マイクロソフトが新規 DC/OS オープン ソース プロジェクトに参加

執筆者: John Gossman (Architect, Azure)

このポストは、4 月 19 日に投稿された Microsoft joins the new DC/OS open source project の翻訳です。

 

オープン ソースの DC/OS プロジェクトを発表

このたびマイクロソフトは、Mesosphere、および Accenture、Cisco、Hewlett Packard Enterprise などの多数の業界パートナーと共に、新しいオープン ソースの DC/OS プロジェクト (英語)発表しました (英語)。この取り組みは、Apache Mesos を活用して信頼性を確保しながら大規模に最新の分散アプリケーションを実行することを目的としています。DC/OS は Mesosphere の Datacenter Operating System から派生した完全なオープン ソース プロジェクトで、コンテナーの操作を大規模に実行したり、HDFS、Apache Spark、Apache Kafka、Apache Cassandra などの複雑な分散システムをワンクリックでアプリ ストアのようにインストールできる強力な機能が提供されます。

マイクロソフトのクラウド戦略は、オープン システムやオープン ソース ソリューションをサポートするなどしてお客様に選択肢を提供することを基本としています。企業のお客様は最新のアプリケーションを実行するために、パブリック クラウド、自社データセンター、ホスティング プロバイダーのハイブリッド デプロイメントをサポートする実績ある柔軟なシステムを求めています。今回発表された DC/OS は、実績、柔軟性、移植性、オープン ソースというお客様が求める条件をすべて満たしています。マイクロソフトは、新しいオープン ソースの DC/OS コミュニティの創設メンバーとなることを光栄に思います。また、今回一般提供が開始された Azure Container Service では、主要コンポーネントとして DC/OS を活用しています。Azure Container Service は、最も柔軟性が高くオープンな方法でコンテナー アプリケーションを実行できるクラウド ソリューションです。Docker イメージが完全にサポートされることにより、個々のコンテナーの移植性が確保されているほか、オーケストレーション レイヤーにオープン ソースのソフトウェアのみを使用しているため、パブリック クラウド ソリューション、プライベート クラウド ソリューション、オンプレミスの間でアプリケーションを移植することができます。

DC/OS の概要

DC/OS の中核を成すのは実証済みの Apache Mesos テクノロジです。Mesos は Linux カーネルのような分散システムのカーネルであると表現されますが、クラスターの各マシンで実行され、データセンター全体でアプリケーションのスケジュールやリソース管理を実行できる点が異なります。2009 年にカリフォルニア大学バークレー校で開始されて以来、Mesos はハイパースケールのクラウド サービスを構築するために Twitter などの企業によって急速に導入されました。分散システムや分散アプリケーションの構築や実行は困難であることがよく知られているため、お客様は運用環境での使用に耐えてきた実績のあるソリューションを望んでいます。その点、Mesos を利用している企業のリスト (英語) には、Airbnb、Apple、Netflix、PayPal、Yelp などが名を連ねていて、十分な実績を積んでいることは明らかです。

しかし、カーネルだけでは大半のアプリケーションを実行するには不十分です。この他にも、サービス検出と負荷分散、デプロイメントやパッケージの管理、ログ記録とメトリック、Web インターフェイスやコマンド ライン インターフェイスなどの機能が一般的に必要とされます。Mesosphere は、これらのコンポーネントの多くを Data Center Operating System の一部として構築し、完全にオープン ソースの DC/OS プロジェクトにも含めています。具体的なコンポーネントは以下のとおりです。

  • Marathon: Mesos を基盤として実行されるコンテナー オーケストレーション プラットフォームです。Marathon は、Azure Container Service を実行する主要テクノロジの 1 つです。
  • Universe: 分散システムや分散ジョブ スケジューラーの Chronos などの追加の管理コンポーネントをアプリ ストアのようにデプロイできます。
  • DC/OS UI および DC/OS CLI: Web やコマンド ラインから DC/OS を操作できます。
  • インストーラー: オンプレミスおよびクラウド向けの GUI ベースのインストールです。

