Azure Site Recovery のストレージ関連の機能強化

執筆者: Poornima Natarajan (Program Manager, Cloud + Enterprise)

このポストは、5 月 23 日に投稿された Storage specific enhancements in Azure Site Recovery の翻訳です。

 

先日の Azure Site Recovery (ASR) のアップグレードの一環として、Azure ストレージの複数の機能が新たにサポートされました。今回サポートされた機能は以下のとおりです。

  • VMware 仮想マシンおよび物理サーバーの Premium Storage へのレプリケーション

 

  • Resource Manager を使用して作成されたストレージ アカウントに対する Azure Storage Service Encryption (保存データの暗号化) (プレビュー)

 

  • ローカル冗長ストレージ (LRS) アカウントへのレプリケーション

 

マイクロソフトはエンタープライズ クラスの安全性と信頼性に優れたビジネス継続性ソリューションを提供すると共に、異種混在環境のワークロードをサポートすることをお約束しています。今回新たにサポートされた機能はすべて、このお約束の実現に向けたものです。

Premium Storage へのレプリケーション

今回、VMware 仮想マシンや物理サーバーを Azure の Premium Storage アカウントに複製して保護できるようになりました。Premium Storage では、VM 1 台につき最大 80,000 IOPS (1 秒あたりの入出力処理回数) および 2,000 MB/秒のディスク スループット、超低レイテンシの読み取り処理を実現できます。

オンプレミスで I/O 負荷の高いエンタープライズ クラスのワークロードを実行している場合は、このワークロードを Premium Storage に複製することをお勧めします。Azure へのオンプレミス環境のフェールオーバー時には、Premium Storage に複製されるワークロードが高速のソリッド ステート ドライブ (SSD) 上で実行されている Azure Virtual Machines に表示され、スループットとレイテンシの両方について高いパフォーマンスが維持されます。

Premium Storage へのレプリケーションをセットアップするには、以下のアカウントが必要です。

  • Premium Storage アカウント: オンプレミスの仮想マシンや物理サーバーを Premium Storage に複製する場合、保護対象のマシンのディスクに保存されているデータはすべて Premium Storage アカウントに複製されます。このアカウントに保存されるデータには、Premium Storage の料金が適用されます。

 

  • Standard Storage アカウント: ディスク データのレプリケーションの最初のフェーズの完了後、オンプレミスのディスク データに対するすべての変更が継続的に追跡され、レプリケーション ログとして Standard Storage アカウントに保存されます。このアカウントに保存されるデータには、Standard Storage の料金が適用されます。

 

Premium Storage アカウントと Standard Storage アカウントを組み合わせて使用する設計により、全体的なコストが大幅に抑えられ、Premium Storage を使用した場合にも企業のコスト削減に貢献します。

premium-snapshot

 

Premium Storage を使用する場合は、以下の注意事項をご確認ください。

  • Premium Storage へのレプリケーションは従来のストレージ アカウントと Resource Manager ストレージ アカウントの両方でサポートされます。

 

  • Premium Storage へのレプリケーションは、現時点では VMware 仮想マシンおよび物理サーバーのみでサポートされています。Hyper-V VM (System Center VMM で管理されている VM と System Center VMM を利用しない VM の両方を含む) の Premium Storage へのレプリケーションは、近日中にサポートされる予定です。最新情報はこのブログでお伝えしますので、しばらくお待ちください。

 

  • Premium Storage に複製される仮想マシンおよび物理サーバーは、最新の時点または以前の時点 (最大 24 時間以内) にフェールオーバーできます。復旧ポイントの保持期間は、Premium Storage でサポートされている BLOB ごとのスナップショット数 (BLOB あたり 100 個のスナップショット) により最大 24 時間に制限されています。

 

  • Azure へのフェールオーバー時には、Premium Storage のディスクがサポートされている DS シリーズまたは GS シリーズの Virtual Machines にのみアプリケーションが表示されます。DS/GS シリーズの VM にフェールオーバーする場合、保護対象の VM で [Compute Properties] から必要なサイズの Azure VM ロールを指定します。

 

Premium Storage のパフォーマンスとスケーラビリティの目標を含む Premium Storage の詳細については、Azure Storage チームが作成した Premium Storage の詳細なドキュメントを参照してください。

