Azure Traffic Manager で Geo ルーティング機能の一般提供を開始

執筆者: Dilip Lukose (Principal Program Manager, Azure Networking)

このポストは、3 月 22 日に投稿された Announcing the General Availability of Geographic Routing capability in Azure Traffic Manager の翻訳です。

 

世界中にユーザー ベースがあり、ユーザーの所在地ごとにコンテンツをカスタマイズしたいと考えたことはありませんか? また、特定地域内のデータ アクセスの制限ポリシーに準拠しなければならなくなったことはありませんか?

このようなご要望にお応えするために、このたび Azure Traffic Manager で Geo ルーティング機能の一般提供を開始しました。この機能をすると、要求送信元の地理的な位置に基づいてユーザーのトラフィックを特定のエンドポイントにルーティングすることができ、世界中で利用される Azure を経由してさまざまな国や地域のユーザー ベースにサービスを提供できます。Geo ルーティングは、以下のような地理的なさまざまなケースに対応可能です。

  • たとえば、ネット ショッピング サイトのコンテンツや商品を特定地域のユーザー向けにローカライズするなど、特定地域向けにコンテンツをカスタマイズし、地域に根付いたユーザー エクスペリエンスやエンゲージメントを提供することができます。
  • ユーザーの所在地を把握し、データ主権に関する規制により簡単に準拠することができます。

Geo ルーティングを構成する

ユーザー地域を定義するには

まず、地理的な位置や地域に基づいてユーザー ベースを分割します。地域は以下のさまざまなレベルで指定できます。

  1. 世界 – すべての地域
  2. 地域グループ – アフリカ、中東、オーストラリア/太平洋など
  3. 国/地域 – アイルランド、ペルー、香港特別行政区など
  4. 州/地方 – 米国カリフォルニア州、オーストラリア クイーンズランド州、カナダ アルバータ州など (注: このレベルはオーストラリア、カナダ、英国、米国のみ指定可能)

サポート対象の地域および選択可能な地域レベルについては、Azure Traffic Manager の Geo ルーティングで使用可能な地域のリスト (英語) を参照してください。また、この情報は Azure Traffic Manager の REST API (英語) をプログラムで呼び出して取得できます。

以下の表は、ユーザーの所在地に基づいて特定の Azure リージョンにデプロイされたアプリケーションにトラフィックをルーティングする例を示したものです。

ユーザーの所在地 Azure リージョン/エンドポイント所在地
ヨーロッパ、アフリカ 北ヨーロッパ
オーストラリア、ニュージーランド オーストラリア東部
メキシコ、米国カリフォルニア州、米国オレゴン州、米国ワシントン州 米国西部
上記以外の全地域、および地域にマッピングされていない要求 米国中部

特定の Azure リージョンにデプロイされているアプリケーションへのユーザー所在地ごとのトラフィック ルーティング例

Traffic Manager で Geo ルーティングを使用したルーティング プロファイルを作成する

Azure ポータルから Traffic Manager のプロファイルに移動し、[Add] ボタンをクリックしてルーティング プロファイルを作成します。

Traffic Manager Profiles

Traffic Manager でプロファイルを追加

プロファイル名を入力し、[Routing method] で [Geographic] を指定し、使用する [Subscription] と [Resource group] を選択します。[OK] をクリックするとプロファイルが作成されます。

Create Traffic

Geographic ルーティング メソッドを追加

プロファイルが正常に作成されたら、そのプロファイルに移動します。詳細表示で [DNS name] や [Routing method] ([Geographic] を選択) が正しく指定されていることを確認します。

Sample geoprofile

DNS 名とルーティング メソッド

[Endpoints] ボタンをクリックしてから [Add] ボタンをクリックして、プロファイルにエンドポイントを追加します。

Endpoints

エンドポイントを追加

エンドポイントを追加するときに、そのエンドポイントの [Geo-mapping] を設定するように促されます。前述の例のように 4 つのエンドポイントをマッピングに追加します。

Add endpoints

エンドポイントを Geo ルーティングに関連付け

ニーズに合わせて Geo ルーティングが有効化された Azure Traffic Manager のプロファイルを作成できました。アプリケーションに接続する際に、このプロファイルに関連付けられた DNS 名を使用できます。Azure Traffic Manager は、DNS 名の解決中に、DNS クエリの発行元の情報からユーザーを適切なエンドポイントにルーティングします。

地域の決定の正確性に関する注意点として、Azure Traffic Manager は DNS クエリの送信元 IP アドレスに基づいて地域を参照しています。ほとんどの場合、これはユーザーに代わってこのクエリを処理する DNS リゾルバーの地域であり、クエリで渡されるクライアント サブネット情報は考慮されません。DNS リゾルバーの場所はユーザーの場所を示すものとして利用するには適していますが、必ずしも正確ではありません。また、地域にマッピングされた内部 IP アドレスの使用についても継続的に検証と更新を行っていますが、IP アドレス空間で使用可能なすべての値が正確にその地域を表しているという保証はありません。

ポータル以外に、Rest API や .NET SDK からもこの機能をプロビジョニングできます。PowerShell と CLI は、2017 年 4 月からサポートされる予定です。

提供状況

この機能は 2017 年 3 月 22 日よりすべての Azure パブリック クラウド リージョンでご利用いただけます。また、2017 年 5 月からは Azure Government、Azure Germany、Azure China でも提供を開始する予定です。

料金

料金は他のルーティング方法と同じです。詳細については、Azure Traffic Manager の料金ページを参照してください。

次のステップ

詳細やベスト プラクティスは、Azure Traffic Manager のルーティング方法 (英語) のドキュメントやよく寄せられる質問 (英語) のページを参照してください。ぜひこの機能をお試しいただき、ご意見をお寄せください。