医療業界での Microsoft AI 事例: データと AI を活用し、がんと闘うヨーロッパの臨床医と患者


マイクロソフトレポーター

2019 年 月 

 

将来有望な俳優、ファビアン・ボリンが白血病に罹ったことがわかったのは、彼がちょうど 28 歳のときでした。がんの診断結果が彼の将来を暗くさせ、彼は何もやる気がおきませんでした。

 

このような気持ちは、多くのがん患者に共通しています。

 

毎年、ヨーロッパでは推定 370 万の新しいがんの症例が発見され、190 万人ががんによって死亡しています。世界保健機関によると、ヨーロッパの人口は全世界の 8 分の 1 しかないにもかかわらず、世界のがん患者の 1/4 を占めています。実際には、がんは心血管系副作用を含めると死因の第 2 位になっています。

 

ヨーロッパは世界最高の、最も確立された医療システムを有していますが、がんは未だに手ごわい相手のままです。現在、大手医療機関や組織は、人工知能 (AI) などの技術を活用して患者への関与とサポートを行い、医師と協力して研究を促進させています。病気を管理し克服するために、一歩ずつ前進しているのです。

患者に力を取り戻す

ファビアンが最初にがんと診断されたとき、自分の無力を感じソーシャルメディアで自身の経験を共有し始めました。周囲からの反応は非常によく、がん患者やその親類のためのソーシャルネットワーク WarOnCancer を立ち上げることになりました。


左から: ファビアン・ボリン (WarOnCancer)、マティアス・エクマン(Microsoft)、ノラ・ バベイ (UNITECH)、セバスチャン・ハームリン(WarOnCancer)

40 種類のがんに対して 150 人の強力なブログコミュニティで構成された、オリジナルのプラットフォームが、ほとんどのがん患者は自尊心が低くなり、うつ病に苦しむという事実を明らかにしました。この洞察をもとに、WarOnCancer は、製薬および幅広いライフサイエンス業界の 6 つのパートナーと協業して、がん患者のためのグローバルなソーシャルネットワークを目指しながら新しいモバイルアプリを開発/テストしています。

 

2019 年中にリリース予定のこのアプリは、会員が自分のデータを共有し、業界が研究のためにどのようにこのデータを使用しているかを確認することができます。Microsoft Azure の機能を通じて、WarOnCancer はデータを分析して、患者のさまざまなグループが経験する問題点や利点を、どこで、どのように扱われているか分かるようになっています。

 

「私の治療中に専門家と話していたとき、治験の基準を満たす患者を見つけることが難しいために、腫瘍学の臨床試験のほぼ半数が遅延していることがわかり、驚きました」と、ファビアンは語ります。「患者の大半が、臨床試験のためにデータを共有することを望んでいるにもかかわらず、多くの人は、これらが行われていることを知らないか、データがどのように使用されるかきちんと知らされません。これは文字通り、救命処置を見つけることができるかどうか、という違いになります」

 

共同創設者兼 WarOnCancer 業界パートナーシップ代表であるセバスチャン・ハームリンは、「長期的な目標は、臨床試験と患者のための マッチングタイプのサービスを構築することです。これは成功した臨床試験の数を増加させ、 医薬品の研究開発の促進やがん患者のニーズに合わせた治療スケジュールや薬のカスタマイズだけでなく、最終的には患者の命を救うことになります」と続けました。

 

診察時の早期発見及び精度と正確性の向上をサポート

がんの早期発見の利点は、高い生存率をもたらすだけでなく、治療の副作用を最小限に抑えることができます。そのプロセスは、国によって異なりますが、標準的な乳がんスクリーニングは、通常 2 年ごとに検診をし、特定の年齢層では、マンモグラフィ検査を伴います。

 

しかし、乳腺組織が多く存在している乳腺濃度が高い乳房に対しては、マンモグラフィ検査の有効性が劇的に低下します。この課題に対処するために、Veneto Institute of Oncology (IOV) は、何百万もの人々を助ける可能性を秘めた Volpara 社の新しい乳房濃度評価ツールを使用しています。従来のマンモグラムの限界を越えたクラウドベースのソリューションが、患者の乳房組織のイメージを分析し乳腺濃度を検診します。


Volpara の新しいクラウドベースのツールは、患者の乳房組織の画像を評価して密度を計算します

 

Volpara 社の新しいクラウドベースツールは、その密度を計算するために患者の乳房組織の画像を評価します。「X 線では、密な乳房組織と腫瘍の両方が白くみえるため、乳腺濃度が高い胸を持つ女性のがんを検出することは困難です。さらに、乳房の密度が高い女性が、乳房の密度が低い女性と比較して乳がんを発症するリスクが高いことが証明されています」とベネチア腫瘍学研究所の医学物理学者、ジセラ・ジェンナーロは言います。「しかし現在、高度な画像解析により、女性の乳腺濃度を自動的かつ客観的に評価することができるようになり、そのシステムは乳がんの発病リスクを見積もることにも使われています。乳房密度に隠れているがんを見つけるイベントで超音波を使用するなどして、個別の画像解析による試験実施計画書を提供可能です」

 

「高度な画像解析技術なしでは、このような高速で精度の高い解析を実現することは不可能です。今後 5 年間で、1 万人以上の女性を調査する予定です。がんの検出率の増加、中間期がんの減少、そして持続可能な検査費用。これらは本当に高精度医療への第一歩です」と、ベネチア腫瘍学研究所の乳房放射線科のディレクター、フランチェスカ・カウモは語ります。

 

ストックホルムでは、ファビアンと彼のチームが、がんの影響を受けるすべての人の生活を改善するという使命を果たし続けています。彼の最初の診断から 4 年ほどが経ち、この取り組みは非常に有益なものとなりました。最先端の治療と家族のサポートと並んで、データもまた、わずかばかりの手助けになったことが証明されました。

 

研究者や臨床医、患者やすべての人にとって、クラウドコンピューティングと AI とともにあれば、人類の癌との闘いは決して壮絶なものではなくなるでしょう。

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