Azure Marketplace で FreeBSD の一般提供を開始

執筆者: Jason Anderson (Principal PM Manager, Open Source Technology Center)

このポストは、6 月 8 日に投稿された FreeBSD now available in Azure Marketplace の翻訳です。

 

2015 年 10 月に、Hyper-V 上で仮想マシンとして実行される FreeBSD に関する取り組みをブログ記事 (英語) でご紹介しました。マイクロソフトはこの数年間、FreeBSD を Hyper-V のトップ クラスの VM ゲストとして使用するために膨大な量の作業を行い、高パフォーマンスのネットワークやストレージ機能を実現しました。その結果、FreeBSD の運用環境のワークロードを初めて Hyper-V 環境で実行できるようになりました。このたび、この作業が完了し、マイクロソフトは Hyper-V のゲストとして FreeBSD を公式にサポートします。これにより、必要に応じてマイクロソフト サポートをご利用いただけるようになりました。

マイクロソフトが Hyper-V 上で FreeBSD を実行できるように取り組んだ主な理由は、Hyper-V が Azure の仮想化プラットフォームであり、この Hyper-V に対応することで FreeBSD VM を Azure で実行できるようにするためです。Azure で FreeBSD を実行することの重要性について疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、大手仮想アプライアンス ベンダーの多くは FreeBSD オペレーティング システムを基盤とする製品を開発しています。過去 2 年間、マイクロソフトは Citrix Systems、Array Networks、Stormshield、Gemalto、Netgate の各社と緊密に協力して仮想アプライアンスを Azure Marketplace で発行し、今後も他社の製品を公開するために取り組みを続けています。しかし、独自の FreeBSD イメージを Azure で実行する場合、これまでは Azure 以外のカスタム イメージを用意する必要がありました。

このたび、既製の VM イメージとして FreeBSD 10.3 を Azure Marketplace から直接入手できるようになりました。これにより、Azure で FreeBSD VM を迅速にセットアップできるだけでなく、技術サポートが必要な場合にはマイクロソフトのサポート エンジニアの支援を受けることができます。

FreeBSD VM は Azure ポータルで簡単にセットアップして使用することができます。左側のペインで [+New] (またはダッシュボードの Marketplace タイル) をクリックし、検索テキスト ボックスで「FreeBSD 10.3」と入力すると FreeBSD が表示されます。

FreeBSD

上のスクリーンショットに示すように、Marketplace では FreeBSD イメージの発行元は FreeBSD Foundation (英語) ではなくマイクロソフトとなっています。FreeBSD Foundation は、FreeBSD でソリューションを開発している企業を含む FreeBSD コミュニティの寄付によって支えられています。このコミュニティは、支持組織を持つソリューション プロバイダーや ISV ではなく、相互に支援する非常に活発なコミュニティの活動に依存しています。マイクロソフトは、Azure で実行される FreeBSD VM をご利用のお客様にエンタープライズ クラスの SLA を提供するために、イメージの構築、テスト、リリース、保守を行い、FreeBSD Foundation の負担を軽減しました。今後もパートナーとして FreeBSD Foundation と緊密に協力し、FreeBSD を Hyper-V および Azure で実行するための取り組みを継続してまいります。

「サポートが提供される FreeBSD イメージを Azure Marketplace で発行することは、FreeBSD コミュニティとマイクロソフトにとって非常に大きな進展です。FreeBSD プロジェクトに対するマイクロソフトの取り組みに深く感謝します。」- FreeBSD Foundation、理事長、Justin T. Gibbs 氏

マイクロソフトが提供する FreeBSD 10.3 イメージの特徴

ネットワークとストレージのパフォーマンスを向上させるため、マイクロソフトが行っているカーネル レベルの取り組みの大半は FreeBSD 10.3 リリースに引き継がれています。そのため、FreeBSD Foundation から FreeBSD 10.3 イメージをダウンロードした場合、この OS に組み込まれているマイクロソフトの取り組みの成果を活用できます。ただし、FreeBSD 10.3 のリリースに間に合わなかった重要な修正がいくつかあります。追加でコミットされた修正の詳細については、こちらのページ (英語) をご覧ください。

その他に、FreeBSD VM と Azure Fabric 間の通信を担当する Azure VM のゲスト エージェントを追加しました。初回使用時に VM をプロビジョニング (ユーザー名、パスワード、ホスト名など) したり、特定の VM 拡張機能を選択的に有効化したりする場合に使用できます。

以前のバージョンの FreeBSD について

マイクロソフトによるサポートが提供される Hyper-V 上の FreeBSD はバージョン 10.3 以降となりますが、一部のドライバーはバージョン 8.4 以降の移植版が提供されています。Hyper-V で実行される FreeBSD の以前のバージョンでサポートされる機能の一覧については、TechNet の記事を参照してください。もちろん、提供されている移植版とインストール済みの Azure VM エージェントを使用して、以前のバージョンから独自の FreeBSD VM イメージを Azure に移植して利用することもできます。ただし、その場合はパフォーマンスや安定性が変わる可能性があります。たとえば、マイクロソフトのテストでは、FreeBSD 10.1 を使用した場合に 10Gb ネットワークで計測されたスループットは 2 Gbps でした。一方、FreeBSD 10.3 のテストでは 9 Gbps を超えるスループットが計測されました。

今後の予定

マイクロソフトは、FreeBSD の今後のバージョンでも最新の機能に対応し、FreeBSD リリース エンジニアリング チームが最新版をリリースしてから短期間で提供することを目指しています。マイクロソフトは、ストレージのパフォーマンス チューニングへのさらなる取り組みを続けると共に、Hyper-V の新機能も追加してまいります。引き続き最新情報にご注目ください。