Azure Storage Service Encryption (保存データの暗号化)

保存データ向けの機能である Azure Storage Service Encryption (SSE) は、企業のお客様によるデータの保護と、セキュリティおよびコンプライアンス遵守への取り組みを支援します。Storage Service Encryption では、データをストレージに保管する前に暗号化し、取得する前に暗号化を解除できます。ASR で SSE がサポートされたことにより、SSE が有効化されているストレージ アカウントにワークロードを複製できるようになりました。

この機能は、現在 Azure Storage チームによってプレビューとして提供されています。この機能を試用するには、プレビューにサインアップし、Azure Storage チームがまとめた手順に従って SSE が有効化されたストレージ アカウントを作成します。ここでも以下の点に注意してください。

  • 暗号化キーの保存、暗号化、管理はすべてマイクロソフトが行います。

 

  • 現時点では、SSE が有効化された Standard Storage アカウントへのレプリケーションのみがサポートされています。SSE が有効化された Premium Storage アカウントへのレプリケーションは近日中に、サポートされる予定です。最新情報はこのブログでお伝えしますのでしばらくお待ちください。

 

  • この機能は、VMware 仮想マシンおよび物理サーバー、System Center VMM で管理されている Hyper-V VM、System Center VMM を利用しない Hyper-V ホストを含む、サポート対象のすべてのワークロードでサポートされています。

 

  • この機能は、Resource Manager を使用して作成されたストレージ アカウントでのみ使用できます。

 

  • SSE が有効化されたストレージ アカウントに複製する場合も、ASR のエクスペリエンスは変わりません。

 

  • ほとんどのプレビュー機能と同様に、一般提供が開始されるまでは、この機能を運用環境で使用することは避けてください。

 

SSE のしくみとサポート対象の詳細については、Azure Storage チームが作成した SSE の詳細なドキュメントを参照してください。

ローカル冗長ストレージ アカウントへのレプリケーション

今回、ローカル冗長ストレージ (LRS) アカウントへのワークロードのレプリケーションを選択できるようになりました。セカンダリ リージョンにデータを複製する地理冗長ストレージ (GRS) とは異なり、LRS ではストレージ アカウントを作成したリージョンにデータが複製されます。この際、同一リージョン内の独立したフォールト ドメインおよびアップグレード ドメインにデータのコピーが 3 つ作成されます。LRS は GRS と比較して非常に低コストであるほか、GRS よりも高いスループットが得られます。

マイクロソフトでは、リージョン全体でサービスが停止した場合や、災害によってプライマリ リージョンが復旧不可能になった場合でもデータの耐久性を維持できるように、地理冗長ストレージ (GRS) アカウントを使用することを一般に推奨しています。しかし、Azure リージョン全体でサービスが停止してもアプリケーションを容易に復旧できる場合や、データのガバナンス要件によりリージョン間のデータのレプリケーションが制限されている場合は、LRS へのレプリケーションが適しています。

利用開始手順の詳細については、VMware および物理サーバーのシナリオに関するドキュメント (英語) を参照してください。さらに詳しい情報の入手や他のお客様との交流には、MSDN の Azure Site Recovery フォーラム (英語) をご利用いただけます。今後追加してほしい機能のご提案は、ASR UserVoice (英語) までお寄せください。

Azure Site Recovery を使用して Microsoft Azure へのワークロードのレプリケーションを開始する場合は、こちらのページで ASR のサービス詳細をご確認ください。なお、Site Recovery の強力なレプリケーション機能は、新たに複製した物理サーバーまたは仮想マシンごとに 31 日間無料でご利用いただけます。

Microsoft Operations Management Suite の一部として提供される Azure Site Recovery では、コスト効率の高いオールインワンのクラウド IT 管理ソリューションによって、Azure、AWS、Windows Server、Linux、VMware、OpenStack など、あらゆる場所で実行されているワークロードを制御および管理できます。System Center を既にご利用のお客様は、Microsoft Operations Management Suite アドオンを使用して現在の資産をさらに活用することができます。System Center のすべてのお客様を対象とした利用しやすい段階的な料金により、OMS で提供されるすべての新しいサービスをまとめてご利用いただけます。また、必要な IT 管理サービスのみを利用することも可能なため、短期間で導入して、利用する機能の料金のみですぐにメリットを実感していただけます。