Managed Disks の一般提供開始とスケール セットの規模の拡大を発表

執筆者: Corey Sanders (Director of Compute, Azure)

このポストは、2 月 8 日に投稿された Announcing general availability of Managed Disks and larger Scale Sets の翻訳です。

 

今日では、多くのお客様に「サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS)」と「サービスとしてのプラットフォーム (PaaS)」をご利用いただき、たいへん嬉しく思っています。また、IaaS をお使いのお客様のうち 55% は、PaaS のサービスもご利用いただいています。PaaS と IaaS の両方の経験を持つマイクロソフトでは、自動管理やスケーリングといった俊敏性のメリットを提供する PaaS サービスのインサイトを活かして IaaS サービスを強化しています。今回、その PaaS からヒントを得た Managed Disks (英語) の一般提供が開始されました。PaaS 似のサポートを提供するこのサービスをご利用いただくことで、複雑なストレージ管理やスケーリング時のストレージ確保に悩まされる心配がなくなるだけでなく、PaaS と IaaS の強みを連携させた Azure VM の能力をフル活用した管理が可能になります。

Managed Disks は、作成した VM を容易に管理できるだけでなく、VM スケール セットを使用してクラウド規模でデプロイ作業を行う場合にきわめて便利です。Azure VM スケール セット (VMSS) を使用すると、複数のリソースを調整する手間なく、信頼性を保ちながら大規模なクラウド インフラストラクチャをデプロイできます。アプリケーションの自動スケーリングやロード バランサーの統合が可能で、アプリケーションの管理を単純化できます。今回はこれらのプラットフォーム機能を拡張し、自動ディスク管理、ストレージ管理の簡素化、より大きなスケールに対応する機能などを実装しました。Managed Disks を使用することで、すべてのインスタンスにデータ ディスクをアタッチしたり、これまでの 10 倍となる 1,000 台の VM スケール セットを作成することができます。

これらは PaaS の俊敏性を活かして快適な IaaS サービスを実現しようとするための新機能ですが、これで終わりではありません。OS の修正プログラム適用のサポート、アプリケーション ライフサイクルの統合、アプリケーションの正常性監視、ロード バランサー アプリの正常性監視の統合など、今後もさらに追加が予定されています。

次のセクションでは、Managed Disks と VM スケール セットの主な特長をご説明します。

管理

Managed Disks では、ストレージ アカウントのスケール管理が不要です。Managed Disks は Azure Resource Manager (ARM) リソースであり、完全にテンプレート化することができます。Standard (英語)Premium の両方のディスクをサポートしています。ディスクの種類とサイズを指定するだけで何千もの Managed Disks を作成できるため、ストレージ アカウントの心配をしたりディスクの詳細を指定する必要はありません。この機能では、ブランク ディスクを作成することも、ストレージ アカウントの VHD からディスクを作成することも、VM 作成時にイメージからディスクを作成することもできます。さらに、1 回の再起動で既存の Azure Resource Manager VM を Managed Disks の VM に移行することもできます。この新機能を使用するためにネットワークやセキュリティ ルールを再構成する必要はありません。

新しい Managed Disks リソースの他に、Azure Resource Manager リソースとしてスナップショットやイメージを作成することもできます。

スナップショットとバックアップ

ディスクのスナップショットを作成して Azure Resource Manager リソースとして保守することも可能です。スナップショットを使用すると、任意の時点の Managed Disks のバックアップを作成できます。スナップショットはコピー元のディスクから独立して保持され、Managed Disks の新規作成に使用できます。また、Managed Disks で Azure Backup サービスを使用して、時間ベースのバックアップ ジョブ、VM の簡単な復元、バックアップ保持期間ポリシーなどを作成できます。

イメージ

Managed Disks では、管理されたカスタム イメージの作成もサポートしています。イメージの作成は、ストレージ アカウントのカスタム VHD から、または実行中の VM から直接行います。このとき、OS ディスクとデータ ディスクの両方を含む、実行中の仮想マシンに関連付けられたすべての Managed Disks が 1 つのイメージに取り込まれます。このため、コピーやストレージ アカウントの管理を行うことなく、カスタム イメージを使用して、数百の VM にわたる大規模な VM スケール セットをデプロイすることが可能です。

「新機能の Managed Disks を使用すると、コードの複雑さが大幅に解消されるだけでなく、ディスク管理もシンプルになります。現在 Azure で新しい MongoDB プランのサービスとしてのデータベースを使用していますが、これを Managed Disks で拡張することで、増え続けるユーザー ワークロードの需要に対応できると考えています。」- Sean Hyrich 氏 (mLab)

VM の作成

Managed Disks では、Azure PowerShell (英語)Azure CLI (英語) を使用して VM を簡単に作成できます。下記の CLI コマンドは、OS と 128 GB のデータを Managed Disks に搭載した VM を作成する場合の例です。このとき、OS ディスクおよびデータ ディスクのストレージ アカウントを指定する必要はありません。

 $ az vm create -g myResourceGroup -n myLinuxVM --image RHEL --size Standard_DS3_v2 --data-disk-sizes-gb 128

