マイクロソフト、量子コンピューターの一般的な実用化にむけて Azure にも搭載


[2017 年 9 月 25 日]

 

現在利用できるいかなるスーパーコンピューターよりもさらに1億倍以上も高速に計算を行うことができる、そんな夢のコンピューターが「量子コンピューター」です。量子力学の重ね合わせを用いて並列計算を高速に行うことが可能で、現在のノイマン型のコンピューター (プログラムを記憶装置に格納し順番に読み込んで実行する方式) とは異なる方式です。現在のスーパーコンピューターだと数千年かかる課題も数秒で解けるようになる可能性を秘めています。特に AI の分野ではこの計算パワーが AI の進化にとても有効であるといわれています。たとえば、デジタルアシスタントであるコルタナのトレーニングアルゴリズムは、1か月かかるところを 1 日のうちに完了させることができるようになります。

 

マイクロソフトで提唱された革新的技術「トポロジカル量子ビット」

量子コンピューターでは量子ゲートからなる量子回路を使ったハードウェアで計算を行い、情報保持の単位を量子ビット (quantum bit, qubit) といいますが、これをいくつ使えるかによって 2 の n 乗のパターン (n 個の量子ビットの場合) を並列計算できる可能性を秘めています。つまり n の数が多いシステムを構築できると、超並列計算が実現します。

量子ビットを構成する "ハードウェア" にはさまざまな量子物理現象を使える可能性がありますが、いずれも非常に不安定であり、ハードウェアを超低温でゆらぎのない状態に維持する必要があります。それでも外界からのゆらぎにより、常に発生するエラーを修正しながら運用する必要があります。こういったエラーを訂正できる信頼のおける「論理」量子ビットを作成するには、最低 10,000 の「物理」量子ビットが必要になります。

20 年前にマイクロソフトの理論研究グループに入社したマイケル・フリーマンは当時、トポロジー (位相幾何学)と呼ばれる数学の基礎研究の第一人者として知られていました。2005 年、フリーマンは共同で通常の量子ビットよりもエラーが少なく安定する「トポロジカル量子ビット (topological qubit) 」と呼ばれる仕組みを提案しました。マイクロソフトでは、このトポロジカル量子ビットで構成された「トポロジカル量子コンピューター」が、スケーラブルで汎用的に使える量子コンピューターの構築に画期的な技術革新をもたらすものと信じられています。

 

量子コンピューターの「汎用的な」実用化に向けた取り組み~年末までに無料プレビューが可能に

フリーマンとマイクロソフトは、量子コンピューターを研究室の中で実現するにとどまらず、一般の人々が汎用的に使える実用的なシステムを構築することを目指しています。これは数万、数億以上の安定したトポロジカル量子ビットを実現するハードウェアを実装したシステムを準備するところから、トポロジカル量子コンピューターをプログラムし制御するための専用のプログラム言語を含むソフトウェアの開発に至るまで、必要なものすべてを構築することを意味しています。

 

今週月曜日に行われた Microsoft Ignite 2017 カンファレンスにて、この仕組みを実現するための最新のマイルストーンを発表しました。これには、開発者 (量子物理学者である必要はない!) が量子シミュレーター上でアプリ開発とデバッグができ、将来的に実装される量子コンピューター上でも動作させることができる新しいプログラミング言語も含まれます。これは Visual Studio に統合されており、従来の開発/デバッグ手法とそう変わらない方法で扱うことが可能です。

このシステムは、年末までに無料プレビューとして利用できる予定です。ライブラリやチュートリアルも含まれているので、開発者は量子コンピューティングに慣れることができます。より高度な抽象度で動作するように設計されているため、量子力学の専門知識を持たない開発者でも、実際に量子サブルーチンを呼び出したり、一連のプログラミング命令を書いたりして完全な量子プログラムを作成することができます。

このシステムでは、ユーザーが自分の PC 上で最大 30 の論理量子ビットを使ったシミュレーションができるように設計されており、企業ユーザーが Azure を使用するオプションでは 40 量子ビット以上の計算能力をシミュレーションできます。

無料プレビューに参加するには、こちらのページからサインアップをしてください。

 

マイクロソフトの量子コンピューターに関する取り組みは以下のビデオでも紹介されています。

 

関連ページ/サイト

 

この文章は以下の原文を要約したものです:

 

 

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