Azure Blockchain as a Service の最新情報 (第 7 回)

執筆者: Marley Gray (Director, BizDev & Strategy - Cloud and Enterprise)

このポストは、3 月 24 日に投稿された Azure Blockchain as a Service update #7 の翻訳です。

 

Azure の Blockchain as a Service は今も非常に速いペースで成長を続けています。さまざまなパートナーから提供されるあらゆるサービスを統合し、それらを簡単に見つけて一般的な用途にご活用いただけるように、今後は以下の 4 つの場所からこれらのサービスを提供します。

DevTest Labs は、ブロックチェーン ネットワークが提供するサービスを探す場所として今も活発に使用されています。Azure DevTest Labs では、実験用の「サンドボックス」を作成できます。このサンドボックスに招待されたパートナー、競合他社、サプライ チェーンの参加者は貢献者となり、自社が作成したリソースを完全に管理できますが、その他のリソースについては管理者権限が付与されません。この環境は分散型台帳を使用した共有の E コマース プラットフォームへの移行を想定して、ブロックチェーンの共同作業用のユース ケースを試す場合に便利です。これにより、Azure サブスクリプション内に独自の「プライベートな」コンソーシアム ラボを作成し、使用制限などを設定できる一方で、「共同」ラボ全体のセットアップは不要なため、作業を迅速に開始することができます。

今回、DevTest Labs のアーティファクト ライブラリのホーム ページが新しくなりました (英語)。従来のホームページにも引き続きアクセスできますが、更新はされません。従来のライブラリを手動で DevTest Labs に追加した場合は、アーティファクト ライブラリの URL を新しい URL に変更してください。

独自の「コンソーシアム」ラボの使用を簡単に開始できるように、Blockchain as a Service Marketplace テンプレートを作成しました。このテンプレートを使用すると、最も一般的な設定でラボを自動的にセットアップし、パートナーの既存の Blockchain as a Service サービスのライブラリを含めることができます。ブロックチェーン アーティファクトのライブラリは最新の状態に保たれるため、分散型台帳の新しいプラットフォーム、ツール、サービスが入手可能になった場合に通知を確認できます。

新たなパートナー

マイクロソフトは今週、Algorythmix、Expanse、Influx、Monero、Radium、Tendermint を新たなパートナーとしてお迎えしました。

Algorythmix (英語)

Cetas: 非集中型 KYC および信用格付サービス

Cetas は、コラボレーティブ経済の力を利用して複数の企業の ID および評価サービスを提供するもので、KYC や AML などの複雑な ID および評価システムのプロセスをさまざまな業界横断的な企業の信用格付と共有します。Cetas は、規制当局による監視、ユーザーの同意、金融機関による検証の権限を可能にすることで、AML とプライバシー保護法の間で適切なバランスを維持します。この堅牢な ID プラットフォームにより、新しいコラボレーティブ経済全体での行動から企業の信用スコアを生成する次世代の P2P 信用格付プラットフォームが実現されます。

Microsoft Azure との統合により、ユーザーや企業は分散型台帳や自社アプリケーションで KYC、AML、信用格付などのサービスを使用できます。また、開発者は業界の KYC および AML 機能が追加された拡張サービスを構築するプラットフォームとして Certas を使用できます。Algorythmix は、今後数か月以内にベータ版 Cetas を Microsoft BaaS にリリースする予定です。

Expanse (英語)

Expanse は、コミュニティ主導型かつ非集中型の情報、アプリケーション、スマート コントラクト用プラットフォームです。Expanse プロジェクトは DAO (自律分散組織) を通じてコミュニティによって運用されており、コミュニティのメンバーは直接的に協力したり、意見やアイデアを交換したり、プロジェクトの将来的な開発や管理に関する意思決定に投票したりすることができます。提供されるスマート コントラクト、DApps、ツールキットの数は増加を続けており、あらゆる種類の企業やユーザーがブロックチェーン テクノロジを利用した魅力的なアプリケーションに直観的にアクセスすることができます。

企業、慈善団体、政府機関はこのプロジェクトで提供されるツールやサービスを使用して、スマート アセットの作成や管理からデジタル フルフィルメントやデジタル配布まで、さまざまなブロックチェーン テクノロジを直観的かつ容易に使用できます。このように、Expanse とマイクロソフトは Azure のサービスと Expanse のブロックチェーン機能とを組み合わせた強力なソリューションを提供します。以下のビデオをご覧になり、こちらのページから実際にお試しください。

