「若者UP」から「東北UP」:若者就労支援の成果を東北へ



 皆さん、こんにちは。法務政策企画統括本部の伊藤です(このブログには初めての投稿です)。法務・政策企画統括本部には、社会の政策課題に沿った社会貢献事業も担当する社会貢献部も所属しています。社会貢献部が中心となって実施している支援施策として、コミュニティ IT スキル (UP)プログラムがあります。コミュニティ IT スキル プログラムは、IT を活用する機会があまりなかった方々を対象に、参加者のレベルや目的に合わせた IT 研修や、IT を通じた自立支援や就労支援などを行い、新しい可能性を広げるための支援を、NPO などと協力しながら実施するものです。プログラムの概要については、こちらのサイトに情報を掲載していますので、ご覧下さい。今回、11 月 25 日に弊社の品川本社オフィスで、本プログラムに関する「コミュニティ IT スキル(UP)プログラムセミナー」を開催しました。その内容について、この場を借りて少しご紹介します。


 本日(11 月 25 日)のセミナーは、二部構成で実施しました。第一部は、2009 年 12 月に発表し、2010 年 4 月より本格的に取り組みを開始した「若者UP」プロジェクト -- これは、日本マイクロソフトと「若者の職業的自立」を支援する政府の事業である「地域若者サポートステーション」を受託する NPO が連携し、就労に役立つ IT スキルの習得、またそれによる自信の醸成を通じ、無業の若者を就労に導くことを目的とする就労支援プロジェクトです -- の第三者評価の結果を発表するパート。そして、第二部は、その「若者 UP」で得られたノウハウとモデルを生かして、2012 年 1 月から開始する東北の就労支援プログラム「東北 UP」プロジェクトをアナウンスするパートです。

 若者 UP の第三者評価では、明治大学のインキュベーションセンターに拠点をもつ株式会社公共経営・社会戦略研究所(以下「公社研」)にお世話になりました。プロジェクト前・後のアンケートといった定量的調査、ステークホルダー等へのヒアリングによる定性的調査の他、プロジェクトの社会的アウトカムやインパクトを費用便益分析により評価する「社会的投資収益分析」(SROI 分析:Social Return on Investment Analysis)を評価手法として取り入れていただいています※1

 少しだけ第三者評価の内容に触れますと、定量的・定性的データの分析では、「妥当性」「効率性」「有効性」「自立発展性」「インパクト」という 5 つの指標が設定されています。データの中で特筆すべきと思う点は、受講者の若者の 8 割(80.8%)が、講習後に意欲が前向きとなったという変化を感じ、さらに、71.6% が働く自信の向上を感じたということです。これは、地域若者サポートステーションのスタッフ自身を IT 講習の講師として養成したことで、若者を伴走する身近な支援者として機能した副次的効果もあったものと考えられるところです。また、IT スキル講習を受講したサポートステーションの受講者の進路決定率が 45.5% と、目標値の 30.0% を大きく上回ったことは、就労という局面における IT の重要性を示すデータではないかと思います。

 そして、今回新しく取り入れられた SROI 分析によれば、若者が無業状態から就労へと歩を進めたことで、金銭的価値換算※2では初年度に約 63,984,000 円、5 年間累計では約 242,914,000 円もの社会的アウトカム創出※3が推計されています。これらは、プロジェクトが受講者のみならず「社会」にも及ぼす効果を示す数値であると理解されます。

 企業の社会貢献事業の成果分析は、明確な数値が得られず、なかなか難しいものです(これは、いわゆる「ソーシャル・ビジネス」に携わっておられる、NPO の方々も同様ではないかと思います)。今回、定量的・定性的調査に加え、SROI 分析という新しい手法によりポジティブな評価をいただいた「若者 UP」のモデル、つまり、支援者の IT キャパシティビルディング(基盤強化)のモデルを、同じセミナーで発表した「東北 UP」でも活用すれば、東北に IT スキル講習が出来る人材育成(地元にノウハウを残すこと)になり、さらに受講者となる被災者の働く意欲の変化や自信の向上(機会創出)につながるのではないかと期待し、またそれを目指して努力していきたいと思っています。そして、その成果を、再び SROI 分析を用いて、評価していただこうと思います。

 

※1 報告書概要版は、公社研のウェブサイトからダウンロードできます。http://www1a.biglobe.ne.jp/pmssi/upfile/MS_IT_up_outline20111125.pdf

※2 今回の公社研による成果分析は、就労達成による収入の増加の総和、及び受講者就労達成による政府側の納税の増加および社会保険料の拠出増加といった、明確に定量化・金額化が可能な社会的価値・便益によって行われています。

※3 もとより、この社会的アウトカムは、自己完結型の民間事業の成果と考えられるべきものではありません。「若者 UP」は「地域若者サポートステーション」という国の施策を前提として初めて実現できているものだからです。

 

「コミュニティ IT スキル(UP)プログラムセミナー」の模様(2011年11 月 25 日 弊社の品川本社オフィスにて)

 
セミナーに参加した米国本社役員 クルトワ   NPO法人 育て上げネット理事長の工藤様

 
弊社代表執行役 社長の樋口         セミナーには大勢の方々にご参加いただきました


セミナーを終えて。育て上げネットの工藤様と。

 

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