Resource Manager モデルへの移行

執筆者: Venkat Gattamneni (Director, Product Marketing, Microsoft Azure)

このポストは、3 月 21 日に投稿された Transitioning to the Resource Manager model の翻訳です。

 

昨年 Resource Manager モデルを導入したことで、多くのメリットが生まれました。たとえば、ロール ベースのアクセス制御 (RBAC)、テンプレートを使用した複雑なアプリケーションのワンクリックでのデプロイ、リソースごとのタグ付けによるチャージバック、Resource Manager の新しいデプロイメント ポリシー (サービスのキュレーションを含む) などがその例です。従来の Azure Service Management (ASM) モデルと比べて、Resource Manager モデルは新機能の提供方法が大きく進化しており、テンプレートの作成や共有、アプリケーション リソース間の依存関係の管理、リソースのグループ化によるタグ付けなど、アプリケーションを開発、デプロイ、管理するために使用できるテンプレートやソリューションが GitHub (英語) で次々と公開されています。また、最近リリースした Azure Stack も Resource Manager モデルに基づいており、上記のエコシステムをオンプレミス環境にも拡張しています。

Resource Manager モデルに移行するにあたっての私たちの優先事項は、すべての Azure サービスで Resource Manager モデルがサポートされるようにすることです。このため私たちは Azure サービスの大部分をこの新しいモデルに移行しました (サービスの一覧を参照)。このモデルをまだサポートしていないサービスの大半についても、今後数か月でサポートを追加する予定です。

Azure で新しいアプリケーションを作成したり新しいプロジェクトを開始することをご検討の場合は、Resource Manager モデルを使用していただくことを強くお勧めします。ただし、ご利用予定の一部のサービスで Resource Manager モデルがまだサポートされていない場合や、ASM モデルを使用した既存のプロジェクトにリソースを追加する場合は、引き続き ASM モデルをご使用ください。今後新しい機能は Resource Manager モデルでのみ提供することを予定していますが、ASM モデルを廃止する予定はありません。

新規のデプロイメントに Resource Manager モデルの使用を予定している場合でも、既存のデプロイメントは ASM モデルで作成されているケースがあります。このような場合、異なるモデルで作成された複数のサービスの管理や複数の仮想ネットワーク環境 (VNET) の接続が必要になることがあります。現時点では、異なるモデルで作成された 2 つの Azure VNET を接続できるほか、VPN を使用してオンプレミスからそれぞれの VNET に接続できます (下図を参照)。

96563dc4-eeaf-4abe-87d5-8b54ea9d3c9c

ただし、ExpressRoute をご利用の場合、ASM モデルで作成された回線は ASM モデルの VNET でしか利用できず、Resource Manager モデルで作成された回線は Resource Manager モデルの VNET でしか利用できません。接続する環境ごとに ExpressRoute 回線を用意するのは手間とコストがかかるため、2016 年 第 2 四半期までにこの問題を解決するべく取り組んでいます。それ以降は、1 つの ExpressRoute 回線で両方の環境に接続できるようになります。

dac742a4-ba3e-4a3b-99fd-dfdbec4192f0

ASM 環境の Resource Manager モデルへの移行を計画するうえでは、両方の環境の管理と接続を並行して行えるようにすることが不可欠です。

移行に関連して、先日 Virtual Machines を ASM モデルから Resource Manager モデルに移行できるスクリプト (英語) を公開しました。さらに、移行時に VM の再起動やネットワーク ダウンタイムを最小限に抑えるためのソリューションも提供する予定です。以下の表は、こうしたソリューションの提供予定時期をまとめたものです。

ソリューション お客様のエクスペリエンス 提供予定時期 (2016 )
スクリプトによる移行 Resource Manager モデルで VM を再作成すると、VM が再起動されます。この環境での Virtual Machines の再作成中はネットワークが切断されます。 第 1 四半期
Virtual Machines (VNET なし) Resource Manager モデルでデプロイされるすべての Virtual Machines は VNET に属する必要があるため、Virtual Machines は新しい VNET に移行、配置されます。これによってネットワーク構成が変更され、再接続するには再起動が必要になります。 第 2 四半期
Virtual Machines (VNET あり) 第 2 四半期以降、実行中の Virtual Machines を中断せずに Virtual Machines を ASM モデルから Resource Manager モデルに移行できるようになります。この場合、移行前にオンプレミスに接続されているすべての VNET (ExpressRoute 経由または VPN 経由) を切断する必要があります。 第 2 四半期
Virtual Machines (1 つの基本的なハイブリッド接続) 第 3 四半期以降、実行中の Virtual Machines を中断せずに、また基本的なハイブリッド接続 (オンプレミスへの 1 つの接続に限る) の中断を最小限に抑えながら、Virtual Machines を ASM モデルから Resource Manager モデルに移行できるようになります。これよりも複雑な接続は、移行前に切断する必要があります。 第 3 四半期

既存のデプロイメントの多くが ASM モデルで作成されている場合、新しい Resource Manager モデルに移行するうえでさまざまな課題が生じます。しかし、新しいモデルのメリットは確実に感じていただけるはずです。それまでの間、私たちは引き続き、お客様の環境の移行や接続の支援に全力で取り組んでまいります。