2018 年は AI の年


[ブログ投稿日:2018年1月3日]

Posted by:マイクロソフト アジア プレジデント ラルフ ハウプター
(本ポストはハウプターのLinkedIn:https://www.linkedin.com/pulse/welcome-2018-year-ai-ralph-haupter/へ掲載されたものです)

過去の歴史からを振り返ると、真の意味での革新的な変化は、一つのテクノロジのブレークスルーによってではなく、複数の補完しあう要素が同時に発生することによって生じるものだと言えます。

英国で起こった産業革命は、蒸気動力の発明、製鉄能力の向上、工作機械の開発といった複数の要因の組み合わせにより、その勢いが加速しました。

同様に、1970 年代初頭に起きた“ PC 革命”は、マイクロプロセッサー、メモリーとストレージ、ソフトウェアのプログラミングといった多くの要素が同時並行で進化した結果と言えます。

2018 年を迎えるにあたり、私たちは新たな革命の始まりにいます。それは、世界中のあらゆる組織、あらゆる産業、そして、あらゆる公共サービスを変革する革命となるものです。

この革命とは、まさに人工知能 (AI)を指しています。私は、2018 年に AI が当たり前の存在となり、私たちの生活の多くの局面において真に重要な影響を与えていくようになると考えています。

AI :約70 年の準備期間
AI の概念は新しいものではありません。1950 年にアラン・チューリングが「機械は考えることができるのか」という有名な質問を投げかけた時にまで遡ることができます。「AI」という言葉が最初に使われたのはそれから 6 年後の 1956 年のことでした。
つまり、AI という単なる概念の登場から、それを推進させる要素が出揃うまで、およそ 70 年を要したのです。この推進要素とは、以下の 3 つのイノベーションです。

  • 第一の要素はビッグデータです。インターネットに接続されたデバイス、センサー、モノの爆発的増加により、生成されるデータの量が指数関数的に増大しています。デジタル時代が進む中で、データは「新しい石油」として、新たな価値の創造と長期的な競合優位性の源泉となっています。
  • 第二の要素は、クラウドコンピューティングの普及です。大規模な多国籍企業や政府機関のみが所有できたコンピューティングパワーが、現在では、アイディアとクレジットカードさえあれば誰でもアクセスできるようになりました。クラウドコンピューティングはテクノロジを民主化し、イノベーションを加速しています。
  • 第三の要素は、データに内在する複雑なパターンを識別できるソフトウェアアルゴリズムと機械学習のブレークスルーです。データは、機械学習という新たなエンジンを動かすための新たな燃料です。

今日、AI の発展を加速し、民主化しているのは、成熟化しつつあるこれらすべての強力な要素の組み合わせによるものです。

あらゆる場所で AI を
AI & Research Group の責任者であるハリー シャム (Harry Shum) は、AI が私たちの生活にもたらす影響を「見えない革命」と読んでいます。これは、オンラインのレコメンデーションエンジン、銀行や旅行代理店のチャットボット、ニュースフィードのパーソナライズ、クレジットカードの不正使用検知など、あらゆる場所で AI が使われるようになっています。過去のテクノロジ革命と比較し、AI は目に見えない形であらゆる分野に進展していくでしょう。

AI は既存の確立した製品やサービスにシームレスに埋め込まれ、その機能を強化します。例えば、グローバリズムが進むような今日のビジネスでは、突然海外へ出張し、多国籍かつ様々な言語の参加者に向けたプレゼンテーションが必要になるかもしれません。そんな場合でも、PowerPoint に組み込まれたAIテクノロジ Microsoft Presentation Translator を活用することで、日本語で作成したスライドを使っても、プレゼンテーション中にリアルタイムで 60 カ国語の字幕を表示できます。それぞれの言語向けにスライドを作り直したり、それぞれの言語でプレゼンテーションを行うことなく、言語の壁を簡単に克服できるようになりました。

ビジネスの世界では、ほとんどの企業において、研究開発、設計、物流、製造、サービス、お客様サービスという価値連鎖のどこかで AI が三菱ふそうトラック・バス株式会社 (MFTBC)活用されています。IDC は、2019 年までに世界のデジタルトランスフォーメーションの取り組みの 40 パーセントが AI により支援されるようになると予測しています (※1)。

AI の可能性は、スタートアップ企業やハイテク企業のためだけのものではありません。ビジョンと実現のコミットメントさえあればよいのです。85 年の歴史を持つ三菱ふそうトラック・バス株式会社 (MFTBC) では、わずか 2 年間でクラウドベースの AI 機能、IoT、そして、複合現実 (Mixed Reality) を活用し、「100%デジタルマニュファクチュアリングカンパニー」を実現するという目標を定めています。

同社の最近の取り組みの 1 つに、1 万人の従業員すべてが、必要とする情報により迅速に、直感的に、高い信頼性でアクセスできるようにしてくれる AI 支援のチャットボットがあります。これにより、従業員がイントラネットのナビゲーションや電話での問い合わせに費やしていた時間を大幅に削減できました。同社は、このチャットボットのテクノロジを顧客サービス、生産性向上、保守などの用途で全社的に展開する計画です。

MBFTC の担当者は 24 時間利用可能な AI チャットボットにより、いつどこにいても重要な業務データにアクセスできます

2018 年の AI
新しい年を迎えた今、私は以下の重要な 4 つの変化が今後1年間に起きると予測しています。

  1. AIの大規模採用:2018 年以降、AIの採用が急拡大し、MFTBC など、企業や組織が AI のイノベーションによる明確な利点を享受し始めるでしょう。IDC は、AI 関連ビジネスが 2020 年に460 億ドルを超えると予測しています (※2) 。より身近なところでは、アジア太平洋地域の AI 投資は年平均 73 パーセントで拡大し、2021 年までに 69 億ドルに達すると予測されています。
  2. ユビキタスな仮想アシスタント:一般向けとビジネス向けの両方のシナリオにおいて、チャットボット形態の広範な AI の採用が進んでいくことが予想されます。ガートナーは、2020 年までに企業の顧客の対話の 85 パーセントが人間の介在なしに行なわれるようになり、顧客サービスにおいて AI が重要テクノロジとなると予測しています (※3) 。
  3. データと意思決定の民主化:企業にとって、膨大な量のデータから意味がある洞察を抽出し、できるだけ多くの社員に提供することが非常に重要になります。社員、ビジネスアプリケーション、あらゆるデータの組み合わせを実現する上で、 AI は鍵となるテクノロジです。
  4. 信頼できる AI 基盤の構築:政府機関、そして、産業界において、AI の活用の統制に関する議論が高まっています。このような議論は電子商取引やクラウドの黎明期にも行なわれていました。AI が公正で、透明性が高く、信頼できる形で経済と社会に利益をもたらしていくためには、官民の率直な対話が不可欠です。

AI の未来はきわめて明るく、2018 年は、このエキサイティングなテクノロジが堅実な基盤を築く年になると私は考えています。

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(※1) IDC, IDC Reveals Worldwide Digital Transformation Predictions, 2017年11月
(※2) IDC, Worldwide Spending on Cognitive and Artificial Intelligence Systems Forecast to Reach $12.5 Billion This Year, According to New IDC Spending Guide, 2017年4月
(※3) https://www.forbes.com/sites/ciocentral/2011/09/27/customers-dont-want-to-talk-to-you-either/#ff504bc70dcd

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