Azure SQL Data Warehouse: SSMS のサポート、DWU の割り当て量増加、T-SQL 機能の追加を発表

執筆者: Kevin Ngo (Program Manager, SQL Engineering)

このポストは、7 月 14 日に投稿された Azure SQL Data Warehouse supports SSMS, higher DWUs and additional T-SQL features の翻訳です。

 

このたび、Azure SQL Data Warehouse の一般提供開始が発表されました。このリリースに併せてパフォーマンスの向上が図られ、以下のようなツールや監視エクスペリエンスの強化と新しい T-SQL 機能の追加が行われました。

  • SQL Server Management Studio (SSMS) のビルトイン サポート
  • 地理冗長バックアップによるデータ保護の強化
  • ハイエンド コンピューティング向けに DWU3000 と DWU6000 のサービスを提供開始
  • データベースが互換性レベル 130 に対応し、パフォーマンスが向上
  • データベース レベルの照合を新たに数千種類追加
  • 分析関数とウィンドウ枠を拡張
  • データ ウェアハウス名の変更に対応

Azure SQL Data Warehouse の詳細については概要ページをご覧ください。また、データベースを新規作成して実際にお試しいただくこともできます。

SQL Server Management Studio をサポート

SQL Data Warehouse のプレビューが開始されてから最も多かったご要望の 1 つが、SQL Server Management Studio (SSMS) をサポートしてほしいというものでした。このご要望にお応えして、今回 SSMS のサポートが追加されることになりました。これにより、サポート対象の任意の認証方法による SQL Data Warehouse への接続、クエリの実行、オブジェクト エクスプローラーでのデータベース内のオブジェクトの表示、テーブルやビュー、関数などのオブジェクトのスクリプト化に SSMS を使用できるようになります。また、新規オブジェクトの作成にテンプレートを使用したり、Generate Scripts 機能でデータベース全体をスクリプト化することも可能です。SSMS の 2016 年 7 月リリースはこちらのページからダウンロードできます。

SQL Data Warehouse の地理リストア

地理冗長バックアップのサポートが追加され、地理的な耐障害性が確保されるようになりました。この機能は既定で有効に設定されます。バックアップの地理冗長性を使用しない場合は、この機能を無効化する必要があります。この機能が有効な場合、リージョン全体でサービスが停止した場合にもバックアップを利用できます。また、SQL Data Warehouse の地理冗長バックアップを任意の Azure リージョンに復旧できます。

弾力性の向上

SQL Data Warehouse でこれまでよりも強力な処理能力を割り当てられるようになりました。データ ウェアハウスを DW100 から DW6000 までの範囲でスケーリングできるため、DWU の割り当て量を増やすだけで数秒以内にパフォーマンスを最大で 60 倍高めることができます。また、一時停止する場合やスケーリングを行う場合、その操作のログが sys.dm_operation_status に記録されます。この動的管理ビューでは、一時停止や再開、スケーリングの各操作の監視と履歴の確認が可能です。

 SELECT major_resource_id AS database_name, state_desc AS staus, percent_complete from sys.dm_operation_status 
WHERE major_resource_id = 'AdventureWorks2016'
AND operation = 'PAUSE DATABASE' 
--ALTER DATABASE for scale and --RESUME DATABASE for resume

互換性レベルを 130 にアップグレード

今後、新規作成されるデータ ウェアハウスはすべて互換性レベル 130 で実行されます。これにより互換性レベル 130 で得られるメリット (英語) を使用できるようになるため、サービスのパフォーマンスが向上します。

データベース照合のサポート

SQL Data Warehouse で、3,800 以上のデータベースの照合が新たにサポートされました。照合により、文字ベースのデータ型のロケールやコード ページ、並べ替え順序、大文字と小文字の区別のルールなどが指定されます。いったん選択されると、照合情報を必要とするすべての列と表現が、データベース設定から選択された照合に継承されます。既定の継承は、文字ベースのデータ型で異なる照合を明示的に宣言すると上書きできます。

使用可能な宣言を確認する場合は、下記のいずれかの方法で行います。

データベース照合は、以下のように DATABASEPROPERTYEX() 関数を使用すると確認できます。

 SELECT DATABASEPROPERTYEX('AdventureWorks2016', 'Collation') AS Collation;

今回の変更により、すべての新規データベースの既定の設定が SQL_Latin1_General_CP1_CI_AS になります。

分析関数とウィンドウ枠のサポート

ROWS 句や RANGE 句で分析関数が新たにサポートされると共にウィンドウ枠を指定できるようになり、T-SQL と SQL Server の違いがさらに小さくなりました。今回は、FIRST_VALUELAST_VALUECUME_DISTPERCENT_RANK の各分析関数のサポートが追加されました。また、OVER 句内で ROWS や RANGE を使用できるようになり、その中で UNBOUNDED PRECEDING、CURRENT ROW、UNBOUNDED FOLLOWING、BETWEEN を使用できます。

以下は、上記の分析関数とウィンドウ枠制限を SQL Data Warehouse のサンプル データベース (dbo スキーマ) で使用したクエリの例です。

 SELECT EnglishProductName, ListPrice,
            FIRST_VALUE(EnglishProductName) OVER (ORDER BY ListPrice ASC) AS LeastExpensive,
            LAST_VALUE(EnglishProductName) OVER (ORDER BY ListPrice ASC ROWS BETWEEN UNBOUNDED PRECEDING AND UNBOUNDED FOLLOWING) AS MostExpensive,
            CUME_DIST() OVER (ORDER BY ListPrice ASC) AS CumeDist,
            PERCENT_RANK() OVER (ORDER BY ListPrice) AS PctRank                    
FROM dbo.DimProduct
WHERE ProductSubcategoryKey = 37;

データベース名の変更

T-SQL を使用して、データベース名を変更できるようになりました。下記の ALTER DATABASE コマンドを実行すると、すべての既存のトランザクションが強制終了され、マスター データベースに引き継がれます。

 ALTER DATABASE CurrentDatabasename MODIFY NAME = NewDatabaseName;

フィードバックのお願い

今後は、皆様から特にご要望が強い機能について優先的に開発を検討させていただきたいと考えています。追加を希望する機能がありましたら、フィードバック サイト (英語) までご意見をお寄せください。フィードバックや投票にご協力いただいた方には、任意で、ご要望に関する最新情報を定期配信させていただきます。また、機能のリリース時にも最初にご連絡いたします。なお、フィードバックの方法としては、こちらのフィードバック アンケート (英語) もご活用いただけます。

関連情報

以下は、SQL Data Warehouse の関連資料の一部です。併せてご確認ください。