また、ポータルで [Use managed disks] を選択しても、Managed Disks 搭載の VM を簡単に作成できます。

Microsoft Azure Create virtual machine こちらのページに、Azure PowerShell (英語) を使用した Managed OS ディスク搭載の Windows VM の作成例が紹介されています。これを見ると、ストレージ アカウントを指定する必要がないことがわかります。また、Java 用 (英語) および .NET 用 (英語) Azure 管理ライブラリを使用してプログラムから Managed Disks 搭載 VM を作成することもできます。

スケール

VM スケール セットを使用して、最大 1,000 台の VM (従来の 10 倍) をプラットフォーム イメージからデプロイできるようになりました。これにより、大規模な Hadoop や DataSynapse、Cassandra、IIS などを単一クラスターとしてデプロイし、管理できます。さらに、この規模で負荷分散が必要な場合、Azure Application Gateway をデプロイしてレイヤー 7 負荷分散機能を実装することができます。

「最先端のオープン ソース データ検索ソリューションである Elasticsearch を使用すると、ギガバイト規模やペタバイト規模の企業データにどこからでもリアルタイムでアクセスできます。Managed Disks と VM スケール セットの拡張により、Azure ユーザーは非常に大規模な Elasticsearch クラスターをデプロイできるようになります。」- Martijn Laarman 氏 (Elastic、ソフトウェア開発者)

以下のコマンドで、1,000 台の VM のスケール セットを簡単に作成できます。

 $ az vmss create -g myResourceGroup  -n myVMSSName --image ubuntuLTS --instance-count 1000

スケール セットでのアプリケーションのサポート

VM スケール セットでデータ ディスクのアタッチ (英語) がサポートされました。スケール セットを定義する際、VM サイズの制限までいくつでもディスクを作成してアタッチすることができます。このスケール セットの管理性やスケーラビリティは、データ容量が大きい分析アプリケーションや検索アプリケーションに役立ちます。

セキュリティ

Managed Disks、スナップショット、イメージは Azure Resource Manager のリソースであるため、それぞれ Azure RBAC で細かくアクセス制御を行うことができます。Managed Disks では読み込み、書き込み (作成/更新)、削除、エクスポートなどのさまざまな操作が実行されます。ユーザーが実行するジョブごとに操作の権限を付与できます。また、要件に合わせてカスタム ロールを作成したり必要な権限のみを付与することができます。

Azure Disk Encryption では、お客様またはマイクロソフトが管理するキーを使用して Managed Disks を暗号化することもできます。

「Managed Disks では管理された論理リソースとしてディスクを使用できるため、高機能で使いやすく安全なエクスペリエンスが得られます。ディスクは、役割に基づいてアクセス制御を行うことができます。」- Jesper Jensen 氏 (Solvo IT)

移行

Managed Disks では、既存の管理されていない Azure Resource Manager VM から Managed Disks VM に容易に移行できます。この際、VM の再作成や、移行先の VM に関する構成およびセキュリティ維持などの必要はありません。移行開始後、VM を再起動するとすぐに使用できます。移行作業は完全に制御可能で、VM を 1 台ずつ移行することも、スクリプトを作成してすべての VM を一度に移行することもできます。

Managed Disks の Standard から Premium への移行も簡単です。Managed Disks では、VM を削除したり再構成したりすることなく、VM を停止するだけでディスクのアカウントの種類を変更できます。ディスクの変更後、VM を再起動するとすぐに使用できます。上記の作業を実行する方法の詳細については、移行オプション (英語) のドキュメントを参照してください。

「異なるスタンプにアカウントを分散する場合、パフォーマンスの制限や適切な命名規則などを考慮して設計する必要があります。Managed Disks はこれを一気に解決してくれました。私たちもお客様も煩わしい作業から完全に解放され、ビジネスに集中できます。また、移行機能を使用して 1 回の再起動で使用中の仮想マシンを Managed Disks に移行できます。」- Daniele Grandini 氏 (Progel)

料金

Managed Disks の料金の詳細については、Azure Storage の料金ページをご覧ください。Premium レベルの Managed Disks の料金は、Unmanaged Premium ディスクと同じです。Standard レベルの Managed Disks は、プロビジョニングされるディスク容量によって、Unmanaged Standard ディスクとわずかに料金が異なります。今回の変更に伴い、Standard レベルの Managed Disks では 6 か月間 50% の割引が適用されます。

提供地域

Managed Disks は、2017 年 2 月 8 日より全世界のすべてのリージョンで提供が開始されます。また、他の地域のクラウドでは、今後数週間以内にサポートが開始されます。各リージョンでの Managed Disks のサポート状況については、こちらのページでご確認ください。

利用を開始するには

記事はお楽しみいただけたでしょうか? ぜひこの新たなサービスが提供する PaaS の俊敏性、容易性、スケーラビリティを IaaS VM でお試しください。開発チームでは皆様からのフィードバックをお待ちしています。皆様のインフラストラクチャのデプロイ作業が今まで以上に楽しくなること願っています。

ではまた!

Corey Sanders

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