Azure Search: 新しいサービス レベルの追加、Basic と Standard S2 の一般提供開始

執筆者: Joseph Sirosh (Corporate Vice President, Data Group)

このポストは、6 月 8 日に投稿された New Azure Search tiers and Basic and Standard S2 general availability の翻訳です。

 

今回は、データ グループ担当コーポレート バイス プレジデントを務める Joseph Sirosh の記事をご紹介します。

Azure Search で提供されるサービス レベルが更新されました。今回の更新では、拡張性に優れた高パフォーマンスの Standard S3 と、SaaS や ISV に対応する Standard S3 High Density のプレビューが開始されるほか、Azure Search の Basic レベルと Standard S2 レベルの一般提供も開始されます。

新しいサービス レベル

大規模なデータセットを処理し、クエリ負荷が高いワークロード向けの Standard S3 (プレビュー)

Standard S3 は、ドキュメント数が非常に多く、クエリ処理の負荷がきわめて高いワークロードに適しています。Standard S3 では、高パフォーマンス CPU と Premium SSD Storage が使用されているため、適切にスケーリングした場合には、10 億以上のドキュメントをサポートし、数百 QPS (query per second) の処理性能を低レイテンシで実現します。

ISV およびマルチテナント SaaS アプリ向けの Standard S3 High Density (プレビュー)

Standard S3 High Density (S3 HD) レベルは、比較的小規模かつ多数のインデックスをサポートする必要がある ISV および SaaS 対応アプリケーションに適しています。S3 HD レベルの検索サービスでは、1 つの検索サービスで最大 1,000 個のインデックスをサポートできるため、顧客のワークロードが小規模な場合や低コストでインデックスを提供する必要がある場合などに、非常に高いコスト効率が得られます。

この High Density レベルのテストにご協力いただいた企業の 1 つが Cymax Group (英語) です。Cymax は急速な成長を遂げている PaaS オンライン家具小売業者で、年間売上高は 1 億 5,000 万ドルを超えます。Cymax Group では、最近になって Constant Retail プラットフォーム (英語) を立ち上げました。このサービスでは、あらゆる家具店が Cymax のテクノロジ、物流、製品カタログを活用し、コストを低く抑えながらオンライン ストアを展開することができます。

「e コマース サイトを成功させるためには、検索機能が不可欠です。Constant Retail では、Microsoft Azure Search との連携により、これまで大規模小売業者しか利用できなかった先進的な検索テクノロジをお客様が利用できるようになりました。当社が Azure Search プラットフォームを選択した理由は、堅牢な機能セットと優れたスケーラビリティ、パフォーマンスを備えていて、インテリジェントで的確な検索結果を提供することができるためです。新しい S3 High Density レベルは当社のテクノロジ スタック、ビジネス モデル、そしてもちろんお客様にも最適で、各サイトにカスタマイズ可能な独自の検索インデックスを提供しています。」- Cymax Group、テクノロジ担当バイス プレジデント、Rizwan Somji 氏

さらに、Microsoft Dynamics CRM Online でも Azure Search HD レベルを活用してオンライン検索エクスペリエンスが大幅に強化され、非常に複雑なカスタマー アプリケーションでもエンド ユーザーが迅速かつ簡単に検索できるようになりました。

「Azure Search を活用することで、検索エクスペリエンスが飛躍的に向上し、今後の重要なイノベーションの布石となりました。特にこの新しい HD SKU では、多数のオンラインのお客様がパフォーマンスと機能面の目標を維持しながら、手頃な料金、実用的な形で Azure Search をデプロイすることができます。」- Mike Carter (Dynamics CRM 主任プログラム マネージャー)

サポートされるインデックスの数が大幅に増えた代わりに、インデックスあたりのドキュメント数は制限されてしまいます。S3 の場合、使用可能なパーティション全体で最大 14 億個のドキュメントをサポートできますが、S3 HD のインデックスの場合は、インデックスあたりの最大ドキュメント数は 100 万個で、すべてのインデックスで使用可能な合計ストレージ容量はサービスあたり 200 GB に制限されています。また現時点では、S3 HD ではインデクサーがサポートされません。

一般提供が開始されたサービス レベル

Basic サービス レベルの一般提供開始

今年 3 月、Free レベルと Standard レベルの中間に位置する Basic サービス レベルのプレビューが発表 (英語) されました。Basic レベルでは、容量の要件が低いシナリオで、Standard の運用環境レベルの性能を提供します。今回このサービス レベルの一般提供が開始されました。Azure Search の Basic サービス レベルの詳細については、こちらのページを参照してください。

Standard S2 サービス レベルの一般提供開始

Azure Search のミッドレンジ サービスである Standard S2 の一般提供が開始されました。Standard S2 サービスのプレビュー期間中には、超低レイテンシを維持しながら数百 QPS のワークロードをサポート可能であることが確認されています。

Azure Search のサービス レベルのまとめ

次の表は、各サービス レベルの主な要件をまとめたものです。

Free Basic Standard S1 Standard S2 Standard S3( プレビュー ) Standard S3 HD ( プレビュー )
SLA の提供 × ◯* ◯* ◯* ×** ×**
ストレージ 50 MB 2 GB/サービス 25 GB/パーティション(最大 300 GB) 100 GB/パーティション (最大 1.2 TB) 200 GB/パーティション (最大 2.4 TB) 200 GB
最大インデックス数 3 5 50 200 200 1000
ホスト可能なドキュメント数 10000 100 万/サービス 1,500 万/パーティション (最大 1 億 8,000 万) 6,000 万/パーティション (最大 7 億 2,000 万) 1 億 2,000 万/パーティション (最大 14 億) 100 万/インデックス(合計 2 億)
スケールアウトの制限 なし 最大 3 ユニット/サービス 最大 36 ユニット/サービス 最大 36 ユニット/サービス 最大 36 ユニット/サービス 最大 12 個のレプリカおよび 1 つのパーティション

データ転送速度は Standard サービス レベルの速度が適用されます。

*読み取り処理の SLA では最小レプリカ数 2 個、読み取り/書き込み処理の SLA では最小レプリカ数 3 個。

**プレビュー期間中の Azure Search サービスでは SLA は提供されません。

試用について

Azure Search の新しいサービス レベルと料金の詳細については、料金ページを参照してください。また、こちらのページでは Azure Search サービスを作成して実際にお試しいただけます。