごとに保持されます。たとえば、デスクトップは作業文書をじっくり読むための設定で使用し、タブレットは機内でさらっと目を通す設定にしておくなどの使い分けができます。

 

用紙レイアウト

列のレイアウトは、もちろん、必ずしもすべてのユーザーや文書に適してはいません。文書を元のレイアウトのまま閲覧することが必要な場合も確かにあります。そういうときは、閲覧モードを [用紙レイアウト] に切り替えると、いつもの文書を本来のレイアウトで閲覧できます。切り替えるには、[ビュー] タブの [レイアウト] から [用紙レイアウト] を選択してください。

 

閲覧に特化したツール

閲覧環境について考える要素は、レイアウト以外にもいろいろあります。たとえば、文書を書くときと読むときでは、必要となるツール セットの内容が大きく異なります。そこで私たちは、既存のツールのうち閲覧環境に必要なのはどれか、閲覧環境のために新しく作らなくてはならない機能は何かを根本から再検討しました。

 

閲覧位置インジケーター

 

 

 

 

 

ナビゲーションは、読む作業において非常に重要な位置を占める機能です。文書内のどこを現在読んでいるのかを把握するにも、読みたい箇所の見出しに移動するにもナビゲーション機能は重要です。今回のリリースでは、閲覧モードに限らず、必要なときいつでもナビゲーションウィンドウを使用できるようにしました。ナビゲーション ウィンドウには、[ビュー] ドロップダウンから、またはステータス バーのページ/画面番号からアクセスできます。

ナビゲーション ウィンドウには、従来のバージョンにはない閲覧位置インジケーターがあります。現在の位置を示す強調表示が文書を読み進むに従って移動し、閲覧中のページや見出しが正確に示されるので、いまどこを読んでいるのかを把握しやすく、迷子になる心配がありません。この機能は、閲覧モードだけでなく Word のすべてのモードで有効です。今すぐ実際に Word を起動して確かめてみてください。その間、説明はちょっと一休みしましょう。ではまた後ほど…。

…おかえりなさい。このように、いったん中断した後で同じところから続きを読み始めるというのも、閲覧時に非常によくある重要な行動の 1 つです。

 

閲覧の再開

文書を読む作業は、最初から最後まで一気に行われるとは限りません。閲覧の使い勝手をよくするには、中断してしばらく時間が経ってから続きを読む場合のことを考慮する必要があります。また、閲覧作業がずっと 1 つのデバイスで行われるとも限りません。そのときの都合に応じて、Windows Phone デバイス、Windows タブレット、従来のデスクトップまたはノートブックコンピューターなど、いろいろな種類のデバイスが使われる可能性があります。

私たちは、人が分厚い本や文書を読むときにどういう行動をとるのが一般的かを研究し、それをデジタルの世界で再現する方法を考えました。とはいえ難しい話ではなく、要するに「しおり」のことです。

紙のしおりを挟む行動をデジタル文書に対して行うということの意味を問い直し、それを踏まえて開発したのが、閲覧の再開機能です。この機能には、手元のコンピューター上にある文書だけでなく SkyDrive にある文書についても、どこまで読んだかを記憶させることができます。その場合、どういう環境で閲覧が行われたかは関係ありません。たとえば、デスクトップ PC で途中まで読んだ文書をノートブック PC で開いても、すぐに文書内の同じ位置から続きを閲覧できます。

 

 

 

使い方は紙のしおり以上に簡単で、単に文書を閉じるだけです。すべての処理は自動的に行われるので [保存] をクリックする必要すらありません。後で同じ文書を開いたときには吹き出しが表示され、この吹き出しをクリックまたはタップすると、前回閉じたときと同じ場所に戻ることができます。

 

その場で検索

中断した場所が記憶されるのは便利ですが、そもそも中断する必要がなくなればさらに便利な場合があります。何を読んでいたか忘れてしまうという問題は、たとえば、文書内によく知らない概念が現れた場合にも発生しがちです。
閲覧中の文書に知らない言葉が出てきたとき、いちいち紙の辞書をめくって調べるのでは 1990 年代とあまり代わり映えしません。新しい閲覧モードでは、言葉を右クリックして [定義] を選択するだけで、意味を説明する最新の情報と、発音や類義語まで知ることができます。


 
また、別の言語で書かれた言葉を調べる場合のために、右クリックメニューには [翻訳] コマンドも用意されています。単語 1 つでも長いフレーズでも、閲覧中の文書から目を離さずに手早く翻訳できます。
このようなツールは、文書内の位置を見失わずに小さな障壁を乗り越えていけるので便利ですが、いつも疑問を解決できるとは限りません。ときには、定義や訳語をもっと深く検討しないと意味が通じないこともあります。そういう場合には、[Bing で検索] コマンドを使えば Web で詳しい情報を調べることができます。

 

注釈

文書を読む作業は、テキストの行を目で追うばかりでなく、さまざまな情報を書き込む行為を伴うことがよくあります。古書店で学習参考書などを探した経験があれば、その意味がよくわかるでしょう。テキストにハイライトの線を引いたり、余白にメモを記入したり、単語を丸で囲んだりすることは、難しい本の内容を理解するための大きな助けとなります。

そのようなツールについて検討したところ、閲覧モードで複雑な文書を読む際にも役立つことがわかったので、機能として盛り込むことにしました。気になった箇所を選択して右クリックメニューを呼び出すと、強調表示ツールやコメント ツールが表示されます。また、新機能のコメント ヒントを使って余白に付箋を貼り付けることもできます。

 

おわりに

以上、新しい閲覧モードに備わっている注目の機能について説明しました。快適な閲覧環境を楽しんで使っていただければ、担当チームとして嬉しく思います。なお、読み取り専用ファイルや添付ファイルなど、直接編集できない文書は最初からこのモードで開くようになっています。もちろん、従来の編集モードを使いたい場合は [ビュー] ドロップダウンまたは Esc キーですぐに切り替えることができます。

ここでご紹介したすべての機能は、写真の顔ぶれとその他若干名から構成される、閲覧モード担当、オブジェクト ズーム担当、閲覧の再開担当、ナビゲーション ウィンドウ担当のチームによって開発されました。

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