Azure Blockchain as a Service の最新情報 (第 8 回)

執筆者:Marley Gray (Director, BizDev & Strategy – Cloud and Enterprise)

このポストは、5 月 4 日に投稿された Azure Blockchain as a Service update #8 の翻訳です。

 

今回は、DX のグローバル エンジニアリング パートナー チームでグローバル ビジネス ストラテジストを務める Yorke Rhodes と、CELA の規制関連業務アシスタント ゼネラル カウンセルを務める Jason Albert が共同執筆した記事をご紹介します。

マイクロソフトが Chamber of Digital Commerce に参画

マイクロソフトは、デジタル アセット業界団体 Chamber of Digital Commerce (英語) に参画いたしました。Chamber of Digital Commerce は、可能性や将来性に富んだ分散型台帳の推進を目指す新しい事業団体です。

あらゆる規模の企業が、分散型台帳 (ブロックチェーン) の可能性を探るようになってきています。分散型台帳は、その名称が示すとおり、トランザクションを記録する複数のオンライン レジスターから成ります。個々のトランザクションは前回のトランザクションと関連付けられ、暗号を使用して正当性が証明されます。この一連のトランザクションの記録 (ブロック) がチェーンのようにつながり、「ブロックチェーン」が構成されます。ブロックチェーンのしくみによって台帳の改ざんが不可能となっていることで、複数の関係者によって台帳への合意が形成され、トランザクションと所有権の正当性が証明されるシステムになっています。

分散型台帳はさまざまな用途に活用できる可能性を秘めています。現在最も有名なのが仮想通貨のビットコインであり、分散型台帳によってビットコインの所有権と供給が管理、証明されています。しかし、これはほんの一例にすぎません。他にも、リアルタイムかつ瞬時の直接送金、オンラインでの締結、検証、実行が可能なスマート コントラクト、非集中型のカルテ管理をはじめ、さまざまな形の分散アプリケーションが分散型台帳のテクノロジによって実現可能になります。

マイクロソフトは、分散型台帳に最適なプラットフォームとホームを提供することに重点的に取り組み、ブロックチェーンの技術的な将来性と、Azure Key Vault、Multi-Factor Authentication などの Azure 機能を融合させています。昨年 11 月には、Ethereum を使用した Blockchain as a Service をリリース (英語) し、それ以来 40 社を超えるパートナーの参加を得てきました。ここ最近では、40 行以上の大手銀行から成る R3 コンソーシアムにより、新しいブロックチェーン関連サービスをテスト、開発するための推奨プラットフォームとして Microsoft Blockchain as a Service が採用 (英語) されました。

私たちが業界内の他社と協力してこのテクノロジの将来性を探る際には、分散型台帳について検討する立場にある規制当局や政策当局との連携もやはり重要です。仮想通貨は、米国の州/連邦レベルや世界中のその他の市場において既に規制対象となっています。マイクロソフトはこのことを歓迎しています。というのも、規制によってユーザーを保護すると同時に、仮想通貨が犯罪の温床とならないようにすることがきわめて重要だからです。しかし、仮想通貨という特定の用途には規制がかけられましたが、その他の用途はまだ登場して間もないか進化の途中にあり、自由な発展と成長をしばらく見守る必要があります。

Chamber of Digital Commerce は、規制の枠組みが発展するうえで必要不可欠な意見を届けています。業界最先端の企業を集め、各社の経験や構想を共有することで、分散型台帳技術の活用に関する公の議論や、分散型台帳の発展と一般ユーザーの保護を両立させる方法の議論において重要な意見を伝える役割を担っています。Chamber of Digital Commerce は新規参画企業の支援のためにトレーニングや教育の充実、自主規制策の制定に取り組み、業界全体のイノベーションの拡大をサポートしています。マイクロソフトは Chamber of Digital Commerce およびそのメンバーと協力し、分散型台帳の利用の発展と進化に力を尽くしたいと考えています。

Blockchain as a Service の最新情報

前回情報をお伝えしてからしばらく経ちましたが、その間、何もなかったわけではありません。エコシステムに新しいパートナーが参入し、既存のパートナーにも動きがありました。新規パートナーとしてお迎えしたのは、Jambucks、Bitswift、Storj、Vcash、Shadow、Blocknet、Blitz、GameCredits、OKCash です。いずれのサービスも Azure DevTest Labs (英語) でテスト可能です。

また、新たに Ether.Camp の Ethereum Studio (英語) を利用できるようになりました。これは、コントラクトを Solidity で記述してコンパイルし、サンドボックスでテストしてから、ライブ ネットに送信できる IDE です。

さらに、Emercoin によって Emercoin クライアント、Emercoin SSH サービス、Emercoin WEB Wallet が公開されました。

Blockchain as a Service ブログの新しい執筆者の紹介

Yorke Rhodes: パートナーによるブロックチェーンのエコシステムを担当するグローバル ビジネス ストラテジスト。新規および既存パートナーの最新動向 (BaaS の最新情報) や業界のビジネス インサイトをお届けします。

Jason Albert: マイクロソフトのアシスタント ゼネラル カウンセル。法律、規制、コンプライアンスの観点から分散型台帳を考察し、Chamber of Digital Commerce との協働のほか、この分野における法律、規制、コンプライアンス上の問題に関して記事を投稿します。

今回お伝えする内容は以上です。今後の情報も近日中にお届けします。