【Momentum シリーズ Vol.3】Hero Happens @ {久保法律事務所}

みなさん、こんにちは。 すっかりおなじみになりました、IT Pro Momentum シリーズの 第3回目です。

エバンジェリストが所属するブロード・エバンジェリズム・グループでは、「Momentum プログラム」と称しマイクロソフトがご提供するさまざまな製品をご評価いただくための早期評価プログラムを実施しています。今回は香川県高松市 より現場のHero から直接「どのような使われ方を想定されているのか」を伺いました。

とかく IT 業界の Hero に目を向けがちですが、今回は趣向を変えて法曹界からの Hero 、入江春雄 様です。

入江様は香川県高松市の久保法律事務所に勤務されるかたわら、事務所内サーバー環境のメンテナンスも担当されています。

法律事務所と IT という、一見まじりあわない世界がどのようないきさつでモメンタムプログラムへの参加となったのでしょうか。

法律事務所といえども、多くの業務はIT化されています。顧客情報はもちろん、裁判所に提出した文書の管理や依頼者との文書のやりとりなど、いまやIT 無しで進めることができない業務はたくさん存在しています。中でもサーバーは重要です。過去の判決等は重要なナレッジですし、それらを格納したデータベースは法律事務所の業務品質に確実に影響します。銀行のようにレスポンスを要求されることはありませんが、膨大なドキュメントに囲まれた職場ですから、必要な時に、すばやく確実にデータを引き出すことができる環境は、もはやITなくして実現は不可能でしょう。

そんな入江様が抱えている悩みとは..。

データの保護です。膨大なこれらのデータをどのように保護するかが問題です。これまでは、Windows 2000 Server 構築したファイルサーバー上に大量の判例データを格納していました。しかし、ある日突然これらのデータにアクセスすることができなくなったのです。原因はディスクのクラッシュ...。もう愕然としましたし、しばらく立ち直ることができませんでした。バックアップを仕掛けていなかったわけではなかったのです。ただ、業者任せにしてしまったのが問題ですね。セットアップはしていただいたものの、それらが正しく動いているかどうかを確認することもしませんでした。

そんな悩みを解消するために検討したのが Data Protection Manager 2007 です。正直なところバックアップ専用製品というものが存在することを知りませんでした。これまでは標準の NTBackup というツールを使用していましたが、DPM を使用すると SharePoint Server や SQLServer もバックアップがとれるのですね。SharePoint Server は以前から気にはなっていたのです。法律事務所にもさまざまな形式のドキュメントが存在していますし、これらをコンテンツライブラリを使用して系統的に管理したいと考えていましたから。ただ、ひとまず NBackup で合理的に保護できるものではないということだったので、これまでは個々の判決はファイルとして保存するにとどまっていました。しかし、SharePoint Server + DPM で コンテンツライブラリ+データ保護 が実現できるのであれば、これはまさに私が望んでいた環境です。

現時点では DPM によるバックアップとリストアを検証していただいていますが、将来は SharePoint Server と組み合わせた検証も行っていくとのこと。

このほか、Windows Server 2008 の Active Directory Rights Management Service についても大きな期待を寄せています。

法律事務所が扱っている情報は、例外なく顧客の個人情報です。業務の迅速化を担保に、個人情報を危険にさらすわけにはいきません。インターネットからの不正なアクセスから身を守ることも大切ですが、まずは事務所内での情報管理の徹底が必要であると考えています。AD RMS については Winodws Server 2008 に関する雑誌記事で初めて知ったのですが、とても魅力的な機能です。「印刷させない」「コピーさせない」といった権限管理は、いままでできそうでいて簡単には実現できなかった機能です。

法律事務所の方から「AD RMS」という言葉が出るとは....驚きです。

入江様が描く将来像とは。

独自のノウハウを最大限に生かす職場であるため、現時点で法律事務所間の情報共有は難しいと言えるでしょう。しかし、将来はこうしたナレッジを他の事務所とも共有し、お互いに情報交換ができるような環境を構築したいですね。これにより仕事の品質をさらに向上させ、全体的なスピードアップが図れれば、業界全体の信頼性向上にもつながります。

また、モバイルからのアクセスも興味があります。携帯端末から手軽に事務所のデータベースを参照できれば、事務所を出て法廷に向かっている途中でも情報を得られるようになります。一人が抱える案件が多いことが特徴の業界ですから、とにかくスピードアップを図る必要があります。人海戦術で解決するわけにもいきませんから、やはり IT に期待する部分は大きいです。

まさにリアルな現場の声です。

私は普段お付き合いのない業界ですが、IT は確実に浸透し、マイクロソフトのプロダクトが現場の業務に貢献できているのだと感慨深い想いでいっぱいです。

IT Pro エバンジェリスト 安納