Azure Monitor の一般提供開始を発表

執筆者: Ashwin Kamath (Principal Program Manager, Azure Monitor)

このポストは、3 月 31 日に投稿された Announcing the general availability of Azure Monitor の翻訳です。

 

このたびマイクロソフトは、Azure の組み込み型プラットフォーム監視サービス Azure Monitor の一般提供開始を発表しました。

Azure Monitor を使用すると、手動で機能を構成したりツールを追加で購入することなく Azure でワークロードを作成する際に必要な監視を行い、クラウドへの移行をシームレスに行うことができます。Azure Monitor ではプラットフォーム レベルやサービス レベルのメトリックやログを含む不可欠な監視テレメトリをすべて収集できるため、そのデータに対するアラートを構成してインテリジェントに対応することができます。また、お好みの高度な監視ソリューションとシームレスに統合して、テレメトリ データからより詳細なインサイトや分析結果を取得することもできます。さらに、REST API、Resource Manager テンプレート、PowerShell コマンドレット、Azure CLI から柔軟に監視機能を構成して使用することが可能です。

Azure Monitor はプレビュー版がリリースされて以来、お客様およびパートナー様による採用が増え続けています。この記事では、このサービスをご利用中のお客様とパートナー様からのフィードバックをご紹介します。

アラートと通知の組み込みのサポート

ニュージーランドに本拠地を置く大手コンサルティング企業 Theta Systems Ltd (英語) は、Azure を基盤としたソリューションを顧客に提供しています。同社の DevOps チームでは、Azure Monitor を使用して防御の最前線となる監視のすべてを行っています。

Theta Systems のプリンシパル統合アーキテクトである Wagner Silveira 氏は次のように述べています。「Theta Systems では、ある公益事業部門のお客様の運用環境に複数の Logic Apps を実装して、年中無休 24 時間体制のサポートを提供しています。Azure Monitor は私たちのサポート戦略に欠かすことのできない重要なパーツであり、そのあらゆる機能を使って常にあらゆる問題を把握しています。Azure ダッシュボードでは、ソリューション内の Logic Apps 1 つひとつについて過去 3 時間の間に正常に実行されたものとエラーが発生したものを追跡し、統合環境の大まかな状況をつかむことができます。サービス デスクではシステムの現在の正常性をまとめて把握することが可能で、詳細情報も必要なときにいつでも確認できます。当社では、お客様が気付く前に問題を把握し、先回りでソリューションをサポートできるよう電子メール アラートを使用しています。そうすることで、アクティビティ ログからアラートがトリガーされるパターンを把握し、問題を先回りで認識して優先度に従って修正を行い、エラーを未然に防ぐことができます」。

Silveira 氏はさらに次のように述べています。「Azure にこれほど多数の機能が組み込まれていることは、お客様とサポート チームの両方にとってメリットがあります。あらゆるユーザーから好評です。エラーは発生しないに越したことはありませんが、万一発生してしまっても、これらのツールを使用すれば瞬時に対応できます」。

Theta Systems では Azure クラウドで高可用性サービスを維持したいと考えていますが、それには個々のリソースのパフォーマンス低下や Azure サブスクリプションの変更、Azure のサービス正常性に至るあらゆるインシデントの通知を即座に受け取れるようになることが必須です。

SMS、Webhook、電子メールを利用した新たなアクティビティ ログ アラート

既存のメトリックに基づくアラートでは、インフラストラクチャの問題を把握し、メールや Webhook を使用して自動的に対応することができますが、VM の再起動やデプロイメント エラー、ユーザー権限の変更といったアクティビティ ログのイベントに対してもアラートを作成したいと思っているお客様は少なくありません。そうしたお客様のご要望にお応えするために、本日 2 つの新機能を発表しました。1 つはアクティビティ ログ アラート、もう 1 つはアラートの「受信者」リストを管理できる再利用可能な「アクション グループ」です。これらのツールを使用すると、さまざまな種類のアラート オプションを柔軟に活用できるようになります。たとえば、Azure のサービス正常性に関するインシデントやデプロイメント エラー、自動スケールの実行といったイベント発生時に SMS でその情報を運用チームに通知することが可能です。これらの新機能の詳細については、こちらのドキュメントを参照してください。

Figure 1 add activity log

図 1. アクティビティ ログ アラートのアクション グループとアクションの種類を指定する画面

詳細なインサイトとエンドツーエンドの統合監視機能

Rackspace (英語) のマイクロソフト クラウド チームは、充実した Azure のサポート体制を構築 (英語) し、エキスパートとして Azure 上の顧客のワークロードの監視と管理を行っています。このサポート チームは、Azure Monitor から得られるリソース レベルとプラットフォーム レベルのテレメトリ、および Microsoft Operations Management Suite の一部である Azure Log Analytics から得られる豊富な運用情報を組み合わせてエンドツーエンドで顧客の環境の監視とトラブルシューティングを行っています。