DC/OS は、これらすべての機能が 1 つのソフトウェア ディストリビューションにまとめられた唯一のオープン ソース プロジェクトです。DC/OS は、データセンター規模のサービスを実行する安定した実証済みのカーネルを使用した完全にオープン ソースのソリューションで、Mesosphere が主催し、マイクロソフト、Hewlett-Packard Enterprise、Intel、Cisco、Verizon、Yelp (英語) などの 50 以上の IT 企業や DC/OS ユーザーが参加するコミュニティによってサポートされています。

Universe ソリューションの拡張

オペレーティング システムには、アプリケーションやソリューションおよびそれらを簡単にデプロイする方法も必要です。DC/OS の Universe はパッケージの管理およびデプロイメント用システムで、Apt や Yum と似ていますが、Apache Spark、Kafka、Cassandra、Zeppelin、その他のサービス (英語) といった分散システムに向けたものです。DC/OS 固有のメリットとして、コンテナーとデータ分析アプリケーションを同一クラスターで実行できることが挙げられます。Universe は、これを容易にするうえで重要な役割を果たしています。さらに、Universe は今後さらに拡張され、DC/OS で実行されるソリューションをパッケージ化および発行する機能が提供される予定です。Universe の Web UI では、アプリ ストアのようにこれらのソリューションを検索し、DC/OS クラスターにデプロイすることができます。

Microsoft Azure で DC/OS を実行

このたび一般提供が開始された Azure Container Service では、DC/OS を使用して、コンテナーの大規模なオーケストレーションを行うための使いやすく強力で信頼性が高い機能を提供します。Azure Container Service では DC/OS の参考実装が提供され、クラスターのサイズや場所など、ごく少数のパラメーターを指定するだけで、大規模なデプロイを数分程度で実施できます。Azure Container Service により、DC/OS の学習とテスト、あるいは運用環境のワークロードでの使用を簡単に開始することができます。

Azure Container Service では、デプロイメントを簡素化し、大半のユース ケースや既知の安定した構成をサポートするために、構成を最小限に抑えています。しかし、DC/OS クラスターをより詳細に構成する必要がある場合も当然あります。このようなユーザーのために、Mesosphere とマイクロソフトが協力して DC/OS を Azure Marketplace で公開しています。この Marketplace バージョンの DC/OS の目的は、完全に構成可能な最新版の DC/OS を Azure で使用できるようにすることです。

マイクロソフトは、開始時から DC/OS プロジェクトに携わってきました。お客様からは、1 つのベンダーへのロックインを避け、パブリック クラウド、自社データセンター、ローカル ホスティング プロバイダーのいずれか 1 つを選択しなくても済むように、Azure Container Service をオープン ソースのテクノロジで構築してほしいというご要望をいただいていました。オープン ソース コンテナーのオーケストレーション ソリューションの大手プロバイダーである Mesosphere とのパートナーシップにより、マイクロソフトはこのお客様からのご要望にお応えしています。今後は新しい DC/OS コミュニティと協力して。この取り組みをさらに拡大してまいります。

次のステップ

DC/OS は、Azure Container Service のインスタンスを起動することですぐ簡単に使用できます。まずは、チュートリアルをお試しください。その他のオプションをご希望の方は、Azure Marketplace (英語) から完全版の DC/OS を試用できます。DC/OS の詳細については、ドキュメントおよびチュートリアル (英語) を参照してください。

マイクロソフトは引き続き DC/OS に貢献し、このプロジェクトの改良や Azure との連携の強化に取り組んでまいります。また、Mesosphere と協力して Apache Mesos プロジェクトで Windows を新たにサポート (英語) することを目指しています。この取り組みが完了すると、DC/OS を Windows と Linux の混在環境に拡張できるようになります。

皆様もぜひ DC/OS コミュニティ (英語) にご参加ください。DC/OS に関する議論には、プロジェクトの Slack チャンネル (英語) から参加できます。コードは GitHub (英語) から入手できます。また、サインアップしてコードやチュートリアルの作成にもご協力いただけます。

最後に、DC/OS の開発と新しいオープン ソース コミュニティの管理を担当している Mesosphere チーム全体の取り組みと、Azure Container Service の一部として DC/OS を提供するためのパートナーシップに感謝の意を表します。