[embed]https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=N36Ibz5kR6k[/embed]

Influx (英語)

Influx は X11 アルゴリズムを基盤とする仮想通貨です。事前の採掘が不要で、Pow+Pos のハイブリッド バックエンドを使用した、CPU および GPU のセットアップに特化した設計となっています。もともとは子供向けの暗号通貨の教育に使用するノベルティ コインとして計画されたものでしたが、すぐにそれ以上のものへと進化を遂げました。同社はユーザーのコンピューターに対するニーズに対応し、世界中の顧客とやり取りできることを心待ちにしています。現在は、Web ホスティングなどの Web サービスや広大な Web 空間を対象とするその他の決済ソリューションに (INFX) を採用してくれるパートナーの獲得に取り組んでいます。

ぜひこちらからお試しください。

Monero (英語)

Monero は Bitcoin コードベースを使用しない暗号通貨の 1 つで、プライベート性、セキュリティ、スケーラビリティを最大限に維持することを目指しています。Monero のトランザクションはすべて暗号化され、追跡やリンクを行うことは不可能です。また、独立した「明白な」トークンは存在しません。このため、エンド ユーザーは Monero をプライベートな値ストアとして使用したり、ブロックチェーン分析や採掘者の検閲などの影響を受けない取引媒体として使用したりできます。

プライバシー対応アプリケーションやプライバシー中心のアプリケーションの開発者にとって、Monero の根本的にプライベートなアプローチは有益です。また、各トランザクションで小規模のシンプルなメタデータ ストレージ領域 (tx_extra) を使用できるほか、Daniel J. Bernstein 氏の Curve25519 楕円曲線および EdDSA 署名に基づく標準化された簡単な暗号を利用できます。

Monero の動的ブロック サイズ アルゴリズムでは、オンチェーンの需要に基づいてブロック サイズの制限が拡大/縮小されるため、ペッグされたオフチェーン システムやサイドチェーン システムを構築する開発者はオンチェーンの制限を気にする必要がありません。必要に応じて無制限に Monero ブロックチェーンにペッグすることができます。

学術面や研究面の詳細に興味がある方に向けて、Monero Research Lab では複数の研究用の掲示板やツールを Research Lab のサイト (英語)Research Lab の GitHub リポジトリ (英語) で公開しています。

詳細については Monero の公式フォーラム (英語) を参照し、こちらのページ (英語) から実際にお試しください。

Radium (英語)

Radium は、Radium SmartChain の基盤ブロックチェーンとなるプルーフ オブ ステーク型の暗号通貨です。Radium と SmartChain の目標は、集中型サーバーを使用しない非集中型ブロックチェーン サービスを開発するための独自のプラットフォームを提供することで、ユーザー名とアドレスのリンク、存在証明、所有証明、ファイル送信元証明など、多数の機能が急速に追加されています。これらの高度な Radium 機能は Radium ブロックチェーンに埋め込まれており、SmartChain の RPC クライアントからアクセスできます。ファイル送信元は SmartChain の OneClickVerify システムまたはオンラインの SmartChain 検証 Web サイトで検証できます。

Tendermint (英語)

Tendermint は世界のブロックチェーンにシンプルさ、セキュリティ、スピードをもたらします。

  • シンプルさ : 任意のプログラム言語でブロックチェーン アプリケーション (スマート コントラクトなど) を開発可能で、ビジネス ロジックの構築に集中できます。
  • セキュリティ : 最先端の BFT コンセンサス アルゴリズムによって説明責任が明確になります。電力を消費して採掘する代わりに、デジタル署名とクォーラムを使用します。
  • スピード : 1 秒以下のブロック時間と 10,000 回/秒のトランザクションを実現し、分岐のないチェーンで即座にトランザクションのコミットや決済が可能です。

Tendermint は現在、ブロックチェーン開発用の新しいモジュール式アーキテクチャを開発中です。中核となるのはオープン ソースのブロックチェーン エンジンで、Bitcoin の UTXO、Ethereum 仮想マシン、完全に新しい設計など、さまざまな設計に基づく台帳アプリケーションを開発できるようになります。

ぜひこちらのページ (英語) から DevTest Labs をお試しください。

最後に、CentOS VM に Manifold Platform の Blockchain as a Service エンドポイントをインストールする Manifold の BaaS サービスも追加されたことをお伝えします。

ぜひこちらのページからお試しください。

今回お伝えする内容は以上です。今後の情報にもどうぞご期待ください。