Rackspace の Azure クラウド担当プリンシパル製品アーキテクトを務める Dugan Sheehan 氏は次のように述べています。「環境の状態を総合的に把握するには、クラウド プラットフォームの正常性、IaaS の VM のテレメトリ、アプリケーション ログ、PaaS のメトリックといったさまざまなインサイトを収集する必要があります。Rackspace では Azure Log Analytics の力を活用して、お客様に最先端の Azure サポート エクスペリエンスを提供しています。Azure Log Analytics と Azure Monitor なら、その強力な機能をそのまま提供できるだけでなく、優れた拡張性を活かして製品監視サービスを迅速に開発することが可能です。また、ARM テンプレートを利用して自動化すると、わずか数分で新規のお客様の環境にも完全に実装できます。当社の標準的なワークスペース デプロイメントには、アプリケーションからのテレメトリ データのほかに、Windows や Linux のパフォーマンス カウンターとイベント、Azure のアクティビティ ログ、Azure PaaS のメトリックやログなどが含まれています。たとえば、Web サイトの可用性に関するアラートを受信し、その根本原因を分析する場合は、Azure ポータルにログインし、App Services でプラットフォーム レベルのイベントやエラーのアクティビティ ログに対するクエリ、Web サイトのパフォーマンスや正常性に関するメトリックに対するクエリ、アプリケーション コンポーネントで発生したエラーの検索など、アプリケーションに関するさまざまな情報を即座に確認できます」。

Sheehan 氏はさらに次のように言います。「Azure Log Analytics と Azure Monitor で提供される包括的なサービスを再作成しようとすれば、膨大な時間とコストがかかるでしょう。しかし、Azure Log Analytics と Azure Monitor のサービスを活用すれば、その他の業務やお客様中心の先進的なサポートを実現することに集中し、さらに大きな価値を顧客に提供できるようになります」。

Azure の使用範囲が拡大するにつれ、監視ソリューションを拡張してより詳細なインサイトを取得し、インテリジェントなアクションを取れるようになることが重要になります。Azure Monitor からはプラットフォーム レベル、Application Insights からはアプリケーション レベルのテレメトリをそれぞれ取得してシームレスに分析し、Azure Log Analytics ですべてのデータを検索やアラートに活用することで、総合的なエンドツーエンドの監視および管理エクスペリエンスを Azure ポータルから利用することができます。

成長するエコシステム

Azure Monitor はマイクロソフトの包括的な監視機能を提供するだけでなく、増え続けるパートナー様のツールとのシンプルで強力な統合ポイントにもなります。Azure をご利用のパートナー様は Azure が提供するさまざまなサービスを活用して個別のニーズに対応しています。マイクロソフトはそうした皆様と緊密に連携することで、皆様のソリューションで質の高い Azure エクスペリエンスを提供していただけるようにしています。

たとえば、Datadog Inc (英語) はインフラストラクチャ監視機能を提供しているパートナー様の 1 社で、Azure Monitor を使用して Azure の統合とサポート (英語)急速に拡大 (英語) させています。

Datadog のチーフ プロダクト オフィサーである Amit Agarwal 氏は次のように述べています。「実行中の各種 Azure サービスのインサイトは Azure Monitor API を使用して取得できます。Datadog に届いた Azure のテレメトリ データは、お客様がインタラクティブなダッシュボードやアラート、共同でのトラブルシューティング、統合型アプリケーション監視エクスペリエンスなどのさまざまな機能で活用できます。昨年 Azure プラットフォームを採用したお客様は、かなりの数に上りました」。

現在 Azure Monitor と統合された機能を提供しているパートナー様を確認するには、こちらをご覧ください。マイクロソフトでは、Azure ユーザーの皆様に最高の監視エクスペリエンスを提供するために、オープンなパートナー エコシステムを構築することに取り組んでいます。Azure Monitor に統合されているツールについて簡単なアンケート (英語) をお願いしていますのでぜひご協力ください。

まとめ

Azure Monitor を多くの皆様に採用していただきありがとうございます。今後数か月のうちには、Azure Monitor からデータを送信するためのサービスをさらに追加提供する予定です。また、お客様からのフィードバックに基づき、多くのサービス チームがメトリックやログの追加、テレメトリの拡充を行うことを検討しています。さらに、アラートや自動スケール、ログのルーティングなどのエクスペリエンスの追加も検討中です。

最後になりますが、以下は Azure Monitor の概要をご紹介したビデオですのでぜひご覧ください。

Azure Monitor の機能の詳細については、製品概要をご覧ください。また、フィードバックはフォーラム (英語) までお寄せいただけますと幸いです。