Azure ExpressRoute の更新 – 新規パートナー、監視機能、利用の簡素化

執筆者: Yousef Khalidi (CVP, Azure Networking)

このポストは、2018 年 1 月 29 日に投稿された Azure ExpressRoute updates – New partnerships, monitoring and simplification の翻訳です。

 

Azure ExpressRoute を使用すると、企業のお客様はマイクロソフトのクラウド サービスに直接プライベート接続できるようになり、従来のインターネット接続よりもネットワークの予測性が向上します。ExpressRoute では世界 42 か所でピアリングを提供しており、100 を越える接続プロバイダーが大規模なエコシステムをサポートしています。リーディング企業では、ミッション クリティカルなアプリケーションやサービスの管理と実行に欠かせない機能として、オンプレミス ネットワークから Azure への接続に ExpressRoute を採用しています。

Azure ExpressRoute エクスペリエンスの構築に Cisco が参入

Azure ExpressRoute エクスペリエンスの向上を続ける中で、ハイブリッド アーキテクチャによって内部ネットワーク内で発生するネットワークの問題を企業のお客様が理解できるというメリットがあることがわかりました。こうした内部ネットワークの問題は、クラウドで実行されるミッション クリティカルなワークロードに影響を与える可能性があります。

オンプレミスで発生する問題を解決するにはネットワークに関する高度な専門知識が通常必要になりますが、それを回避するために、Cisco と緊密な連携をとることで、お客様のネットワーク関連のエクスペリエンスを継続的に改善しています。Azure ExpressRoute をご利用のお客様がネットワーク関連の難しい問題に直面しても、両社の協力によってこれを解決することができます。

本日 Cisco は、マイクロソフトとのパートナーシップを拡大し、Cisco Solution Support for Azure ExpressRoute を提供する新たなネットワーク プラクティスを構築することを発表しました (英語)。マイクロソフトは Cisco をはじめとするさまざまなパートナーと協力して、高度なネットワーク エクスペリエンスを活用し、ネットワーク プラクティスの構築と拡張、また Azure への移行を促進するために全力で取り組んでいます。

Cisco Solution Support (英語) では、オンプレミスからネットワークにアクセスするお客様を対象に、Azure ExpressRoute 関連のサポートやガイドを集約したオプションを提供します。

新しい ExpressRoute 用監視オプション

ExpressRoute のネットワーク トラフィックの可視性を強化するために、Microsoft Ignite 2017 でプレビューを発表した ExpressRoute 用 Network Performance Monitor (NPM) の一般提供を、2 月中旬から 6 つのリージョンで開始します。NPM ではネットワーク トポロジをグラフィカルに表示できるほか、ExpressRoute 回線を継続的に監視し、可用性やレイテンシ、スループットなどの複数の主要なネットワーク メトリックに関するアラートを生成することができます。

ExpressRoute 用 NPM は Azure ポータルで簡単に構成することが可能で、接続の監視を即座に開始できます。

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マイクロソフトでは ExpressRoute 用 NPM の提供地域や機能を今後も引き続き拡張し、より優れた ExpressRoute の監視機能を提供できるよう取り組みを進めていきます。

1: Network Performance Monitor とエンドポイント監視機能で ExpressRoute の監視を簡素化

ExpressRoute のエンドポイント監視機能では、Azure Storage などの PaaS サービスだけでなく Office 365 などの SaaS でも、ExpressRoute での接続状況を監視できます。ユーザーは、あらゆる場所から PaaS サービスや SaaS サービスへの接続について、レイテンシやジッター、パケット損失、トポロジを継続的に計測し、アラートを生成することができます。ExpressRoute 用エンドポイント監視機能のプレビューは、2 月中旬から新たに開始されます。

ExpressRoute のピアリングを簡素化

ExpressRoute の管理と構成をさらに簡素化するために、パブリック ピアリングとマイクロソフトのピアリングを統合しました。これにより、マイクロソフトのピアリングで Azure Storage などの Azure PaaS サービスや Azure SQL、およびマイクロソフトの SaaS サービス (Dynamics 365 や Office 365 など) が提供されるようになりました。お客様の Azure Virtual Network へのアクセスは、引き続きプライベート ピアリングとなります。

2: マイクロソフトのピアリングおよびプライベート ピアリングでの ExpressRoute の使用

ExpressRoute で BGP を使用すると、内部ネットワークへのプレフィックスがマイクロソフトから提供されます。ルート フィルターを使用すると、ExpressRoute からアクセスする Office 365 または Dynamics 365 の特定のサービス (プレフィックス) を選択できます。また、リージョンごと (米国西部、北ヨーロッパ、東アジアなどの Azure リージョン) に Azure サービスを選択できます。この機能はこれまで ExpressRoute Premium でのみ提供されていましたが、2 月中旬より標準の ExpressRoute でもマイクロソフトのピアリングを構成できるようになります。

ExpressRoute の新しい提供地域

ExpressRoute は、必ず 2 台の物理ルーターを使用して、冗長性を持つ仮想接続のペアとして構成されます。このような高可用性接続となっているため、企業レベルの SLA が実現されています。ビジネス継続性と災害復旧 (BCDR) に関する要件に対応するためには、ExpressRoute の複数の地域からマイクロソフトに接続することをお勧めします。従来これを実現するには、2 つの異なる都市で ExpressRoute 回線を用意する必要がありましたが、既に ExpressRoute サイトが存在する都市の一部で、同じ都市内に 2 つ目の ExpressRoute サイトを開設することにしました。現時点では、シンガポールで 2 つ目のピアリング サイトが提供されています。今後もお客様のご要望を基に、ExpressRoute サイトが存在する都市で ExpressRoute サイトを追加していく予定です。追加するサイトは、今後数か月以内にお伝えします。