Azure File Storage の一般提供を開始

このポストは、9 月 29 日に投稿された Azure File Storage, now generally available の翻訳です。

 

マイクロソフトはこのたび、Azure File Storage の一般提供開始を発表しました。

Azure File Storage の登場によって、Microsoft Azure は完全に管理されたクラウドのファイル共有を提供することになります。Azure File Storage は、既存のオンプレミス アプリケーションの多くで採用されてきたファイル共有プロトコル Server Message Block 3.0 (SMB) を使用しています。そのため、既存アプリケーションをクラウドに簡単に移行することができます。また、全世界のあらゆる場所からアプリケーションでファイル共有をマウントできるようになるため、変更を加えることなく、現在のオンプレミス アプリケーションでクラウド ストレージの利用が可能になります。さらに REST API を実装しているため、開発した最新のアプリケーションを既存のアプリケーションと連携させることも可能です。

Azure File Storage の一般提供リリースに合わせて、新たに以下の機能の提供が開始されます。

  • 暗号化と永続的ハンドルを含む SMB 3.0 のサポート
  • Azure プレビュー ポータルの新しいブラウザーベースのファイル エクスプローラー
  • Azure File Storage に対応した、Azure Storage の各種メトリック
  • Azure File Storage のファイル共有を Azure データセンター外からマウントする機能

また、Azure File Storage の API エンドポイントをあらゆる既存のストレージ アカウントで利用できるようになりました。これにより、Azure File Storage を利用するためだけにストレージ アカウントを新たに作成する必要がなくなりました。

Azure File Storage の活用シナリオ

Azure File Storage は、次のようなさまざまな利用方法に対応します。

既存のアプリケーションをクラウドに移行する

数多くの既存のアプリケーションがファイルベースの API でデータにアクセスし、SMB ファイル共有を使用してデータを共有しています。Azure File Storage を利用すると、可用性の高いファイル サーバー VM をプロビジョニングしたり管理したりすることなく、オンプレミスのファイルやファイル共有ベースのアプリケーションを Azure に移行できるようになります。

オンプレミスとクラウド間でサーバー データを共有する

ログ ファイル、イベント データ、バックアップなどのサーバー データをクラウドに保存して、Azure Storage プラットフォームに組み込まれた可用性、永続性、拡張性、地理冗長性を活用できるようになります。SMB 3.0 の暗号化により、どこからでも安全に Azure File Storage の共有をマウントすることが可能です。クラウド アプリケーションは、オンプレミスの SMB サーバーが実装するのと同じ整合性保証を利用して、オンプレミス アプリケーションとファイルを共有できます。

最新のアプリケーションと Azure File Storage を連携させる

Azure File Storage が実装する最新の REST API を SMB 3.0 と併用し、レガシ アプリケーションと最新のクラウド アプリケーションを連携させたり、ファイルまたはファイル共有ベースのアプリケーションを新たに開発したりすることが可能になります。

高可用性 (HA) ワークロード データを容易にホストする

Azure File Storage によって可用性が継続的に維持されることで、HA ワークロードのデータを簡単にクラウドにホストできるようになります。SMB 3.0 で有効化される永続的ハンドルによりファイル共有の可用性が向上するため、データを共有ファイル ストレージに保存しながら、SQL Server や IIS などのアプリケーションを Azure にホストすることができます。

プレビュー版の公開以来、マイクロソフトはユーザー企業ときめ細かく連携しながら、Azure File Storage の実運用シナリオを検証してきました。

「Talon のソフトウェアを Azure File Storage と組み合わせて実行することで、ビジネスが飛躍的にスピードアップしました。今すぐ利用できるうえ、地理冗長ストレージや共同作業の容易さのおかげですぐに効果を得ることができます。Azure File Storage は、さまざまなことを可能にしてくれる鍵であり、新たな効率化の手段でもあります」

Talon Storage Solutions (英語)、営業およびマーケティング担当シニア バイス プレジデント、Andrew Mullen 氏

ユーザー ストーリー

Microsoft Operations Management Suite (OMS) は、IT や DevOps のログ分析に対するニーズを解決する、ハイブリッド クラウド向けの IT 管理ソリューションです。

OMS を利用すると、運用部門は量、形式、場所に関係なくほぼすべてのソースのマシン データを収集、検索、分析することができます。コードを直接記述したり複雑なスキーマの知識を習得したりしなくても、OMS の強力な検索機能を使用すれば、複数のデータ ソースを対象にアドホックな根本原因分析やトラブルシューティングを実行し、カスタムのダッシュボードと分析ソリューションを通じて、プライベート クラウドとパブリック クラウドにまたがる環境の詳細な分析情報を入手できます。

以前 OMS エンジニアリング チームは、検索の基盤となるインフラストラクチャで従来のファイル API を使用していましたが、完全に管理されたクラウドのファイル共有を提供する Azure File Storage を組み合わせることによって、基礎部分の検索インフラストラクチャのコードを一切変更せずにこの既存投資を使い続けられることがわかりました。その結果、Azure File Storage はクラウドのログ分析の中核ストレージとしてマイクロソフトの OMS チームに採用されることになりました。

OMS の一般提供開始以来、Azure File Storage にはユーザーからペタバイト規模のデータが送出されていますが、基盤となるストレージ プラットフォームに組み込まれた拡張性により、Microsoft Operations Management Suite のクラウド ソリューションの規模拡大に合わせて Azure File Storage も拡張しています。そのための手作業はまったく必要ないため、エンジニアリング チームは、インフラストラクチャの変更に手間を取られることなく、ユーザーへのビジネス バリュー提供により多くの時間をかけることができています。

