Microsoft Azure で STAR-CCM+ の使用が可能に

執筆者: Tejas Karmarkar (Sr. Program Manager, Azure Compute)

このポストは、5 月 10 日に投稿された Availability of STAR-CCM+ on Microsoft Azure の翻訳です。

 

このたび Microsoft Azure で STAR-CCM+® が使用できるようになりました。STAR-CCM+ は、Siemens の事業部門の 1 つとなった CD-adapco が提供する学際的なエンジニアリング シミュレーション ソリューションです。この記事では、データのスケーリングに対応するパフォーマンスについても併せてご紹介したいと思います。

Microsoft Azure で Linux RDMA の提供が開始されたのは 2015 年 7 月のことでした。これに伴いマイクロソフトは、世界中のあらゆるエンジニアや科学者がスーパー コンピューティングの処理能力を活用して複雑な工学的問題を解決できるよう、ハイ パフォーマンス コンピューティング (HPC) を主流化する新しいクラウド サービスの取り組みに着手しました。

マイクロソフトは HPC を主流化するうえで ISV のエコシステムが重要であることを理解しており、エンド ユーザーの皆様やパートナー様向けの活気のあるオープンな ISV エコシステムを構築し、これを発展させ、お客様が Azure の HPC スタックの主要コンポーネントを主体的に選択できるようにしたいと考えています。

アプリケーション レイヤーは、どの HPC スタックにおいてもカギとなる要素です。エンジニアは CAE (Computer Aided Engineering) アプリケーションを活用し、超並列コンピューター システムを使用して自動車の空気抵抗の予測といった複雑な問題を解決しています。

マイクロソフトはこの数か月間 CD-adapco と緊密に連携した結果、Microsoft Azure Linux RDMA プラットフォーム (Azure の A9 Virtual Machines) での STAR-CCM+ のテストで非常に良好なパフォーマンスとスケーラビリティを得ることができました。Azure と STAR-CCM+ の組み合わせでは高レベルのスケーラビリティとパフォーマンスを発揮できましたが、これは RDMA と Infiniband のテクノロジを使用した高速で低レイテンシの専用ネットワーク ファブリックによるおかげです。このネットワーク ファブリックは、A8 インスタンスと A9 インスタンスでのみ提供されています。Azure のこのサイズのインスタンスでは、Hyper-V で仮想化された RDMA によって 3 マイクロ秒に迫る超低レイテンシと 3.2 Gbps 以上の高帯域幅が提供され、優れたスケーリング性能が実現されています。

以下のグラフをご覧いただけば、Microsoft Azure で 1,024 コアまでのスケーリングで高いパフォーマンスを発揮できることがわかります。マイクロソフトは HPC に対して妥協なく取り組み、このレベルのスケーリング性能とパフォーマンスを実現しました。

「A9 Virtual Machines と Linux RDMA テクノロジを活用した Microsoft Azure プラットフォームでの STAR-CCM+ のパフォーマンス テストの結果は良好でした。このテストでは、1,024 コアまでのスケーリングで非常に良い結果が得られました。これならシミュレーションを使用する製品設計サイクルが短縮され、より優れた設計を短期間で実現できます」- Keith Foston 氏 (STAR-CCM+ 担当プロダクト マネージャー)

このテストでは、Cent OS 7.1、Intel MPI、Intel の並列ファイル システムである "Lustre" を使用し、Microsoft Azure A9 インスタンス (Intel E-2670 @ 2.6 GHz、RAM 128 GB、1600 MHz DDR3、QDR InfiniBand) 上で STAR-CCM+® バージョン 11.02 を使用した CFD シミュレーション モデル "Le Mans 100 Million Cell" を実行しました。

Azure HPC クラウド エコシステムのもう 1 つの柱となるのが ISV アプリケーションのライセンス モデルです。柔軟性に優れた低価格な ISV アプリケーション ライセンスは、HPC を利用しやすくするうえで重要な役割を果たしています。革新的な Power Session および Power-on-Demand のライセンス オプションを利用することにより、定額で無制限の数のプロセッサに STAR-CCM+ を分散することができます。これは、シミュレーション分野のライセンス モデルとしては特に先進的でクラウドに適しています。詳細については、CD-adapco の Web サイト (英語) でご確認ください。

STAR-CCM+ をお試しいただくには、Microsoft Azure の無料試用版アカウントを作成し、Microsoft Azure の A8 および A9 インスタンスに HPC クラスターと Intel Lustre 並列ファイル システムをデプロイ (英語) してください。