電話の保留音をスキップして、ヘルスケアであなたを助けるチャットボット、Premera Scout に会おう

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投稿:2018年10月1日
投稿者:Vanessa Ho

 

医療保険について問い合わせをする際、ウェブサイトやアプリの指示に従って操作するのが面倒に感じられる場合もあります。電話をかけて「そのままお待ちください」というアナウンスを聞かされるのは、もっと嫌なものです。質問を入力しただけで、回答を得ることができたらいいのにと考える方も多いでしょう。

そのような利用者のために登場したのが、米国北西部で最大の医療保険会社 Premera Blue Cross が制作した新しいチャットボット、Premera Scout です。

7 月に Facebook メッセンジャーでローンチされたこのバーチャル アシスタントは、理解しやすいテキスト ベースのチャットを利用しているので、顧客は保険請求やベネフィットなど Premera のサービスに関する情報をどこで入手すればよいかをすぐ知ることができます。Facebook メッセンジャーを利用した Premera Scout は、よくある質問に対する答えの提供を目的とするもので、顧客固有の医療情報の受け渡しを想定して構築されているわけではありません。


Premera Blue Cross のモバイル担当ディレクター、Neil Lazo 氏

「医療保険の仕組みは非常に複雑な場合もありますが、私たちはそれをよりシンプルなものにしようとしています」と、Premera の製品・モバイル部門のディレクターを務める Neil Lazo 氏は述べています。プリメーラはワシントン州シアトル近郊のマウントレイクテラスに本社を構える医療保険会社です。

「Premera Scout は、顧客が普通の話し言葉で私たちに質問することができ、こちらも専門用語ではなく普通の話し言葉を使って回答するプラットフォームです」 チャットボットは、人工知能(AI) の進歩とメッセージアプリの人気によってもたらされた最近のトレンドの一つで、インテリジェントなバーチャルアシスタントが人間のカスタマーサービスを補完するというものです。このチャットボットの開発は、Premera のデジタル・イノベーションチームとマイクロソフト・ヘルスケアの取り組みが基になっています。両者とも、AI やクラウド、その他最新のツールを利用してヘルスケア事業の改革を推進することを目的としています。

「ヘルスケア事業はこれまで、新しい技術を適用するのが遅れていました」とイノベーションと戦略的投資部門のバイスプレジデントを務める Torben Nielsen 氏は語っています。ニールセン氏は、Premera のイノベーションチーム、Premera Test kitchen を率いています。「私は、日中はヘルスケア企業で働き、夜になって家に帰るとやっと 21 世紀に戻れるとよく言っています」。

時代遅れのファックス機器から医師を見つけるための旧式のシステムに至るまで、この業界で顧客が情報を探すのは困難であることが多いと彼は説明します。そこで、開発者や設計者、専門家を集めた彼のチームは、マイクロソフトやスタートアップ企業と協働して、顧客に対する案内、予約管理の合理化、医療問題の予測を行うことができる技術を開発しています。そして、このチームは、電話のオプションに従って延々と操作して保留音を聞くより、チャットするのを好む人が多いことを認識しています。


Premera Scout チャット

「Premera では顧客体験を重視し、できるだけストレスのないシームレスな体験を提供したいと考えています」と Nielsen 氏は述べています。

落ち着いた青色のフクロウのアバターを用いた Premera Scout が、いつでも顧客の基本的な質問に「セルフサービス式」で回答してくれるので、カスタマーサービスの社員は時間に余裕を持って複雑な要求に対応することができます。

「人間に対しては質問を控えてしまうけれど、ロボットに対してはもっと自由に質問できるように感じる人もいます」と Lazo 氏は語っています。そして、Premera Scout は、Premera の「世界トップクラスのサポート」の代わりになるものではありませんが、メンバーに別のコミュニケーションチャネルを提供していると説明し、「Premera Scout はあなたを人間として理解し、簡単な方法で会話を行うことができます」と述べています。

Premera Scout を構築する際、Premera はマイクロソフトが作成したヘルスケア業界のための AI ソリューション、マイクロソフト・ヘルスボット・サービスを利用しました。

このソリューションは医療情報のプライバシーを保護する厳しい法律を遵守するために、Azure プラットフォームを用いて、医療コンテンツや緊急度判定プロトコルをマイクロソフト認知サービス API と統合しています。マイクロソフト認知サービス API では自然言語処理のための言語理解や、感情を理解するためのテキスト分析などを利用することができます。 この独創的なソリューションは、コンプライアンス構造が内蔵された拡張可能なプラットフォームで、複雑な医療用語、症状チェッカープロトコル、医療用語のための言語モデルなどから構成されるシステム「ヘルスケア AI」を含んでいます。

「ヘルスボット・サービスを利用すると、ヘルスケア企業は法令を遵守したインテリジェントなバーチャル ヘルス アシスタントやチャットボットを構築することができます。これは、ヘルスケア企業のプロセスや結果の改善、セルフサービスの選択肢の増加、コスト削減につながります」と、このサービスを開発したマイクロソフト・ヘルスケア・イスラエルのトップである Hadas Bitran 氏は説明しています。

このソリューションを利用することで、Premera は顧客の話し方から欲求不満を検出し、うまく対処できるボットを構築することができました。


Premera の技術革新および戦略的投資担当副社長 Torben Nielsen 氏

「人々は皆、同じようには話しません。『はい』にもいろいろな言い方がありますし、俗語を使ったり『麻酔学』を間違って綴ったりします」と Lazo 氏は語っています。「さらに、医療保険の場合、顧客は何か大変な事情がある時に問い合わせをすることが多いので、時には怒りをあらわにする人もいます」。

将来的に、Premera は顧客からのチャットや電話からのデータを継続的に入力し、それを基にして Premera Scout を活用する新しいシナリオを考えています。ウェブサイトやモバイル アプリ、その他のメッセージチャネルでボットを活用し、広範に利用する予定です。また、個人のアカウント情報にアクセスするための安全なルートを構築することも検討しています。

Premera Scout が進化すれば、ワシントン州とアラスカ州の Premera の顧客 200 万人の助けになるだけでなく、マイクロソフト・ヘルスボット・サービスの改善にも役立つでしょう。マイクロソフト・ヘルスボット・サービスは現在、Premera と他のヘルスケア パートナー 2 社にプレビュー版を配布し、試用してもらっています。一般公開は 2019 年になると予想されています。

「イノベーションと共同事業に対する Premera の熱意によって、このパートナーシップは大きな成功を収めました」と Bitran 氏は述べています。この共同事業は Premera にとっても実りの多いものでした。

「当社はヘルスケア事業の観点から多くのインサイトを提供できますし、マイクロソフトは明らかに AI やテクノロジーの専門家です」と Nielsen 氏は語っています。「これは非常に有意義なパートナーシップでした」

全ての写真は Premera Blue Cross が提供しています。

 

この文章は以下の原文を翻訳したものです:
Posted on October 1, 2018
https://news.microsoft.com/transform/premera-scout-chatbot-helps-with-health-care/