Azure File Storage の特長

Azure File Storage の一般提供開始と共に導入された新機能について詳しく説明いたします。

SMB 3.0 プロトコルのサポート

プレビュー版以来の SMB 2.1 に加えて SMB 3.0 もサポートされるようになりました。これには暗号化と永続的ハンドルも含まれます。

SMB 2.1 プロトコルを基盤としていた時期は暗号化に対応していなかったため、Azure File Storage の接続元が同一リージョンに限定されていましたが、SMB 3.0 の暗号化をサポートしたことによって、全世界どこからでも接続できるようになりました。Azure データセンター外から共有をマウントする場合は、ISP またはファイアウォールによるポート 445 (TCP 送信) のブロックを解除する必要がある点にご注意ください。

暗号化のほかにも、SMB 3.0 を使用することで、クライアント間の透過的なフェールオーバーと、セッション状態が失われない永続的なファイル アクセスが可能になり、ファイル共有の可用性がさらに向上します。ユーザーはこの機能を利用して、SQL Server や IIS などの HA ワークロードをホストできます。

注意: Azure File Storage にクライアントがアクセスする際に実際に使用される SMB のバージョンは、使用されるクライアント OS の種類によって変わります。

各 Windows クライアントと、それらでサポートされる SMB バージョンの一覧を以下に示します。詳細についてはこちらのブログ記事 (英語) をご覧ください。

Windows クライアント

サポートされる SMB のバージョン

Windows 7

SMB 2.1

Windows Server 2008 R2

SMB 2.1

Windows 8

SMB 3.0

Windows 10

SMB 3.0

Windows Server 2012

SMB 3.0

Windows Server 2012 R2

SMB 3.0

 

Azure File Storage には Linux クライアントからも SMB プロトコル経由でアクセスできます。Linux 仮想マシンを Azure に作成する場合、SMB 2.1 以降をサポートする Linux イメージを Azure イメージ ギャラリーで指定できます。推奨される Linux イメージの一覧は以下のとおりです。

Linux ディストリビューション

サポートされる SMB のバージョン

Ubuntu Server 14.04

SMB 2.1 および 3.0

Ubuntu Server 15.04

SMB 2.1 および 3.0

CentOS 7.1

SMB 2.1 および 3.0

openSUSE 13.2

SMB 2.1 および 3.0

SUSE Linux Enterprise Server 12

SMB 2.1 および 3.0

SUSE Linux Enterprise Server 12 (Premium Image)

SMB 2.1 および 3.0

 

Linux SMB クライアントは現時点では暗号化をサポートしていないため、Linux からマウントする場合は、クライアントとファイル共有が同一のリージョンに配置されている必要があります。ただし Linux 向けの暗号化サポートは、コミュニティで SMB 機能を担当する Linux 開発者のロードマップに既に記載されているため、今後は暗号化をサポートする Linux ディストリビューションであらゆる場所から Azure File Storage をマウントできるようになる予定です。

Azure プレビュー ポータルのファイル エクスプローラー

Azure プレビュー ポータルに、Azure File Storage を管理するための新しいユーザー インターフェイスが追加され、以下の操作をブラウザーから実行できるようになりました。

  • ファイル共有を作成、削除する
  • ファイルをファイル共有にアップロード、またはファイル共有からダウンロードする
  • ファイル共有のサイズ クォータを調整する
  • Windows クライアントで使用される "net use" コマンドをすべて利用して、ファイル共有をマウントする

Azure Storage の Metrics を使用した Azure File Storage の問題の診断

ストレージ アカウントの BLOB、Table、Queue の各ストレージに関するメトリック データを提供する Azure Storage Analytics が、File Storage にも対応するようになりました。提供されるメトリック データを使用して独自に分析を実行し、問題を診断することができます。

Azure File Storage の Metrics を利用するには、REST API またはストレージ クライアント ライブラリからファイル サービスのプロパティを操作し、Metrics の利用を有効化する必要があります。

IT プロフェッショナルおよび開発者向けツールのサポート

IT プロフェッショナルは、マイクロソフトが提供する各種ツールを使用して Azure File Storage を管理できます。こうしたツールには、AzCopyAzure PowerShell (Windows)、Azure クロスプラットフォーム コマンド ライン インターフェイス (Linux/Unix) などがあります。

開発者は REST API.NETJavaNode (英語)Python (英語) のライブラリを使用して Azure File Storage を利用するアプリケーションを開発できます。

料金設定

Azure File Storage の料金の詳細については、こちらでご確認いただけます。

プレビュー版のユーザーは、特に何らかの操作をしなくても、サービスの一般提供開始と同時に一般提供版に移行されます。

提供対象リージョン

Azure File Storage は、Azure が提供されているすべてのリージョンでご利用いただけます。また、Azure Government と中国版 Azure のユーザーにも、近日中に提供を開始する予定です。

使用を開始する

Azure File Storage を使い始めるための一連の手順をまとめたドキュメントが用意されています。詳しくは、「PowerShell と .NET で Azure File Storage を使用する方法」や、「Linux で Azure File Storage を使用する方法 (英語)」をお読みください。

フィードバックと詳細情報

いつものお願いではありますが、皆様のご意見、ご感想をお待ちしています。このブログ記事のコメント欄や Azure Storage MSDN フォーラム (英語) をお使いください。

詳細情報については、次のリンク先のページをご覧ください。