Azure で SAP (A)SCS インスタンスをクラスター共有ディスクの代わりに SOFSファイルサーバー と S2Dでクラスター化する機能の一般提供を開始


執筆者: GoranCondric

このポストは、2017 年 11 月 14 日に投稿された File Server with SOFS and S2D as an Alternative to Cluster Shared Disk for Clustering of an SAP (A)SCS Instance in Azure is Generally Available の翻訳です。

 

このたび、Azure クラウドで Windows Server フェールオーバー クラスター (WSFC) 上の SAP (A)SCS インスタンスのクラスター化を、ファイル サーバー(スケールアウト ファイル サーバー (SOFS) 記憶域スペース ダイレクト (S2D) など により実現する機能の一般提供を開始しました。これは、従来からのクラスター共有ディスク によるSAP (A)SCS インスタンスのクラスター化の代替手段となるものです。

Azure 上で SAP システムを運用している SAPユーザーの多くは、Windows Server フェールオーバー クラスターを使用して SAP システムを高可用性 (HA) システムとして構成しています。SAP システムにおける単一障害点 (SPOF) となるDBMS および SAP (A)SCS インスタンスをクラスター化しています。

SAP (A)SCS インスタンスのクラスター化のためには、クラスター共有ディスクを使用することが一般的です。

Windows フェールオーバー クラスターとクラスター共有ディスクの使用経験がある方なら、クラスター共有ディスクはハードウェア ベースのソリューションである場合が多いことをご存知かと思います。ハードウェア ベースだと、どの環境でも使用できるわけではありません。実際、 Azure でも使用することができませんでした。

マイクロソフトはこれまで自社製クラスター共有ディスク ソリューションを提供していませんでした。Azure上 で SAP を運用するお客様の多くは、HA 構成の SAP (A)SCS インスタンスを使用するために、クラスター共有ディスク用にサードパーティ製のソリューションを採用していました。

Azure 上で HA 構成 SAP システムを運用するお客様からのご要望として、最も多かったのは、マイクロソフト製のクラスター共有ディスク用ソリューションでした。

SAP 社は、SAP (A)SCS インスタンスのクラスター化のために、クラスター共有ディスクを使用せず、ファイル共有を使用する新しい HA アーキテクチャを開発しました。また、ファイル共有に対応した新しい SAP クラスター リソース DLL も開発しました。詳細についてはブログ記事「新しい SAP クラスター リソース DLL の提供を開始 (英語)」をご覧ください。

ファイル共有を使用した SAP (A)SCS インスタンスのクラスター化は、SAP Kernel 7.49 (およびそれ以降) を搭載した SAP NetWeaver 7.40 (およびそれ以降) でサポートされます。

クラスター共有ディスクを使用した従来の SAP HA アーキテクチャ

クラスター共有ディスクに SAP (A)SCS インスタンスをインストールする場合、SAP (A)SCSインスタンスに加え、 SAP グローバル ホストのフォルダー (SYS フォルダーなど) もインストールする必要があります。(A)SCS インスタンス(メッセージやエンキュー サーバー プロセスなど)の仮想クラスターのホスト ネットワーク名は、同時に SAP グローバル ホスト名としても使用されます。

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1: クラスター共有ディスクを使用した従来の SAP (A)SCS の HA アーキテクチャ

ファイル共有を使用した新しい SAP HA アーキテクチャ

新しい SAP (A)SCS HA アーキテクチャでの主な変更点は以下のとおりです。

  • SAP (A)SCS インスタンス (メッセージおよびエンキュー サーバー プロセス) が SAP グローバル ホストの SYS フォルダーから分離されます。
  • SAP セントラル サービスは SAP (A)SCS インスタンスで実行されます。
  • SAP (A)SCS インスタンスがクラスター化され、仮想ホスト名 <(A)SCSVirtualHostName> によりアクセス可能になります。
  • クラスター化された SAP (A)SCS<InstNr> インスタンスが SAP (A)SCS クラスターの両方のノードのローカル ディスクにインストールされ、共有ディスクが不要になります。
  • SAP グローバル ファイルが SMB ファイル共有に配置され、\\<SAPGLOBALHostName>\sapmnt\<SID>\SYS… というホスト名を使用してアクセス可能になります。
  • 仮想ホストとグローバル ホストで異なるネットワーク名が使用可能になります (<(A)SCSVirtualHostName><SAPGLOBALHostName>)。

2: SMB ファイル共有を使用した新しい SAP (A)SCS HA アーキテクチャ

ファイル サーバーをスタンドアロン Windows マシンにインストールすると、単一障害点が発生します。このため、ファイル共有サーバー自体の高可用性も、SAP システム全体の高可用性構成のために重要となります。

ファイル共有の高可用性を実現するには、以下のことが必要です。

  • Windows Server や VM の計画停止または計画外停止が、ファイル共有機能のダウンタイムの原因とならないこと
  • ファイルの保存用のディスクが単一障害点とならないこと

Windows Server 2016 の次の 2 つの機能により、上記要件を満たすことができます。

  • スケールアウト ファイル サーバー (SOFS)

 

  • 記憶域スペース ダイレクト (S2D)

マイクロソフトの高可用性ファイル共有ソリューションのスケールアウト ファイル サーバー

マイクロソフトは、高可用性ファイル共有ソリューションとしてスケールアウト ファイル サーバー (SOFS) を推奨します。SAP を使用する場合、SAPMNT ファイル共有が高可用性 SOFS ソリューションで保護できます。

3: SAP (A)SCS インスタンスと SOFS を 2 つのクラスターにデプロイ

名前が示すように、このソリューションは「スケールアウト」であり、ファイル共有へのアクセスが並列化されます。それぞれのクライアント (ここでは SAP アプリケーション サーバーと SAP (A)SCS インスタンス) はすべてのクラスターノード経由でアクセスします。Windows クラスターのもう 1 つの高可用性ファイル共有機能である通常のファイル共有では、1つのアクティブノード経由でのみファイル共有にアクセスします。ここが大きく変化した部分です。

高可用性クラスター共有ストレージ ソリューションの記憶域スペース ダイレクト (S2D)

SOFS では、クラスター共有ボリューム (CSV) などのクラスター共有ディスクにファイルを保存します。SOFS は、複数の共有ストレージ テクノロジをサポートしています。

SOFS を Azure で実行する場合、クラスター共有ディスクに関して以下の 2 つの条件が重要です。

  • Azure 環境で SOFS 用のクラスター共有ディスクがサポートされていること
  • クラスター共有ストレージが高い可用性と回復性を備えていること

Windows Server 2016 で導入された記憶域スペースダイレクト (S2D) 機能は、上記の条件を両方とも満たします。

S2D によりローカルディスクをストライピングし、複数のクラスターノードにまたがるストレージプールの作成が可能となります。このプール内にボリュームを作成し、共有ストレージとしてクラスターに認識させることができます。(クラスター共有ボリューム)

S2D ではディスクのコンテンツが同期的に複製されるため高い回復性があり、ディスクの一部が失われても共有ストレージ全体が使用できなくなることはありません。

4: SOFS ファイル共有で SAP グローバル ホスト ファイルを保護

S2D にはソフトウェア ベースの共有ストレージ ソリューションであるという特長があり、Azure クラウドでもオンプレミスの物理環境や仮想環境でも透過的に動作します。

エンドツーエンドのアーキテクチャ

ファイル共有を使用した高可用性構成の SAP NetWeaver のエンドツーエンド アーキテクチャの全体図は、以下の通りです。

5: SOFS ファイル共有を使用したエンドツーエンドの高可用性 SAP NetWeaver アーキテクチャ

マルチ SID のサポート

SAP (A)SCS マルチ SID では、1 つのクラスターに複数の SAP (A)SCS インスタンスをインストールし統合することができます。この統合により、Azure インフラストラクチャ全体のコスト削減が可能です。

SAP (A)SCS マルチ SID によるクラスター化では、ファイル共有もサポートされています。

同一 SOFS クラスターで 2 つ目のグローバル ホスト (SAP <SID2> グローバル ホスト) とのファイル共有を有効化する場合、既存のものと同一の SAP <SID1> <SAPGLOBALHost> のネットワーク名、および同一の Volume1 を使用します。

図 6: 2 つのクラスターを使用した SAP マルチ SID 構成

7: 同一の SAP グローバル ホスト名を使用したマルチ SID SOFS

このほか、新しい <SAPGLOBALHost2> のネットワーク名と新しい Volume2 を 2 つ目の <SID2> ファイル共有で使用することもできます。

8: 異なるホスト名 (<SAPGLOBALHost2>) を使用したマルチ SID SOFS

関連ドキュメント

さらに詳しい情報については、Microsoft SAP on Azure サイトで公開されている以下の新しいドキュメントやホワイトペーパーをご覧ください。

SAP が公開している新しいホワイト ペーパー「共有ディスクを使用せずにフェールオーバー クラスターに (A)SCS インスタンスをインストールする (英語)」もご覧ください。

SOFS および S2D の詳細については、以下のページを参照してください。

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